三井住友カードへ問合せするには?【問合せフォーム】へのアクセス方法

 

・三井住友カードの「問合せフォーム」にアクセスする方法

・三井住友カードで「折り返し電話予約」をする方法

 について書いています。以下のリンクからアクセスできます。

 

三井住友カードの「問合せフォーム」

https://support.smbc-card.com/inq/maildesk

 

三井住友カードの「折り返し電話予約フォーム」

https://www.smbc-card.com/mem/info/index.jsp?ordn=1

 

1) 三井住友カードの「問合せフォーム」はどこに?

三井住友カードを使っています。クレカを使うと「利用のお知らせ」その他のメールを送ってくれます。

先日、送られてきたメール内容に不明な点があり、問合せをしたいと考えました。

 

ところが、いろいろ探してみましたが、問合せしようにも「問合せフォーム」が見つかりません。

不定形な質問ができるような「問合せ電話番号」も見つかりません。

 

公開されている電話番号にいくつかかけてみましたが、自動音声が流れて、どれかを選ぶ方式で

聞きたい事項に該当する番号はなく、「オペレータと話す」という選択肢もありません。

 

仕方なく「カードの紛失・盗難用の専用ダイアル」にかけてみました。

 

電話すると「カードの紛失・盗難以外の問合せには対応しておりません。

オペレータにつなぎますか?」という音声が流れましたが、メゲずにそのまま待って

オペレータの方が電話に出たときに、質問してみました。

 

そうすると、カードの種類を確認され、「でしたら、この番号にかけてください」との事。

教えてもらった番号にかけて、ようやく「折り返し電話を予約する」事ができました。

 

約4時間後に、折り返し電話がかかってきたときに「簡単に問合せできないのは不便」と

訴えたところ、「改めて担当に電話させます」

 

翌日、担当の方から電話があり、「問合せフォームはあります」とのこと。

どこにあるか教えてもらいましたが、あまりにもわかりにくい魔界な動線であるので

自分の備忘録と、他にお困りの方への情報共有も兼ねて、記録しておきます。

 

2) 三井住友カードの「問合せフォーム」にアクセスする方法

 以下に三井住友カードの「問合せフォーム」にアクセスする手順をお知らせします。

1~6の6ステップです。(単に問合せフォームを開きたいだけなのに手間過ぎる…)

 

1.三井住友カードのトップ画面を開く

 まず、三井住友カードのトップ画面を開きます。

https://www.smbc-card.com/index.jsp

2.「三井住友カードの取り組み」をクリックする

トップページを下にずっとスクロールして、黒い背景色の中の「三井住友カードの取り組み」をクリックします。

(これを見た時点で「よほど問合せフォームを見つけられたくないのだなー」と思いました。

 この中にあるなんて普通、気づかないでしょう…)

3.「お客さまの声に 詳しくはこちら>」をクリックする

「三井住友カードの取り組み」のページに遷移後、下部にスクロールして、「お客さまの声に」という項目の

詳しくはこちら>」という青い文字列をクリックします。

(これも相当わかりにくい…)

 

4.「ご意見・ご要望はこちら」ボタンをクリックする

「お客さまの声に」画面に遷移後、下にスクロールして、画面中ほどの「ご意見・ご要望はこちら」ボタンをクリックします。

5.「>WEBサービス「Vpass」を利用するカードをご利用のお客さま」をクリック

「ご意見・ご要望はこちら」ボタンをクリックすると、問合せフォームが開くので、入力したくなりますが、

「本フォームよりお寄せいただいたご意見・ご要望への個別の回答は差し上げておりませんので、ご了承ください。」

と書かれています。回答が必要な問合せについては、

>WEBサービス「Vpass」を利用するカードをご利用のお客さま」という文字列をクリックします。

 

6.問合せフォームが開く

これでようやく問合せフォームを開くことができました。

 

なお、問合せフォーム上部に以下の注意書きがあります。

 

「メールではお客様の本人確認が必要なお問い合わせの受付を控えさせていただいております。

そのため、お客様の個人情報(氏名、住所、電話番号、クレジットカード番号等)のご入力はお控えください。

お客様の本人確認が必要なお問い合わせにはVpassをご利用ください。」

 

この「お客様の本人確認が必要なお問い合わせにはVpassをご利用ください。」という文言の件、

電話で問合せたときには、Vpassログイン内には問合せフォームはないとのことでした。

 

Vpassを使って、どう問合せするのかについては、改めて問合せたところ、

「各種手続きがVpass上から行える、という意味合いで表記させていただいております。」

とのことでした。(紛らわしいですね・・・)

 

3) 三井住友カードの「問合せフォーム」にアクセスする手順一覧

三井住友カードの「問合せフォーム」にアクセスする手順はいかがでしたでしょうか。

何というか・・・地底奥底の魔宮みたいな場所にある「問合せフォーム」でした。

念のため、1~6までの手順とURLをまとめておきます。

手順 画面名 URL
1.  三井住友カードのトップ画面を開く トップ画面 https://www.smbc-card.com/index.jsp
2.「三井住友カードの取り組み」をクリックする
3.「お客さまの声に 詳しくはこちら>」をクリックする 三井住友カードの取り組み https://www.smbc-card.com/company/efforts/index.jsp
4.「ご意見・ご要望はこちら」ボタンをクリックする お客さまの声に https://www.smbc-card.com/company/cx/index.jsp
5.「>WEBサービス「Vpass」を利用するカードをご利用のお客さま」をクリック お客さまの声 https://support.smbc-card.com/voice
6.  問合せフォームが開く メールによるお問い合わせ https://support.smbc-card.com/inq/maildesk

 

なお、「お客さまの声」画面(意見用問合せフォーム)と、「メールによるお問い合わせ」画面(回答が必要な場合の問合せフォーム)のソースを確認したところ、2画面ともに「<meta content="noindex" name="robots" />」の指定がありました。

 

これは、検索で見つけられたくない場合、検索エンジンにインデックスさせないための設定です。

やはり、よっぽど問合せされたくないんですね…。

 

(いろんな問合せが来て大変だったり、できるだけ対応コストをかけたくない趣旨はわかるものの…)

 

私の場合、問合せ先を探して、折り返し電話の予約をするだけで1時間ほどかかってしまいました…。

お困りの方が問合せするのにこのページが役立ちますように…。

 

4) 三井住友カードで「折り返し電話予約」をする方法は

なお、以下のフォームから「折返し電話のご予約」が可能なようです。

https://www.smbc-card.com/mem/info/index.jsp?ordn=1

 

こちらもご利用ください。

中堅企業とは?国が中堅企業を重視する理由は?

中堅企業

 

2024年2月16日、政府は産業競争力強化法の一部改正案を閣議決定しました。

その改正案で中堅企業が新たに定義されました。

中小企業と中堅企業はどのように違うのか。なぜ政府は中堅企業を重視するのか。わかりやすく解説します。

1) 中小企業とは?

まず、中小企業の定義は以下の通りです。(中小企業基本法に定められています)

業種分類 中小企業基本法の定義
製造業・建設業・運輸業等 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

 

つまり、資本金か従業員数か、どちらかが中小企業の要件に当てはまっていたら「中小企業」と見なすということです。

それと、法人であっても個人事業主であっても、要件を満たせば「中小企業」です。

(なお、個人事業主の場合は資本金がありませんので、個人事業主については、従業員数が要件です)

 

上表を簡潔にまとめると以下になります。

業種分類 資本金の額又は出資の総額 常時使用する従業員の数
製造業・建設業・運輸業等 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5千万円以下 50人以下
サービス業 5千万円以下 100人以下

(なお、上記とは別に「法人税法における中小企業」の定義もあります。法人税法上の「中小企業」は「資本1億円以下の企業」です。

 法人税法上の中小企業では、軽減税率が適用されます)

2) 中堅企業とは?

では、中堅企業の定義は何でしょうか。

「中堅企業」とは、常時使用する従業員の数が2,000人以下の会社等です。(中小企業者を除く)

全国に約9,000社あるとされています。

 

2024年2月16日、政府は産業競争力強化法の一部改正案を閣議決定しました。

「従業員の数が2,000人以下の会社等」という中堅企業の定義は、この改正産業競争力強化法において新たに定義されたものです。

業種分類 資本金の額又は出資の総額 常時使用する従業員の数
大企業 従業員数 2,000人超 の会社・個人 ※中小企業者除く 約1,300社
中堅企業 従業員数 2,000人以下の会社・個人 ※中小企業者除く 約9,000社
中小企業 (上表参照) 約336万社

 

政府は、中堅企業の特性を次の言葉で説明しています。

中堅企業は、中小企業を卒業した企業であり、規模拡大に伴い

・経営の高度化

・商圏の拡大

・事業の多角化

といったビジネスの発展が見られる段階の企業群

では、国が「中堅企業」を重視する理由は何でしょうか。

3) 国が「中堅企業」を重視する理由は?

国は、2024年を「中堅企業元年」として

中堅企業の国内投資を強力に後押しするとともに、経営力の高い中堅企業による中小企業のグループ化を通じた

・収益力向上、

・経営資源の集約、

・労働移動

を進め、産業構造の新陳代謝を加速化する」としています。

 

中堅企業の国内投資を支援 経営力の高い中堅企業による中小企業のグループ化 産業構造の新陳代謝を加速化

 

そして、国が「中堅企業」を重視する理由としては、

・国内経済、国内投資等への貢献

・地域での賃金水準引き上げ

を挙げています。

4) 中堅企業の重要性①:国内経済、国内投資等への貢献

国が中堅企業を重視する理由の一つ目は、国内経済、国内投資等への貢献度合いが高いことです。

具体的には以下のように説明しています。

 

・中堅企業は、海外拠点の事業を拡大しつつも、国内拠点での事業・投資も着実に拡大し、国内経済の成長に最も大きく貢献。

 

・他方、大企業は、この10年間で圧倒的に海外拠点での事業を拡大してきた。

 今後成長する中堅企業が、国内投資を拡大し続ける成長戦略を描けるかどうかが、日本経済の持続的な成長に決定的に重要。

5) 中堅企業の重要性②:地域での賃金水準引き上げ

国が中堅企業を重視する理由の二つ目は、良質な雇用を提供し、地域の賃金水準の引き上げへの貢献が期待できることです。

具体的には以下のように説明しています。

 

・日本全体の賃上げを実現するには、従業者数・給与総額の伸び率が大企業を上回り、さらに地方に多く立地し、

 良質な雇用の提供者となっている中堅企業の果たす役割が大きい。

 

・中堅企業は一社あたりの従業者数も中小企業より大きく、成長投資等により規模拡大し賃上げすることは、

 取引先や周辺企業への波及も含め、地域の賃金水準の引き上げに貢献することに加え、良質な雇用を生む成長企業への

 経営資源の集約化など前向きな新陳代謝の受け皿としての役割も期待される。

 

つまり国の考え方としては、国内経済の成長と賃金水準引き上げのためには、中堅企業を支援することが効果的だと考えているということです。隈なくすべての企業を支援するのではなく、競争力があり収益性の高い中堅企業にフォーカスを当てて支援することで、国全体の経済成長を実現しようとしているのでしょう。

6) 中堅企業政策 3つの対策の創設

中堅企業支援策としては、以下の3つの施策の創設が計画されています。

 

①賃上げ原資確保のための省力化等の大規模成長投資支援の創設

・ 補正予算(経済対策)で3年・3,000億円の大規模投資補助

・地域未来投資促進税の「中堅企業枠」創設(税額控除率の引き上げ)

 

②賃上げ促進税制の中堅企業枠の創設

・中堅企業の賃上げ環境の整備に向けて、賃上げ促進税制に「中堅企業枠」創設

 (現行は大企業向けと中小企業向けに二分)

 

③経営力の高い中堅企業等に経営資源を集約化し賃上げに繋げるグループ化税制の創設

・中堅企業等が事業承継に課題を抱える中小企業を複数回M&A(グループ化)を行う場合に税制面のインセンティブを付与

 

※なお、中堅企業支援策の詳細については以下をご参照ください。

「成長力が高く地域経済を牽引する中堅企業の成長を促進する政策について」

(2024年3月13日 経済産業省 経済産業大臣政務官 吉田宣弘氏)

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/katsuryoku_kojyo/seichou_sokushin_wg/dai7/siryou3.pdf

 

7) 利益率20%以上の中堅企業は360社以上

なお、2024年4月22日の日本経済新聞によると、利益率20%以上の中堅企業は全国で360社以上あるそうです。

(創業10年未満のスタートアップを除く)

 

下表は、東京商工リサーチの調査をもとに日本経済新聞がまとめたものです。

企業名 本社所在地 事業概要
ナカニシ 栃木県 歯科用機械器具製造
三晃社 愛知県 広告・販売促進
ユカリア 東京都 病院の経営支援
情報企画 東京都 金融機関向けシステム
アンビックス 北海道 ホテル・ゴルフ場経営
eBASE 大阪府 小売店向け管理ソフト

「小さな変化に気づく」ことが大事な理由は?

計測

 

日頃、インターネットを使っておられるでしょうか。

何かを調べようとするときに、インターネットで調べるケースは多いのではないかと思います。

 

見込顧客も同じです。何か知りたい事があるときは、きっと検索していることでしょう。

その時に自社のホームページが検索結果のページの上位に表示されたら、いいと思いませんか?

 

ある調査では、検索順位が1位と2位では、クリック率は約半減。

2位と3位でもクリック率約半減。

 

つまり、検索されたときにトップページに表示されることは必須として、

少しでも上位表示されることが自社を知ってもらうことにつながる、

つまり自社にとってチャンスになるということです。

 

そのホームページの検索順位アップに一緒に取り組んできた会社様がおられます。

地道な取り組みを継続することで、少しずつ検索順位がアップ。

 

トップページに表示されるようになって以降のその後の順位アップは緩やかになり

なかなか順位が上がらなかったのですが、

 

先日、久々に順位アップし、もう嬉しくて嬉しくて、日曜日だったのですが、

その会社様にメールを連投してしまいました…。

 

(お休みの日にすみませんでした…)

 

さて、稲盛和夫さんの書籍で以下のようなエピソードを読んだ事があります。

何かというと、創業時の若い頃の開発のエピソードだったと思います

 

ある開発が一歩前進したときに稲盛さんが「やったー!」と飛び上がって大喜び。

それを見ていた社内メンバーの一人が

 

「そんな事くらいでいちいち飛び上がって喜ぶのか?」

 

と冷ややかな言葉を浴びせてきた。そんなお話でした。

(確か、自燃性、可燃性、不燃性というお話だったと記憶しています)

 

稲盛さんはこの件について、一つの事を全力で喜べない人に、

継続して成果が出せるのか?という疑問を呈しておられました。

 

一つの「小さな成果」を全力で喜び合う。正しい方向に向かっている事を確認し合う。

それが次の行動の原動力になります。

成果を出すのは楽しい!という意欲にもつながります。

 

多くの場合、目に見える成果を出すまでには時間がかかります。

 

だから、メンバーが継続して行動できるようにするためには、

成果に至るプロセスを細かいステップに細分化し、一つ一つのステップの

「小さな成果」を確認することがとても重要です。

 

そして、正しい方向に向かっているかどうか。

「小さな成果」や「小さな変化」に気づくためには、感覚論で仕事をするのではなく

数値を計測して把握する事がポイントです。

 

数値計測する事によって初めて、客観的に変化を把握できるためです。

逆に言うと、計測がないところに、再現性のある改善は見込めません

 

今回、検索順位アップに気づけたのは、担当者の方が数値データを毎月、

送ってくださっているためです。

 

継続してきちんと仕事してくださっている担当者さんに感謝です。

 

 

【3月15日 新法案が閣議決定】2026年中に「企業価値担保権」という新制度が始まる見通しです 

成長企業

以前に、研究開発型のベンチャー企業さんの知的資産経営報告書の作成を

ご支援させていただいたときのことです。

 

作成したレポートを取引金融機関に見せたところ

「そういう事業をされているのですね!」

との反応が返ってきたそうで、その影響かどうか、金利が下がったそうです。

 

「知的資産」とは何か。ひょっとしたら、聞き慣れない言葉かもしれません。

よく間違えられるのが「知財」です。

 

「ウチには知財はないので…」、そんな風に言われることも多いです。

 

「知的資産」とは知財のことではなく、その会社の競争優位性を

生み出している、強みのことです。

 

たとえば、技術力であったり、商品開発力、ノウハウ、スキル、しくみ、

体制、人材の質や厚み、顧客基盤、ネットワーク、蓄積してきたデータ等々…、

 

競争優位を生み出し、将来のキャッシュフローの源泉となる強みをすべて

「知的資産」と言っています。

 

競争優位とは「お客様に選ばれることにつながる他社との違い」です。

 

なので、「お客様に選ばれることにつながる他社との違い」を

知的資産と考えると、考えやすいかもしれません。

 

知的資産経営という経営のやり方は、もともと経済産業省が提唱したものです。

 

その背景としては、将来性のある企業が財務内容が悪いばかりに、

資金調達ができないとしたら、地域経済や日本経済にとって損失だという

考え方があります。

 

そこで、財務内容が今、仮によくないとしても、将来キャッシュフローの

創出につながる強みを持つ企業であれば、銀行から適切な評価を

受けられるべきだ。

 

そのために、企業側としては、自社の強みを適切に把握し、対外的に開示

できるように整理しよう。 それが知的資産経営のもともとの発想です。

 

また、同じ問題認識から、金融機関は、企業の決算書だけを見るのではなく

企業の事業内容や強みをしっかり評価して、資金供給するべきだ、

という考え方が事業性評価事業性評価融資という考え方です。

 

さて、先週の3月15日、ある新法案が閣議決定されました。

 

日本経済新聞などでは報道されなかったようですが、事業性評価の実効性

を高めるための大きな一歩と言える法案です。

 

法案の名称は「事業性融資の推進等に関する法律」案。

企業価値担保権」という新たな担保権がその法案の内容です。

 

これは、金融庁が「事業成長担保権」という名称で法制化を目指して

いたものです。

 

具体的には、ノウハウ・顧客基盤等の無形資産を含む事業全体を担保とする

ことで、成長企業が資金調達できるようにするという事がその狙いです。

 

ノウハウ・顧客基盤等の無形資産とは、つまり「知的資産」です。

新制度の開始は2026年の見込みのようです。

 

企業の側もこれまで以上に、自社の競争優位性、つまり、将来キャッシュフローの

源泉である自社の強みを把握し、開示する努力が求められると言えるでしょう。

 

企業価値担保権についてご興味がある方は、以下の記事も合わせてご参照ください。

 

「企業価値担保権とは?事業成長担保権との違いは?わかりやすく解説」

https://vision-cash.com/chiteki/corporate-value-security-interest/

 

「売っているモノは今までと同じなのに過去最高益です」

ミーティング

 

「売っているモノは今までと同じなのに過去最高益です。 

 お礼を言いたくてお電話しました」 

そんな電話をいただきました。

 

1)「お金のブロックパズル勉強会」でお伝えした内容は

 

去年の春に「脱ドンブリ経営」実践セミナーに参加され、 

「この内容を社員にも話してほしい」とのご要望をいただいて、 

 

去年の夏に社員の皆さんを対象に3時間の 

「お金のブロックパズル勉強会」をさせていただきました。 

 

勉強会でお伝えしたことは 

 

1) 会社にとってなぜ粗利や利益が重要なのか。 

2) 社員のお給料はどこから支払われるのか。 

3) 粗利益を増やすためにできることは何か。 

 (グループ別討議と発表) 

 

要約すると、これだけの内容です。

たった3時間の研修です。 

 

お電話をいただいてお聞きした事は以下です。 

 

2) 決算の数字は過去最高益、賞与額も過去最高額の要因は

  

講習を受けて自分自身のマインドも変わり、 

粗利益と営業利益を毎月、社内で、Excel共有するようにした。 

そうすると「1円でも1%でも利益を出そう」 と社員が考えるようになった。 

 

例えば、不用意に値引きをしないとか。 

数をまとめてセットで売るとか。 安い仕入先を探すとか。 

 

粗利益率は毎月変動するが、それを見て、

「低い時はなぜ低いのか」、社員が議論するようになった。 

 

その結果、決算の数字は過去最高益、 

ボーナスの金額も過去最高額です。 

 

今までは、「売上が増えればボーナスも増えるんだろう」、 

社員は漠然とそう思っていたようです。 

 

今は粗利益と営業利益の数字がリアルにわかるので、 

「この数字なら、これくらい賞与が貰える」と電卓を叩いているようです。 

 

数字を共有するって本当に大事だと思いました。 

一つの目標に向かって、全員で数字を共有し、 

良くても分析する。悪くても分析する。 

 

〇〇がよかったら、よかったんだ。 

〇〇が落ち込んだから、ダメだったんだ。 

と月次でみんなで対策をする。 

 

それによって、みんなで目標を達成することができました。

やればできるという事がわかりました。 

 

次期からは、事業計画書を策定して、 全従業員に向けて

発表、共有する予定です。 

 

3) 「やればできる!を体感した」

 

社長からは「ぜひ、他の会社様に『やればできる!』ということを

お伝えしてください。 私たちがそれを体感しました」

 

とのメッセージをいただきました。 

 

この会社、新しいことに積極的に取り組むなどはされていますが、

規模的にはいわゆる中小企業さんです。 

 

自社とは業種が違う。規模が違う。 だから、できただけだ。 

あるいは、社員に恵まれているからだ。 そう思いますか? 

 

自社でも同じようにできないか。

考えてみてはいかがでしょうか? 

 

※社長に参加いただいた「脱ドンブリ経営」実践セミナーの内容は

 以下のボタンクリックで確認できます。

 

「脱ドンブリ経営」実践セミナー

「リスケはしたくない」

1) 「リスケ」と聞いてどう思う?

「リスケ」と聞いて、どんな印象を持たれるでしょうか? 

 

ほとんどの方が「リスケはしたくない」と思う、

それが正常な感覚だと思います。 借りたお金は返さないといけません。 

 

返済猶予をしなくて済むなら、 その方がいいし、返すのが当然です。 

ただ、それは返せるお金がある前提のお話です。 

 

資金不足で返せない場合はどうでしょうか。 

お金が足りない場合の対応方法は、大きく分けて以下の2種類です。 

-

1)「入ってくるお金」を増やす 

2)「出ていくお金」を減らす 

 

原則として、このどちらかです。 

 

(他の方法があるとしたら、サイトの見直し等で入金を早める、

 出金を遅くする、です) 

2)「入ってくるお金」を増やす、「出ていくお金」を減らす には?

 「入ってくるお金」を増やす方法として最も本質的な方法は、 

当然のことながら、「売上を上げて利益を増やす」ことです。 

 

ただし即効性という観点で困難な場合が多いでしょう。 

 

他の方法としては、資産の換金も有効です。 具体的には 

 ・遊休資産などの売却 

・保険の解約 

・貸付金の回収 

などです。 

 

自社の貸借対照表の「資産の部」を見て換金できるものがあれば、

換金することで、お金を増やすことができます。

 

このときに含み損があるから今売れば損! などと考える必要は

ありません。 含み損があっても売ればキャッシュフローはプラスです。 

 

しかも含み損分の特別損失計上で、節税効果も見込めます。 

 

同時に「出ていくお金」を減らすことも考える必要があります。 

費用対効果の観点から、効果の低い支出を減らす。 

 

たとえば、不流動在庫を処分するなどして、倉庫スペースを

減らすことができれば倉庫の賃料を減らす事につながります。 

 

このような取り組みを行っても、資金繰りが苦しい場合には

次の施策を考える必要があります。

 

具体的には、借換や新規の借入です。

3) 借換や借入がうまくいかないときには?

借換や新規の借入が了承されれば、「入ってくるお金」が増えたり、 

月々の返済が減るので、資金繰りは改善されます。 

 

このときに、借換や借入が不可だった場合、次の選択肢として

「リスケ」を考えてほしいのです。 

 

借りたお金を返す義務があるのは当然です。 

ただ、その義務に縛られて、給料の遅配や仕入先・協力業者への支払いが

遅れることになれば、本業の継続に支障をきたします。 

 

資金が限られている中で、支払いの優先順位をつけざるを得ない

状況になった場合には、「リスケ」も有効な選択肢です。 

 

何も借金の踏み倒しを推奨している訳ではありません。 

 

一時的に返済猶予を了承いただいて、その間、本業の改善に集中し、 

返済開始できる事を目指せばよいのです。 

 

たとえば、粉飾まがいのことをして、借入するくらいであれば 

早期にリスケし、本業改善に取り組む方が後々、良い結果に

つながることでしょう。 

 

なお「リスケ」を選択肢とする場合に大事な注意点があります。 

4) 「リスケ」の際の留意点は?

それは、リスケ中は新規借入が不可になるので、手元資金が枯渇してから、

リスケすると、一層資金が回らなくなるという事です。 

 

なので、ある程度、手元資金があるうちに「リスケ」を考える

必要があります。 

 

具体的には、3~6か月先の資金繰りが危うい場合には「リスケ」を

考えた方がよいでしょう。 

 

なお「リスケ」を依頼されると、金融機関は本部に稟議を上げる必要

があります。 

 

リスケをお願いしたい返済日から逆算で一か月前(余裕を見て40日前)

には、リスケ依頼に必要な「経営改善計画書」を金融機関に提出したい 

ものです。 

 

「リスケしたくない」と改善の取り組みをただ先延ばしにしたり 

「なんとかなる」と棚上げしていても、具体的な改善の取り組みを

しなければ、何ともならない事が多いです。 

 

「リスケ」は業績改善のための一手段なのです。 

かつて「売れない営業」でした・・・

プログラミング

 

営業を担当されている方々がご苦労されているご様子を拝見して

思い出すことがあります。

 

かつて自分が「売れない営業」だったときのお話です。

 

営業に行きたかった

 大学を卒業して就職したメーカーで配属された部署はマーケティング部

でした。

 

仕事はブランド管理とか市場調査とか販売促進などなど。

その後、異動して事業部門の営業企画を担当しました。

 

それはそれで楽しくはあったけれど、スタッフ部門の仕事というのは

成果が見えにくく評価されにくい…。

 

ときどき営業の人に同行させてもらって楽しかったので、

隣の芝生が青く見えて、自分も営業に行きたいと考えました。

 

異動を申請し、その結果、辞令を貰ったのですが、

貰った辞令には異動先として「情報システム部」と書いてある。

 

これは何かの間違いなんだろうか…?

 

「売れないならシステムを作れ」

 理由を尋ねると、情報システム部で社外向けのシステムを開発したが、

情報システムの要員は全員エンジニア。売る人がいない。

 

営業がしたいなら、情報システム部で社外向けシステムを売りなさい、

というお話でした。

 

今、振り返ってみて、かなり無茶な指示だったと思う。

本人が営業を志望したとしても、知識もない。経験もない。

 

そして、50人ほどの情報システム部の中で、たった一人の営業担当者。

相談する人も誰もいない。

 

そして、情報システム部が初めて開発した、社外向けシステムとやらも

必ずしも完成度が高い訳ではなかった…。

 

(営業に行って「もう少しマシなものができたら、また来てよ」とか

 呆れられておりましたから…)

 

そんなこんなで全く売れない…。

 

上司いわく「売れない営業は要らない。ウチはシステムの部署。

売ってこれないならシステムを作れ」

 

「本を読んで勉強しろ。本は自分で買え」

 …まあ、困りました。

 

営業もできなかったけど、システムなんてもっとできない。

そもそも作った事がない。全く知識もない。

 

「作った事がないなら本を読んで勉強しろ。本は自分で買え」

と言われ、嫌も応もなく、システムの勉強を開始することになりました。

 

ただ、会社も我慢してくれていたと思います。

一か月の間、何も言わずにほおっておいてくれました。

 

その間、毎日毎日、本を片手にプログラミング。

 

初の体験でしたが、根が凝り性なので、やり始めるとそれなりに

集中して取り組むことができました。

 

一か月の猶予をもらって出されたお題は確か

・HTML・CSSやJavaScriptを使って、内容は何でもいいので、

 WEBサイトを構築すること

・JavaとSQLの習得

 

そして、一か月後。自作のWEBサイト等々を上司に報告。

(興が乗って、趣味満載のWEBサイトを作成していたので、

上司は目を白黒…)

 

周囲の人は、一か月でできるようになるとは思っていなかったと

思います。

 

上司は褒めもせず無言でしたが、放置期間終了。

開発チームに加わることになりました。

 

「やったらできた!」という経験が次に進む力になる

 そして、ちょうど会社が社外向けのシステム開発受託を始めたタイミング

だったので、その後、いろんなシステムの仕事をさせてもらいました。

 

大手量販店とか大手製薬会社とか大手化粧品会社とか…。

 

(当時、社内のエンジニアは社内の基幹システムにCOBOLを使っていました。

 私はオブジェクト指向言語からスタートしたので、逆に社外向けシステムに

 取り組みやすかったという事情もありました)

 

そこで、思った事は、やった事がなくても、何歳になっていても

やろうと思って、必死でやればできるんだ!ということ。

 

じゃあ他にも何かできるのでは?といろんな勉強を始めて、

中小企業診断士の資格を取り、今はキャッシュフローコーチとして

仕事をしています。

 

人生とはわからないものです。

 

今、ふり返って思うことは「やったらできた!」という経験が

次に進む力になることをあの経験で学べたのだということです。

 

「どうせできない」と諦める前に、そして「できない理由」を

考える前に小さなことでいいです。

 

「やったらできた!」を積み重ねていきませんか。

 

 

前年ベースで事業計画を立てる場合の前提条件は?

事業計画

 

事業計画をどのように立てておられるでしょうか。 

「前年比ベースで立てている」、そうお聞きする事が多いです。 

 

業歴が長い会社様において前年実績をベースに事業計画を考える事は 

実効性や確実性という観点で大いに意味があると考えています。 

 

ただし、前年比ベースが有効に働くには一点、重要な前提事項があります。 

 

それが何かというと、前年実績が損益ベース、キャッシュフローベースともに 

プラスであるという前提です。 

 

前年実績が、損益ベースで黒字、キャッシュフローベースでも 

資金収支プラスであるとすれば、 

 

それは、前年実績に大きく改善すべき点がないということなので 

前年実績ベースで変更点を差引したり、市場動向を反映させる方式での

計画立案で大きな問題はないでしょう。 

 

前年実績が赤字な場合はどうすればいいでしょうか。 

 

多くの会社様が売上を増やして黒字にしようとされます。 

売上を増やす努力はもちろん大事ですが 

売上が上がるにはお客様から発注いただく必要があります。 

 

相手があって初めて実現できる事なので、売上アップの努力とともに、

早期の止血策として、固定費削減など自社の努力だけでできる

取組みも同時に必要でしょう。 

 

そして、もっとも注意が必要であるのは、損益ベースで黒字、

ただし、キャッシュフローベースで資金収支がマイナスの場合です。 

 

前年実績ベースで事業計画を立てると、前年同様、資金収支が

マイナスになる可能性があります。 

 

そして、とても恐ろしい事は、自社が資金収支マイナスである事に 

気づかれていない会社様が非常に多いということです。 

 

わかっていて、あえてそうしている場合は問題ないと思いますが 

年間資金収支マイナスに気づかずに、同じ事をくり返すと

どうなるでしょうか。 

 

気づかないままに現金が減り、資金繰りが苦しくなります。 

 

特に今は、コロナ借入で借入残高と現預金残高の両方が増えている

会社様が多いです。 

 

この場合、年間の本業キャッシュフローで年間の返済額を賄うことが

難しく、借入残高と現預金残高の両方を減らして返済を進めていく

ケースが多くなります。 

 

年間の資金収支はマイナスであるけれど、適正範囲内なのか。 

長期的な資金収支において、リスクのある状態なのか。 

 

長期シミュレーションをした上での判断とそれに基づく

事業計画立案が必要でしょう。 

 

SWOT分析には愛情がない?

愛情

 

「SWOT分析」ってご存じでしょうか。 

超有名なフレームワークの一つです。 

 

事業環境を強み、弱み、機会、脅威の4つの観点で整理するというものです。 

強みと機会が内部環境、機会と脅威が外部環境です。 

 

事業計画書を書くときなどに使われる事が多いです。 

 

フレームワークというのは物事を当てはめて考えるための

「思考の枠組み」です。 

 

この「SWOT分析」は超有名すぎるがためか? 

ときどき批判する方にお会いします。 

 

特に、税理士さんや銀行員の方などにSWOT分析などのフレームワーク分析を 

目の敵にしている方がおられます。 

 

「企業への『愛情』が感じられない」とか…。 

「意味がない」とか、その他諸々…。 

 

企業側の当事者の方からは 

「やろうと思ってやってみたけれどうまくできなかった…」 

というご意見もときどきお聞きします。 

 

まず「愛情」の件、

これはフレームワークが客観的な分析である事がそうした印象を 

与えることがあるのでしょう。 

 

次に当事者からの「うまくできなかった」件、 

これは実際にやってみて、難しさに気づくことがあります。 

 

どういう事かというと、一つの物事が機会なのか?脅威なのか? 

立ち位置で変わる事があります。 

 

たとえば、顧客からの短納期要請の件 

これは、できる企業にとっては機会、できない企業にとっては脅威です。 

 

なので、一つ一つを単体で単純に考えるのは実は難しく、

今後取るべき方向性と行きつ戻りつして、考える必要があります。 

 

そういう意味では確かに使いにくい面もあり、 

個人的には分析のためには「SWOT分析」はあまり使いません。 

 

個人的に「SWOT分析」を使うのは事業計画書などで、

事業環境の説明を記載するときなどです。 

 

「SWOT分析」という手法を使うことで、物事がシンプルに整理され、

第三者にとって意図や背景が理解されやすくなるためです。 

 

つまり、

フレームワークの利点は「強制的」に「網羅性」を担保できる

点にあります。 

 

人間の視野は狭いものです。 

 

特に同じ業界、同じ業務に長く居続けると、 

あれもできない。これもできない。 

できない事がどんどん増えていきます。 

 

そんな思考状態で、個別的に考えると、経験則的に同じところを

なぞるような事が起こりがちです。 

 

なので、「フレームワーク」は分析ツールというよりも

強制的に視野を広げるためのツールと捉えてはいかがでしょうか。 

 

そういう意味では、必ずしも「SWOT分析」などの

有名フレームワークである必要はなく 

その企業の課題に合わせた二軸のマトリクスなどでも役立ちます。 

 

「できない」と思ってきたことは本当に将来にわたって、

ずっとできない事なのか? 

 

今は「できない」としても、今後できるようにするための条件を

一つずつ整える事は絶対にできない事なのか? 

 

視野を変えるとできる事はたくさんあります。 

 

 

資金繰り悪化に気づいた時に思った事は…

下降

 

以前に資金繰りが悪化した企業の社長様とお話させていただいた事があります。

資金繰り悪化に気づいた時にどんな対応を取られたかというと…

何とかなると思った」そうです。

 

この傾向は特に創業社長さんに多いと思っているのですが

創業社長さんには「自分が何とかする」、「何とかできる」という

タイプの方が多いように感じています。

 

ある創業社長さんが起業に必要なマインドについて

未知の事にチャレンジするには、根拠のない自信というか、

 自分だったらやれるという感覚が大事」と話されていて、

 

それは本当にその通りだと思うのですが、その感覚が業績悪化局面で発揮されると、

一種の「正常化バイアス」が働き、何とかできると思ってしまう…。

 

(「正常化バイアス」とは、自分にとって都合の悪い情報を

 過小評価する傾向のことを言います。

 その結果、災害時に逃げ遅れたりする…)

 

往々にして、そんな事があるようです…。

 

資金繰りについて考えると、現時点の大きな社会的問題は、

コロナ借入の返済です。

 

コロナ禍で多くの企業が業績悪化。国は業績悪化した企業を助けるべく

公庫のコロナ貸付やゼロゼロ融資を実施。

 

このコロナ借入の据置期間が終わり、

返済開始となる企業が今年(2023年)の7月以降に急増するようです。

 

平時であれば、

簡易CF=経常利益-法人税等+減価償却費 をまずは確認する。

 

・簡易CF > 年間の返済額 → 返済可能

・簡易CF ≒ 年間の返済額 → 資金繰り厳しい

・簡易CF < 年間の返済額 → 資金繰り難

 

と判断できるのですが、コロナ借入で借入残高と預金が

同時に増えた企業においては、借入と預金を同時に減らして

返済していくケースが圧倒的に多いと思われます。

 

この場合、簡易CF < 年間の返済額 なので、

今後、数年間の資金収支シミュレーションも含めての確認が必要となります。

 

この場合、預金にお金はある事が多いので、現時点で問題は顕在化していない。

しかも日々の業務で忙しい…。

何とかなるだろう…」と思いやすいパターンです。

 

その中には、実際に何とかなる企業もあれば、資金繰り難に陥る

企業もあると思われます。

 

こういう問題では早めの対応が重要です。

早く気づけば、取りうる選択肢も多くなります。

 

今後の返済負担に耐えられるかご心配な場合は

「脱ドンブリ経営実践セミナー」にご参加ください。

 

自社の経営数字をどのように判断に活かせばいいかお伝えさせて

いただきます。

 

自社の経営数字を知る事で今後を見通して、やるべき事に

取り組めるようになるでしょう。

 

 

経営者保証を外すための2024年4月からの信用保証制度は…

事業承継時の経営者保証の徴求状況

 

ある後継者の方から 

借入の保証人になるのが気が重い…」とお聞きしたことがあります。 

 

事業承継において、借入の個人保証は障害の一つと言えるでしょう。 

国としても個人保証の問題を重要視しています。 

 

具体的には、この4月から借入の際に個人保証を求める手続きが厳格化されます。 

金融機関が経営者等に個人保証を求める場合には 

 

・どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか。 

・どのような改善を図れば保証契約の変更、解除の可能性が高まるか。 

 

について具体的に説明し、記録する事が 必要になります。 

こういう施策においては、 その実効性をどう担保するかが重要です。 

 

今回は、金融庁に「経営者保証専用相談窓口」を設置し、 

「金融機関から経営者保証に関する適切な説明がない」などの相談を受けつけ、

状況に応じて、金融機関に対してヒアリングなどを実施するようです。 

 

金融庁としても真剣に取り組まれるようですので実効性を期待したいところです。 

また、2024年4月には、以下の制度を開始するようです。 

 

①一定の要件と保証料の上乗せ負担により、 

 経営者保証の解除を選択できる信用保証制度の創設 

 

②売掛債権・棚卸資産を担保とする融資(ABL) に対する

 信用保証制度において、経営者保証の徴求を廃止 

 

③プロパー融資における経営者保証の解除等を条件に 

 プロパー融資の一部に限り、借換を例外的に認める

 プロパー借換保証の時限的創設 

 

なお、上記①の一定の要件とは 

 

・法人から代表者への貸付等がないこと、 

・決算書類等を金融機関に定期的に提出していること 

 

など経営者の努力次第で達成可能な要件とするようです。 

今回ご紹介した上記3点の制度は、2024年4月からの制度です。 

 

現時点で利用できる制度としては、事業承継特別保証という制度があります。 

これは事業承継に際して、経営者保証を外すことができる制度です。 

利用できる会社は以下のいずれかです。 

 

1) 申込受付日から3年以内に事業承継を予定する事業承継計画を

 有する法人 

 

2) 事業承継実施から3年未満の法人 

 (2020年1月から2025年3月までに事業承継) 

 

制度利用の要件として以下4点を満たす必要があります。 

 

① 資産超過であること 

② EBITDA有利子負債倍率 15倍以内 

③ 法人・個人の分離がなされていること 

④ 保証協会への申込日において返済緩和している借入金がないこと 

 

この事業承継特別保証制度の利点の一つは、既存のプロパー借入金

(個人保証あり)の借換えも可能という点です。 

 

(ただし保証限度額2億8千万円以内) 

 

要件を満たす場合には利用を検討してみてはいかがでしょうか。 

 

なお、EBITDA有利子負債倍率の計算式は 

(借入金・社債-現預金)÷(営業利益+減価償却費) 

です。 

 

つまり、EBITDA有利子負債倍率15倍とは 

債務償還年数15年ということです。 

 

こうした要件を見ていると、制度を利用しないとしても 

金融機関が企業に求めている事がわかります。 

 

・資産超過であること 

・債務償還年数は最大でも15年以内 

・法人・個人の分離(法人から代表者への貸付等がない等) 

・決算書類等を金融機関への定期的な提出 

 

などなどです。 

 

また金融庁が金融機関に求めている事の一つに 

企業の理解と納得のための具体的な説明」があることもわかります。 

 

金融機関からの支援を得ようとする場合には、自社ができる努力をした上で、

金融機関と十分な対話を図ってみてはいかがでしょうか。 

 

「誰が考えても、こうなるやろ」

言語化

 

以前に、何人かの知人の経営者の方々に「ミッション策定体験」として、

お話をお聞きしながら、ミッションの言語化をサポートさせていただいた

事があります。 

 

こちらから質問させていただいて、お話をお聞きしながら、

考えていただく事で 

 

「自然な会話のうちにミッションが言語化された」 

などと喜んでいただく事ができました。 

 

その時にいただいた感想の中で、個人的に一番、面白いと思った言葉は 

「誰が考えても、こうなるやろ」という言葉です。 

 

どういうことかというと、その時に言語化されたミッションが 

その方にとって、あまりにも重要で普遍的な内容と感じられたことから 

誰が考えても、そのミッションになるのではないか?

と感じられたようです。 

 

当たり前の事ですが、実際はそんな事は、まったくなくて、 

会社によって、また経営者によって、ミッションは一つ一つ

まったく異なっています。 

 

その理由は、価値観や志向の違いももちろんありますが、

事業分野や取扱製品・サービスの違いにも由来します。 

 

ミッションとは、一言でいうと会社の存在意義。

あるいは社会の中での役割。 

 

言葉を変えていうと 

自分たちが得意な事での他者貢献」がミッションです。 

 

どんな領域でどのようにお客様に貢献するか。 

これを端的に言い表す言葉がミッションなのです。 

 

事業ドメインという言葉があります。 

一言でいうと「自社は〇〇屋さん」 

この「〇〇」に入る言葉が事業ドメインです。 

 

金属加工業とか、資材販売業とか、建設業とか、歯科医院とか。 

表層的にはこれが事業ドメインです。 

 

ただし同じ業種の企業であっても、 

どのように、どんな価値を提供するかは企業によって、異なります。 

それを端的に表す言葉が「ミッション」です。 

 

事業ドメインに、顧客提供価値をプラスすると、ミッションになる

とも言えるでしょう。

 

なのでミッションが明確であると、やるべき事も明確になります。 

別の言い方をすると「〇〇屋さん」はプロダクトアウト的。 

 

ミッションは自社の事業が 

「誰に、どんな価値を、どのように提供するか」を表したものです。 

 

自社の事業、また、自分の仕事がお客様に価値を提供していると

考えるとワクワクすると思います。 

 

やるべき事を明確にするために、自社のミッションを言語化して

社内共有してみませんか。 

 

どのように報告すべきか?

報連相

 

「社員の報連相ができていない」

経営者の方からときどきお聞きする言葉です。

 

報連相というと報告・連絡・相談です。

 

あまりにも当たり前のことのようですが

報連相がその機能を果たすには、どのように報連相すべきか

社員にきちんと教えることが大事だと考えています。

 

社員に「報連相」を指導するには、その3つの違いは何か。

どのように行うべきか。

自分自身の考え方が明確である必要があります。

 

たとえば「報告」です。

 

一般には、任務に対して経過や結果を知らせること。

これを報告と言います。

この報告のポイントは何でしょうか。

 

報告のポイントは、「誰に」「いつ」「どのように」の

3つの切り口で考えるとわかりやすいと考えています。

 

まず「誰に」については

指示・命令を出した上司に直接報告する事が基本です。

 

次に「いつ」です。

 

報告をするタイミングの基本は

「あれ、どうなっている?」と聞かれる前に

自分から報告する事が原則です。

 

具体的なタイミングは以下の3つと考えています。

 

(1) 仕事の完了時

(2) ミスやトラブルなどの問題発生時

(3) 新しい情報や改善案が見出せたとき

 

この中でも特にミスやトラブルなど重大な問題に

ついては特に迅速に報告する必要があります。

 

また、仕事完了時の報告は必須ですが、

タスクが長期の場合は、区切りごとに中間報告も必要でしょう。

 

「どのように」についてはどうでしょうか。

 

・結論から簡潔に話す。

・事実と意見を分ける。

・あいまいな表現は避ける。

 

などが上げられそうです。

 

ここに書いた事は一例です。

会社によって組織によって、他の方法が適している、

他のポイントを重視しているという事はもちろんあるでしょう。

 

重要な点は、組織としてどのような点を重視するかについて

言語化され、社内共有されているかどうかです。

 

シンプルなルールが言語化・共有されていることで、

何が重要かという判断基準がわかるので、

社員はかえって判断や行動がしやすくなります。

 

人によって「普通と感じる」事は異なります。

 

「報連相」のような一件シンプルで当たり前に思えるようなことも

社内の業務を円滑に進めるためには

社員にどう考え、行動してほしいのか。

言語化し説明することが必要なのではないでしょうか。

 

 

管理会計お勧め3点セットは?

 

先日、「管理会計を導入したい」というご相談をお受けしました。 

管理会計とは何でしょうか。 

 

一言でいうと「将来の意思決定のための会計」です。 

 

なぜ管理会計が必要かというと 

通常の会計では、将来の意思決定が適切にできない場合が多いためです。 

 

通常の会計とは何かというと 

決算書を作るための会計、つまり財務会計です。 

 

なぜ、財務会計では将来の意思決定に十分に役立たないかというと 

そもそもの財務会計の目的を考えてみるとわかります。 

 

財務会計の目的は、株主に配分するためや税金を計算するための

利益計算が主たる目的であって 

意思決定に役立つ事を主眼にしていないためです。 

 

毎月の試算表を見ても、

そこから経営に役立つヒントを得られていないとすると 

 

それは会計の知識不足が原因というよりも 

資料が経営判断に適した形式でないからという事が

メインの要因かもしれません。 

 

管理会計と財務会計を比較するといくつかの違いがあります。 

 

たとえば、主目的という観点で比較すると 

 

管理会計:将来に向けた意思決定 

    (利益とキャッシュを増やすため) 

 

財務会計:過去実績の把握と開示 

    (株主や官庁等への報告のため) 

 

という違いがあります。 

ルールや基準という観点で比較すると 

 

管理会計:ルールは会社が決める 

財務会計:決められたルールがある 

 

という違いがあります。ほかにも 

 

管理会計:直接原価計算 

財務会計:全部原価計算 

 

管理会計:迅速さ重視 

財務会計:正確さ重視 

 

等々の違いがあります。 

 

では、管理会計を導入するには、何からすればいいかというと 

 

以下の3項目を行う事が有効性と 

費用対効果の観点からお勧めです。 

 

1) 変動損益計算 

2) 部門別損益 

3) キャッシュフロー計算 

 

上記3点ができると、経営数字が 

経営判断にぐっと役立つものになります。 

 

キャッシュフローコーチングでは 

上記3つの観点で、毎月、経営数字を社長と一緒に確認しています。 

 

管理会計にご興味がある場合は 

「脱ドンブリ経営」実践セミナーにお越しください。↓ 

 

ご参加いただければ、御社に必要な 

管理会計についてお伝えさせていただきます。 

 

なお、管理会計は「将来の意思決定のための会計」です。 

 

意思決定は行動してこそ成果につながります。 

行動の伴わない意思決定には、何の意味もないと言えるでしょう。 

 

財務会計 管理会計
過去実績の把握と開示
(株主や官庁等への報告のため)
将来に向けた意思決定
(利益とキャッシュを増やすため)
決められたルールがある ルールは会社が決める
全部原価計算 直接原価計算
正確さ重視 迅速さ重視

望む成果を得る方法は・・・

NEVER GIVE UP

 

キャッシュフローコーチ仲間に佐藤真一さんという方がいます。

 

先日、勉強会で、佐藤さんとクライアント社長のこれまでの取り組みをお聞きし、

感動したので、ご紹介させてください。

 

クライアントの業種は、高精度の切削加工業です。

大手企業である顧客に難易度の高い部品を納品されています。

その難易度の高さのために、高単価、高粗利率。

 

一方で、顧客の業績に左右されるために、巨額の赤字を出した事もあったそうです。

 

社長(勉強会では、会社名、社長名とも実名で登壇されていたのですが、

ここではK社長とします)は、

 

「自社の業績が安定しないのは、社員が育っていないからでは?」と考え、

佐藤さんにコンサルを依頼しました。

 

実はこの時、K社長には大きな葛藤があったそうです。

 

その理由は

「社員を育てるのは経営者の仕事。人に頼るのは、経営者として間違っている」

と考えていたからだそうです。

 

一方の佐藤さん。

 

K社長の会社が社員数20数名の中小企業でありながら、K社長の

「下請けには成り下がらない」、

「社員を一流のビジネスマンに育てたい」、

 

「自社だけが儲かればいいんじゃないんだ。

 関わってくれた全員が幸せになるようにやりたいんだよ」

という考え方に大いに感銘を受けます。

 

一方で、社員を育てたい筈のK社長が、自分の考え方を上から

押しつけるような指導をしている事に気づきます。

 

このとき、佐藤さんがやった事は、社長の話を

「ただただ聞き続けること」でした。

 

K社長は「喋っていると、自分の声を自分で聞いて、

なんか考えがまとまっている感じ」であることに気づきます。

 

そして、「人が育つには自ら考えて行動することが重要」という

佐藤さんの考え方について「ひょっとして一理あるのかも?」

と思ったそうです。

 

このタイミングで佐藤さんはK社長に「指導しないでください」と伝えます。

 

K社長は「『教えるな』って言われて、まる2年か3年、胃が痛かった。

だって、何もできないヤツに『任せろ』って言うんですよ。

 

でもね。びっくりしたのが、私が口を出さなくても、会社が潰れないんです。

これ凄いことですよ。口を出さないと潰れると思っていたんですよ。私は。

 

あー、潰れないんだ、って思ったんです。

 

潰れないんだと思ってから、最初はよくわからなかったんですけど、

1年か2年くらい経った頃、もしかしたら社員が育っている、

ということを実感できるようになりました」

 

そして、社員が育っている、という具体的な内容については、

以下のように説明されていました。

 

K社長「社内からの『このようにしたら、どうでしょうか』という話について、

以前は『やってみたら?』と言えるような案がほとんどない状態でした。

 

今は『こうやりたい』という話が出たときに、

『やってみてください』と簡単に返事ができるレベルになりました。

 

ただし完璧な提案じゃないんです。

ただ、それでいい。欠点があってもいい。と思えるようになった。

 

私自身も成長しているんです。

 

やってみて、結果が出る。その結果を見てどうするかを考える。

これをずっとくり返してやるしかないんであって、

そのことによって、その度ごとに社員が育っていく。

 

それが実感できるようになりました」

 

今では、K社長は、佐藤さんに、社員自慢をメールで送ってきたり、

「こんな嬉しい事があった」と佐藤さんに電話をしてこられるそうです。

 

K社長と佐藤さんの取り組みは12年に及ぶそうです。

結果が実感できない期間も辛抱強く取組みを継続したからこその成果です。

 

成果を得る方法は、「望む成果」に結びつく「行動」を

成果が出るまで、修正しながら、やり続けることだと言えるでしょう。

 

お金が回るかどうか?チェックする一番カンタンな方法は? 

 

先日、大阪産業創造館で「会社のお金の基本」 と題して、

お金のブロックパズルのセミナーを させていただきました。 

 

そこで、さまざまな「お金のブロックパズル」 

=さまざまな「会社のお金の状態」について、お話したところ 

 

セミナー終了後に、ある方からこんなご質問をいただきました。

 

「会社員です。 『キャッシュフロー上、赤字な会社は多い』 

 というお話でした。 なぜ多くの経営者はそんな経営をするのですか? 

 危険ですよね?」 

 

ごもっともなご質問です。 

 

なぜ、キャッシュフロー上、赤字な会社が多いのか? 

もちろん、黒字にしたくても難しい。 そんな会社もあるでしょう。 

 

ただ、経営者の方々とお話していて思うこと。 

 

それは、キャッシュフロー上の赤字に気づいていないケースが

圧倒的に多いということです。 

 

「今期は、キャッシュフロー上赤字でよい」と思って、 

計画的にされていることなら、何の問題もないです。 

 

そうではなくて、手元キャッシュ減少に気づいていない。 

あるいは、さほど、気に留めていない経営者が多いのではないでしょうか。 

 

そして、キャッシュの水準がかなり低下して 

資金繰りが悪化してから、その状態に気づく。 

 

早めにわかっていれば、早めに金融機関に相談するなど

対策が打てたものを、キャッシュの減少に気づくのが遅いと、

それだけ取りうる手立ても減っていきます。 

 

だから、会社のお金の流れの全体像を把握し、

今期の利益の着地見通しはどうなのか? 

 

半年後の手元キャッシュの水準はどうなのか 

毎月、継続して、見通しを立てることが極めて重要なのです。 

 

そして、見通しを立てるときには 

「何とかなるだろう」ではなく 

 

悲観的に見積もって、具体的な対策立案に早めに動くことが

とても重要です。 

 

また、困ったときに金融機関になんて説明すればよいかわからない。 

だから、相談もしにくい。そんな方もおられるようです。 

 

お金を借りている金融機関は敵ではないはずです。 

誠意ある態度で、具体的な根拠ある数字をもとに相談すれば、

まったく話を聞いてくれないようなことはないでしょう。 

 

なので、まず必要なことは 

 

・自社の経営状態を正しく把握すること 

・そして、今後の見通しを立てること 

 

この2点が必要です。 

 

今年から来年にかけて、多くの企業でゼロゼロ融資の返済が始まります。 

ゼロゼロ融資の返済が始まっても自社の資金繰りは回るのかどうか? 

をまずはご確認ください。 

 

資金繰りが回るかどうかの簡単な確認方法は 

当期純利益+減価償却費の金額が 

年間の返済額を上回っているかどうか?です。 

 

当期純利益+減価償却費 ≧ 年間の返済額

 

そして、資金繰り的に厳しそうであれば 

早めに顧問税理士さんや取引金融機関にご相談ください。 

 

あるいは、まずは、自社の経営状態を正しく把握したいという

場合には、「脱ドンブリ経営実践セミナー」にご参加ください。↓ 

毎月、1on1で開催していますので、個別にご質問いただいたり、

ご要望に合わせた内容での実施が可能です。 

 

また、お知り合いの会社様で、お困りの方がいらっしゃいましたら、 

ぜひ「脱ドンブリ経営実践セミナー」をご紹介ください。↓ 

ひょっとして損してるのかも・・・?

 

「損している!」「損した!」と思うときは、どんな時ですか? 

 

人間は「得をした嬉しさ」よりも「損失の痛み」をより強く感じるそうです。 

100得しても、そこそこの嬉しさだけど、100損すると、とても痛く感じる。 

これを「損失回避の法則」と言います。 

 

太古の昔、何か損をすることは、生命の危機につながる可能性もあった。 

だからヒトは得よりも損を強く意識するようにできているのかもしれません。 

 

こういう人間の性質があるので、 人が「うまく立ち回って得している」 

みたいな話を聞くと、 自分は損しているのかも…?と 

つい気になってしまうのではないかと思います。 

 

たとえば、しばらく前に話題になった、会社員の副業による節税策の件。 

 

会社員が副業として大家業などの事業を小さく行い、赤字を出して、

給与所得と損益通算することで、税金を減らせるというスキームです。 

 

「会社員の多くがやってるよ」的なノリで、節税指南の動画発信の他、

書籍も出版されているようです。 

 

この”節税策”封じの策を国税庁が通達し、それに対する反発でゴタゴタしたわけですが…。 

 

正当に仕事をして正当に納税するという観点に立つと 

何が正しいかはおのずと見えてくるのではないでしょうか。 

 

あるいは、最近、面白いなと思って、ときどき見ている、

ツイッターのアカウントがあります。 

 

「国税庁に戻った黒崎」(@kurolovesnaoki)という名前のアカウントです。 

https://twitter.com/kurolovesnaoki 

 

ドラマ半沢直樹シリーズの登場人物の名前を模したアカウントですが、

実際に国税庁関係者のようです。 

 

たとえば、先日はある起業家アカウントが 

「親を役員にして、無労働で役員報酬月50万」というツイートをしたところ、 

過少申告(脱税?)で「はい、重重加算税」という指摘をされていました。 

 

その後、実際に、その起業家に対して、税務署から問合せの電話があったようです。 

 

「こんな風にすれば得だよ」という法律スレスレな(あるいは法律違反の)

情報発信を取り締まることで、怪しい情報発信に振り回される人が減るのは 

大変良いことだと考えています。 

 

映画監督の小津安二郎は 

「どうでもよいことは流行に従い、 

 重大なことは道徳に従い、 

 芸術のことは自分に従う。」 

 

という言葉を残したそうです。 

 

私たちも 

どうでもよいことは流行に乗ってみるけど 

重大なことは道徳・価値観・経営理念に従い 

事業のことは自分の考えでやりたい事をやる。 

 

という風にしたいものですね。 

 

キャッシュフローコーチとは?キャッシュフローコーチは実際に「怪しい」のかどうか?

 

「キャッシュフローコーチ」の片山祐姫です。

「キャッシュフローコーチ」をざっくり定義すると、

「会社のお金の流れを見える化して、経営数字をもとにした意思決定をサポートする」

仕事をする人のことです。

 

先日、ある特定エリアのキャッシュフローコーチに聞いてみたい事がありました。

そこで、そのエリアにどんなキャッシュフローコーチがいるのか検索してみようと、

検索窓に「キャッシュフローコーチ 」まで打ち込んだところ(後半はエリア名を打ち込むつもりだった)、

提示された複合語の選択肢が以下でした。

 

キャッシュフローコーチ 怪しい

キャッシュフローコーチ 料金

キャッシュフローコーチ 資格

キャッシュフローコーチ 評判

キャッシュフローコーチ 税理士

キャッシュフローコーチ MVP

 

一番トップの選択肢が「怪しい」とは・・・。

 

ともかく、「キャッシュフローコーチ」について検索する人が知りたい事が上記だとわかったので、

上記の疑問に順に答えてみたいと思います。

 

1. キャッシュフローコーチは「怪しい」のかどうか?

まず「キャッシュフローコーチ」が怪しいかどうか・・・?

これは答えるのがなかなか難しい質問です。

 

「キャッシュフローコーチ」は民間の資格です。

 

キャッシュフローコーチ養成塾を卒業し、日本キャッシュフローコーチ協会に所属すると、

もれなく名乗ることができます。

 

認定試験などもないので、レベル感がさまざまであるのは事実と思います。

 

一方で、キャッシュフローコーチは、知識(=やり方)以前に、

どうあるべきか(=あり方)を重視している団体です。

一定の価値観を共有するコミュニティです。

 

同時に、同じ「キャッシュフローコーチ」であっても、

バックグラウンドにはかなりの多様性があります。

 

価値観を共有しつつ、バックグラウンドが多様なメンバーが存在していることで、

対応できる内容に幅がある事がコミュニティとしての強みともなっています。

 

キャッシュフローコーチが「怪しい」かどうか?は今後、一人ひとりの

キャッシュフローコーチが払拭していかないといけない課題でしょう。

 

2. キャッシュフローコーチの料金は?

続いては「キャッシュフローコーチの料金」についてです。

これについては、一人ひとりのキャッシュフローコーチが個々に料金設定しており、

統一の料金はないのが現状です。

 

多くのキャッシュフローコーチは、クライアントにどの程度、関わらせていただくか、

関りの深さで複数ラインの料金設定をしています。

 

ただし(これはキャッシュフローコーチによって多少違いがあるところかもしれませんが…)、

個人的には、どのような契約内容であっても、クライアント様がお困りの時には

徹底的に関わる」ことを方針としています。

 

お困りの時とは、たとえば、「銀行にこんな事を言われた!どうしよう!」とか、

主力の社員の方が「急に辞めたいと言ってきた!どう対応すれば・・・?」などなどです。

 

クライアント様とは、契約を締結した上でのおつき合いではありますが、

関わらせていただく以上、「必ず貢献する」という覚悟のもとに、関わらせていただいています。

大事な方と思って関わらせていただいています。

 

お困りの時に契約内容で線引きするような事はしたくないと考えています。

(おそらく、ほとんどのキャッシュフローコーチが同じ考え方の筈です)

 

3. キャッシュフローコーチはどんな「資格」なのか?

キャッシュフローコーチは民間の資格です。キャッシュフローコーチ養成塾を卒業し、

日本キャッシュフローコーチ協会に所属すれば名乗ることができます。

 

さまざまなバックグラウンドのキャッシュフローコーチがいます。

 

一番多いのは税理士さんです。

数字を通じて、企業に関わるという点で親和性があるためでしょう。

 

私自身は中小企業診断士です。他には、社会保険労務士さん、弁護士さん、弁理士さん、

不動産鑑定士さん、FPさん、士業以外のコンサルタント、銀行出身者、企業経営者もおられます。

 

製造業の財務部長さんも以前はおられました。

今、その方は独立されて、コンサルタント(キャッシュフローコーチ)になっておられます。

 

多様なバックグラウンドを持つコミュニティだからこそ、

多様な知見を持ち寄ることができる点が大きな強みとなっています。

 

4. キャッシュフローコーチの「評判」は?

キャッシュフローコーチの「評判」はどうでしょうか。

私の知る「キャッシュフローコーチ」は凄い方ばかりなので、

悪い評判はよくわかりません・・・。

 

悪い評判が多くないだろうと思うのは、

「あり方」を重視するコミュニティである事も理由の一つです。

 

多くのキャッシュフローコーチは、

クライアントへの貢献を第一に考えている筈です。

 

5. キャッシュフローコーチで「税理士」の割合は?

キャッシュフローコーチのうちの半数弱が税理士さんです。

 

企業経営において、税理士契約はほぼ必須であることから、

数字についての相談であるならば、キャッシュフローコーチ資格を持つ税理士さんであれば、

一人二役で、都合が良い事も多いと思います。

 

ただし、料金については、税理士報酬と、キャッシュフローコーチ報酬は

分けておられるケースがほとんどと思われます。

 

私自身は、税理士ではないので、毎月のキャッシュフローコーチングでは、

税理士さん作成の試算表を送っていただき、その試算表を元に「1シートマネープラン」

(一枚で、利益とキャッシュの見通しがわかる独自様式)を作成し、

社長と面談させていただいています。

 

なお、「経営数字を扱う専門家」という意味で、ときどきいただくご質問が、

キャッシュフローコーチと税理士はどう違うのか?というご質問です。

 

一言で答えると「過去の正しい数字の専門家」が税理士さん、

「将来の意思決定のために経営数字を扱う専門家」がキャッシュフローコーチです。

 

下表に税理士さんとキャッシュフローコーチの違いをまとめていますので、ご参考ください。

 

  税理士 キャッシュフローコーチ
活動領域 税務会計(正しい納税をするための会計) 管理会計(納得の経営判断をするための会計)
主にやること 決算書・試算書の作成と税務上の助言

社長の意思決定の支援

社内コミュニケーションの円滑化

フォーカスする点

過去の数字(決算書を正確に作り、

税務申告するために必要)

社長のビジョンと未来の数字

(見通しを立てるために必要)

必要なスキル

正確さ。

会計・税務の知識

相手から意見を引きだし、

質問で論点を整理するコミュニケーション能力

使う資料 決算書・試算表・月別損益計算書 お金のブロックパズル・1シートマネープラン

 

 

6. キャッシュフローコーチの「MVP」とは?

キャッシュフローコーチのコミュニティには、いくつもの共通価値観があります。

その一つが「影響力の発揮」です。

 

自分自身が挑戦し、がんばる姿を見せる事で、周囲によい影響を与えること。

これが「影響力の発揮」です。

 

そういう意味で、成果事例を共有し、その年のMVPを選ぶMVPコンテストを毎年開催しています。

今年は、2022年11月27日に福岡で開催されます。

 

このMVPコンテストは、キャッシュフローコーチだけではなく、

クライアントや一般の方も参加可能です。

 

MVPコンテストでは、事前に選抜されたキャッシュフローコーチが成果事例をプレゼンし、

会場参加者全員で、その年のMVPを選出します。

 

キャッシュフローコーチが「怪しい」かどうか?

気になる場合は、MVPコンテストに参加して、ご自身の目で確認してみてください。

 

中小企業向け主要税制

 

設備投資や賃金上昇で受けられる税制優遇措置があります。

該当する場合は活用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

制度名 事前手続 対象者 対象設備 税制
①中小企業経営強化税制
(経営力向上計画)
中小企業
(資本金1億円以下の法人、個人事業主)
機械装置、工具
器具備品、ソフトウエア
建物付属設備
・即時償却(100%)
・税額控除 10%

(税額控除は資本金3,000万円以下の法人、個人事業主の場合7%)
②固定資産税の特例
(先端設備等導入計画)
中小企業
(資本金1億円以下の法人、個人事業主)
機械装置、工具
器具備品
建物付属設備
構築物、事業用家屋
先端設備の固定資産税が通常の0~1/2倍
(取得後3年間・倍率は市町村による)
③中小企業防災・減災投資促進税制
(事業継続力強化計画)
中小企業
(資本金1億円以下の法人、個人事業主)
機械装置、器具備品
建物付属設備
特別償却 20~18%
④地域未来投資促進税制
(未来投資促進法)
中小企業
大企業
機械装置、器具備品
建物、建物付属設備、構築物
・特別償却 40~50%※建物関係20%
・税額控除 4~ 5%  ※建物関係2%
⑤中小企業投資促進税制 中小企業
(資本金1億円以下の法人、個人事業主)
機械装置、工具
ソフトウエア
普通貨物自動車
内航船舶
・特別償却 30%
・税額控除 7%
(税額控除は資本金3,000万円以下の法人、個人事業主のみ)
⑥(中小企業向け)
賃上げ促進税制
中小企業
(資本金1億円以下の法人、個人事業主)

(給与等を前年度
と比べて 1.5%以上増加)
前年からの賃金上昇分の15%を税額控除

成果を生む「〇〇の差」とは? 

いかにアンテナを立てるか

毎月、経営者向けに「脱ドンブリ経営実践セミナー」を行っています。

 

経営数字を意思決定に活用する方法や、社長と社員の立場の違いからくる

「危機感のズレ」を縮める方法などについてお伝えしています。

 

しばらく前に参加くださった経営者の方から

「社員にもこの話を聞かせたい」と研修をご依頼いただき、

実施させていただきました。

 

社員の方々はとても明るくて前向き。

笑いの絶えない和やかな研修となりました。

 

そして、実施後のフィードバックシートを見せていただくと

 

「社長一人が行うのではなく社員ひとり一人が自分事で捉えて、

 日々行動する必要がある」

 

「社長、部長だけじゃなく、皆で取り組む事が大事」

などのご意見をいただいており、

 

お伝えした事をしっかり受け取ってくださったという事が

伝わってきました。

 

ぜひ取り組みを継続されて、成果につなげていただきたいです。

 

この研修で、ユニークだったことの一つは

社員研修でありながら、経営者が親しくおつき合いされている

外部の方々を招かれ、研修に参加いただいたことです。

 

その中には、取引先金融機関の担当者さんと支店長もおられました。

 

実は、経営者向け「脱ドンブリ経営実践セミナー」と

「お金のブロックパズル」社員研修では、

「お金のブロックパズル」で経営数字を把握する点は同じであるものの

お伝えする内容は少し変えています。

 

理由は、対象者の目線やお困り事に合わせた内容にすることで

内容を自分ゴトとして聞いていただき、経営や業務に役立てて

いただくためです。

 

そして、金融機関の方に「お金のブロックパズル」のお話をするときは、

金融機関の方の目線やお困り事に合わせた内容にしています。

 

今回は、社員向けの内容でしたので、

金融機関の方がどんな風に話を聞いてくださったのか

フィードバックシートを拝見したところ

 

担当者の方は

「ブロックパズルで話を聞くと本当にわかりやすい。

お客様に理解して納得してもらえるような説明をしたい。

お客様がどうしたら、利益アップ、給与アップしていけるかを

もっと考えたい」とのこと。

 

ブロックパズルを経営支援に役立てるという視点で

話を聞いてくださっていました。

 

そして支店長さんは

「支店の業績を改めて職員全員で共有し、着眼点モデルを活用して

なりたい支店にしていくためには、どうすれば良いかを皆で考える」

とのこと。

 

「支店経営」という視点で自分事で話を聞いてくださっていました。

 

同じ話を聞いても、日頃の課題感の違い、

つまり「アンテナ」の違いで、感じること、考える事はまったく違う

ということが改めて再認識できました。

 

だから大事なことは、いかに日頃から「アンテナ」を立てて過ごすのか。

 

成果を生むのは経験の差でもなく能力の差でもなく、

「意識の差」と言えるでしょう。

 

「率」と「額」、どちらをどう見る?

経営状況を把握するために見ている数字は何ですか? 

人によって、会社の状況によって、答えはいろいろあると思います。 

 

通帳の残高の推移を見ているという人がいます。

一つの着眼点だと思います。 

 

毎月させていただいているキャッシュフローコーチングでは 

主に、2つの数字を見ています。 

 

一つ目は、このままいくと利益の着地見通しはいくらになるか? 

二つ目は、この先、手元資金に問題はないか?

この2点です。 

 

この2点を見ている理由は、先の見通しが不透明なことが 

経営判断にマイナスの影響を与えると考えるためです。 

 

手元資金が不十分であるのに費用を使い過ぎてしまったり・・・。 

手元資金で設備投資してしまったり・・・。

逆に資金繰り不安によって本業に専念できないなどです。 

 

このままいくと期末に利益はいくらか? 

手元資金に問題はないか? 

 

この2点を確認した上で、計画と差異がある場合については 

どこで差異が発生したのか? 要因を確認しています。 

 

要因を確認する理由は何か?

それは次の行動を決めるためです。 

 

だから、見るべき数字とは次の行動につながる数字です。 

 

中小企業診断士の資格取得の際に財務分析について学びました。 

収益性分析や安全性分析、生産性分析・・・。

 

流動比率とか在庫回転期間とかいろんな指標がありました。 

 

これらの財務分析は、客観的に見て自社はどんな状況なのか。 

同業比較や過去比較するには非常に有効な手法です。 

 

ただ、そうした財務分析による状況把握は年に一度する程度で

十分なのではないでしょうか。 

 

期中に毎月見るべき数字は、そのような「率」よりも「実額」です。 

 

その理由は「売上が計画比90%」と聞いても 

次の行動がイメージしにくいためです。 

 

「売上が予実差〇〇千円」と聞くと追加で

「〇〇千円」受注する必要があるとわかります。 

次の行動が明確になります。 

 

 

利益とキャッシュの見通しを確認した上で要因を確認して、

次の行動を決める。 

 

分析をいくら精緻にしても成果は生まれません。 

成果を生み出すのは行動だけです。 

 

「この研修の時間が一番ムダだと思います!」と言われてしまいました…

 

会社の生産性アップに向けた社員研修でのお話です。

意見を出していただく中で、ある社員さんから、こんな意見が出てきました。

 

「生産性アップしたいなら、もっと生産に割く時間を増やした方がいい。

 生産に直結しない事をやめてはどうか?

 この研修の時間が一番ムダだと思います!」

 

研修での話し合い自体を否定されてしまいました・・・。

私は彼がどんな意図でそのような発言をしたか、知りたいと思いました。

 

そこで、その次の研修日、早めに行って、機械を操作する彼の姿を

少し離れた所から見ていました。

 

仕事に取り組む彼の様子を見ていて仕事に一生懸命、打ち込んでいること、

悪意があるわけではなく、会社をよくしようと思っての発言であることが

理解できました。

 

そこでその日の研修の冒頭で伝えた事は

「会社は〇〇というビジョンを掲げています。

 今、これは何%くらい実現していますか?」

 

社員さんの答えは

「40%くらい…?」

「60%!」

「50%くらいかなあ…。ここはできているけれど、ここはまだまだだよね」

 いろんな意見が出てきました。

 

そこで、こうお伝えしました。

「今100%でないという事は今の延長線上ではない未来に行くという事ですね?

 何かを変えるという事ですね?

 何をどう変えるか、この場で一緒に考えませんか?

 ここにいる皆さんは職場のリーダーです。

 本気でビジョン実現に向けて行動しているか。

 周囲はみんな見ています」

 

そこから場の雰囲気が変わり、当事者意識での意見も出てきました。

 

何のためにやる事なのか、私がきちんと目的を伝える事ができて

いなかったという事です。

 

自分の頭の中にあった、取り組みの目的、きちんと伝えられていなかった。

わかるだろうと思ってしまっていた事、反省しました。

 

「言わなくても、それくらいわかるだろう」

「普通に考えたら、わかるよね」

「いつも言ってるから、わかる筈」

よく聞く言葉です。

 

立場によってモノの見方もさまざまです。

頭の中の情報量も違います。

 

何のためにすることなのか。目的を必ず伝えることの重要性に

改めて気づかせていただいた出来事でした。

 

何をするのか。どうやってするのか。それも大事です。

 

まず、その前に何のためにする事なのか。伝えていますか?

伝わっていますか?

 

 

会議をしてもやる事が決まらない理由は? 

ある経営者の方にどんな会社にしたいのかというお話を伺っていた

ときのこと です。

 

「社員が辞めない会社にしたいです! 

 ただ今度一人辞めるので、今、こんな事を言っていても…」 

 

話のテーマは、どんな会社にしたいのか。理想像のお話です。 

 

ただ、人間には想像力があるので、話した時に現状をイメージして

しまう。 よくわかります。 

 

ただ、理想像は理想像、現状は現状です。 

 

理想像が現状と大きく違うのであれば、どうやってそのギャップを

埋めるのか考えればいいだけの話です。 

 

人は、ある一つの事をテーマに話しながらそこから考えが

広がっていきます。 それは人の持つ連想力の力です。 

 

その事自体は素晴らしいことです。 

ただ、この能力があるが故に会議の生産性が大きく低下してしまう

ことがあります。 

 

アイデア出しのミーティングをしているのに 

「これは、やっても意味がない」とか 

「これは前にもやったけど、ダメだった」 

などアイデア整理を始めてしまう…。 

 

アイデア出しとアイデア整理を同時にすると、

意見が出にくくなります。 

 

その理由は、 アイデア出しの時とアイデア整理の時では 

人間の脳の使い方が異なるからです。 

 

アイデア出しの段階では、できる、できないに関わらず 

たくさんアイデアを出すことに集中し 

その次にアイデア整理をする方が生産性が高くなります。 

 

ただ、わかっていても、ついつい話のテーマが逸れてしまう。 

ありがちだと思います。 

 

そこで、会議の生産性を高める簡単なコツをお伝えします。 

それは、会議の目的とゴールを言語化し、共有しておく事です。 

 

次にやる事を決める会議なのか。 

合意形成なのか。情報共有なのか。 

 

具体的に何ができたら(どういう状態になれば) ゴールなのか。 

 

事前に言語化し、会議の冒頭で、参加者全員で共有しておく。 

 

会議の目的とゴールを明確にすることで 

必要な参加者が明確になります。

 

そして、会議の場で共有することで

参加者のゴール達成の意識が高まります。 

 

簡単でパワフルな方法です。ぜひお試しください。 

 

「1アクション3ゴール」の2つの効果は

1アクション3ゴール

 

先日ある方からお聞きしたライトなご相談。 

それは、商談に行った部下が相手に会えずに帰ってきた。 

なぜかというと、先方が急用で外出していたとのこと。 

 

先方都合なので、どんな急用か質問するなど 

先方事情を知るチャンスだったのに、部下は何も聞かずに黙って帰ってきた。 

もっと自発的に考えてくれたらいいのに…。 

そんなお話でした。 

 

こういう時にいつもご提案している考え方があります。 

それが「1アクション3ゴール」です。 

 

1アクション3ゴール」とは、何か1つのことをするときに 

3つ以上の異なる種類のゴール設定をする。そんな考え方です。 

 

たとえば、商談に行くときの「1アクション3ゴール」、 

どんな事が考えられるかというと「今日の商談で受注しよう」

こう考えたら、これで1つ目のゴールです。 

 

2つ目のゴールとしては、

「受注できなくても、先方との関係強化に努めよう」 

これで2つ目のゴール。 

 

では、3つ目。何があるかというと、例えば、

「先方の社内事情や課題感、あるいは経営方針について知る機会としよう」

こういうのもアリです。 

 

こんな風に予め3つ決めておくと、のアンテナが立つので、 

情報のキャッチがしやすくなります。 

行動も自然に変わります。 

 

そして、これを普段から当たり前の習慣にすることを

1アクション3ゴール」と言っています。 

 

同じ事をしていて、かけている時間もかけているお金も変えずに、

3つのゴールを手にすることができる。非常に投資効果が高い習慣です。 

 

「黙って帰ってきたこと」を事後に指導するよりも普段からの習慣を 

変える方がより建設的です。 

 

実際に自分が日々「1アクション3ゴール」を実践していて、

思うことが2つあります。 

 

一つ目は「1アクション3ゴール」を考えるという事が

日々の小さなPDCAサイクルにつながるという事。 

 

なぜなら、事前に「やろう!」と決めたゴールができたかどうか。 

ふり返りすることが自然に習慣化されるためです。 

 

二つ目は、今からの行動から何を得るかを常に考えるので、 

常に前向きな気持ちでいられるという事です。 

 

とても効果の大きいお勧めの習慣です。 

 

そして、仮に、組織の全員がこの習慣を身に着けたら、どうでしょうか。 

今までと同じことをしていて、組織の成果が2倍になる。3倍になる。 

ということです。 

 

まずは自分自身が今日から実践してみてはいかがでしょうか。 

 

選択肢は多い方がいいのか?

「受注が増加して事務作業が大変!」

しばらく前に支援先様の営業事務の方と雑談していた時のことです。 

「主要な取引先様からの受注が増加している」、そんなお話を伺いました。 

 

受注増加に伴って、EDIから発注データをダウンロードして印刷し、

社内システムに入力する件数が増えて大変との事でした。 

 

そのお話をお聞きして、私が思ったこと。 

それは「RPA」で何とかできないか?という事でした。 

 

「RPA」とは、パソコン作業を自動化する技術のことです。 

 

そこで、ネットで「RPA」と検索し、ヒットした会社、数社に対して 

資料請求することにしました。 

 

面白かったのは、その資料請求に対する対応が各社各様であったことです。 

 

資料請求しておいて読まない。社名を覚えていない酷いユーザー(=私)

多くの会社が資料請求に対して資料ダウンロードできるリンクをメールで

送ってくれました。 

 

中には、大量の資料をダウンロードできるようにされている会社もありました。 

知りたい事は人によっていろいろ。

 

だから、提供できる資料は、出し惜しみせずに全部、提供しよう。 

一見、ユーザ思いの親切な対応ですよね。 

 

ただ、私はダウンロードした大量の資料を結果的に一切見ませんでした。 

なぜなら、資料が多過ぎて、どれを見ればいいのかよくわからず、

見る前におなかいっぱいな気分になってしまったからです。

 

また、ある会社は、資料送付後、フォローの電話をくださいました。

「資料をご覧になりましたか?」

電話口で尋ねられた私は答えられませんでした。

 

なぜなら、ダウンロードした資料をきちんと見ていなかったし、

そもそも数社まとめて資料請求したので、電話口で社名を名乗られても

どの資料の会社なのか、会社名を覚えていなかったからです。

 

資料請求した、相手の会社名を覚えていないって・・・。酷い話ですよね。

ただ、実際にはありがちな気もしています。

 

では、電話ではなく、メールの場合はどうだったか…というと

ある会社は「不明点があれば説明します。いつ頃がよろしいですか?」

とフォローのメールをくださいました。

 

ところが、私は何が不明点かもわかっていないレベルだったので、

返信できませんでした。

 

何が言いたいかというと、ユーザの立場になって初めて気づく事が

多かったということです。

 

トンデモナイ酷いユーザー(=私)が一社にだけ返信した理由は?

「お客様のために」、良かれと思ってしている事が本当にお客様にとって

プラスなのかどうか? 

「売られる」サイドに立って改めて気づく事が多かったです。 

 

結局、ある会社の提案メールにだけ返信メールを送り、 

その会社の説明会に、支援先様と参加して説明を受けました。 

 

なぜ、その会社にだけ返信したのか? 

それはその会社が送ってきたメールだけが返答しやすかったためです。

 

その会社は資料請求しても資料は送ってきませんでした。

その会社が送ってきたメールは以下の通りです。

 

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

お世話になります。〇〇社の△△と申します。

 

〇〇の資料請求をありがとうございました。

オンラインにて詳細説明させていただきます。

 

以下、日時のご都合はいかがでしょうか。

難しい場合は、2~3候補案をお知らせ下さい。

 

■ 候補日

-------------------------

・〇月〇日 (〇) XX:30~XX:30

・〇月〇日 (〇) XX:30~XX:30

 

当日は、

社内の皆さまにも、ご一緒に未来を感じていただきたく、

お声掛けをして下さると嬉しいです。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

上記が資料請求の結果、私が受け取ったメールです。

 資料を請求したのに資料の送付はありません。

 

なのに、私は何の疑問も感じず、逆に読まなくても、

口頭で説明してもらえるなら助かると自然に感じていました。

 

そして、2つの日程の提示がされています。

 

人は何の選択肢も提示されなかったり、多くの選択肢を提示されると

何て回答すればいいのか迷います。

 

2つの選択肢を提示されると答えやすい。

そして、この2つ提示された日程の候補が絶妙でした。

 

一つが直近の日付、もう一つは10日後くらいの日付。

すぐに話を聞きたい人、当面忙しいから少し先にしたい人の

両方を想定した選択肢。

 

これが両方とも直近日付であったり、両方とも先の日付であったりして

自分の想定とまったく合わないと

「この会社とは合わないな…」という違和感につながり

ここで離脱してしまう可能性があります。

 

時間帯も、先方事情がわからない前提で、午前と午後の2つに

分けられていました。

 

開始時間、終了時間がどちらも30分になっているのも

その方が予定を入れやすい場合が多いなどのノウハウが

きっとあるんだろうと思っています。

 

説明会での説明もよく整理されていて、おそらく対応マニュアルが

整備されていて、PDCAが回っている印象を受けました。

 

説明会では内容以上に「上手に提案するなあ・・・」

そちらに神経が行ってしまったくらいです。

 

お客様目線で動線を見直す(カスタマージャーニー)

大事なことは、相手が受け取りやすく返しやすいボールを投げること。

それと、相手が一段、階段を上りやすいようなステップを作ること。

 

ユーザ目線で自社の顧客獲得の動線を見直してみる事、とても大事だと

気づかされました。

 

「RPA」の情報収集をするつもりがマーケティングとセールスの

勉強をさせていただきました。

 

 

「脱ドンブリ経営実践セミナー」フォローアップ面談で話している事は?

脱ドンブリ経営実践セミナー

 

昨日はセミナーに参加くださった方のフォローアップ面談を実施しました。

フォローアップ面談は、セミナー内容の理解を深めていただくために実施しているものです。

 

面談後にいただいた感想は「スッキリした。やる気が出た」との事。

 

もう一つ言ってくださったのが

「いろいろ聞きたい事があると思っていたけど、話してみて、違っていたとわかった。

聞きたいのではなくて、自分が考えている事を話したい、という事がわかった。

いろいろ聞いてもらえて、それに答える事で考えが言語化されてよかった

との事です。

 

経営相談対応を10年続けてわかった事があります。それは

「こういう事で悩んでいる」とお聞きして

「こういう方法がありますよ」とお伝えすると

99%の確率で立腹されるという事です。

 

それは、人は誰しも「自分の悩みはそんな簡単な事じゃない!

という気持ちがあるからです。

 

人は教える事は好きだけど教えられる事は好きではないのです。

 

だから、面談で一番大事にしている事は、お話をお聞きして、

適切な質問を投げかける事で思考整理をお手伝いする事です。

 

人は自分が考えて導き出した結論が一番腑に落ち、やる気が出るのです。

 

昨日、いただいた感想でもう一つ、面白かったのが

「先日、初めて社員面談を実施してみて、あまりうまくできなかった。

 今日みたいな感じでやればいいんですね」との事。

 

こんな風に一回の面談で、いくつもの気づきを得てくださる方との

面談は本当に楽しいです。

 

※「脱ドンブリ経営実践セミナー」は以下から参加申込いただけます。

https://vision-cash.com/seminar/

 

 

部下面談やお客様との面談で使える「プロの思考整理術」

「プロの思考整理術」

組織が成果を出すための、キャッシュフローコーチの5種の神器は

組織が成果を出すための、キャッシュフローコーチの5種の神器は

 

NO ツール 内容
1 AAP 組織の成果を高める、安心・安全・ポジティブな場づくり
2 ビジョナリープラン(VP) 何を大切に何の実現を目指すか。経営の指針の言語化
3 ビジョナリーコーチング(VC) 助言せずに思考を整理する思考整理法
4 お金のブロックパズル お金の流れの図式化で。数字に基づく意思決定に使えるツール
5 1シートマネープラン 利益とキャッシュの見通しが1枚でわかる進捗管理ツール

 

この5つ。このうち「お金のブロックパズル」については

超★ドンブリ経営のすすめ」という本などですでに紹介されています。

 

一方、「ブロックパズル」のような派手さはないものの、もっと本質的でもっと重要な

「思考整理ツール」である「VC」については、今回初めて、新刊が出ました。

 

本のタイトルは「プロの思考整理術」です。

 

「プロの思考整理術」とは

コーチング未経験の方でも、シンプルな4ステップで相手の思考整理をサポートできるようになる。

その方法が説明されています。

 

先日、日本キャッシュフローコーチ協会と協業いただいている会社の社員の方々と

「プロの思考整理術」の実践会をさせていただきました。

 

その場では、今まで知らなかった深いお話を聞かせていただいたり、

自分がクライアントとなって、コーチングいただく場では、ふだんクールなイケメンの方の

素敵な笑顔を見せていただいたり、楽しく有意義な時間を過ごさせていただきました。

 

定期的に社内で実践する事で、社内の風通しがよくなったり、相互理解が進んだり、

社員ひとり一人の問題解決能力が高まる効果が期待できそうです。

 

何よりもこの「VC」は700人のキャッシュフローコーチが日々実践し、その効果を確認済みの手法、

かつ少しの練習で、誰でも使えるようになるシンプルで強力なツールです。

 

部下面談で活用し、部下の思考整理をサポートするにも使えるし、

お客様との会話の中でさりげなく使うことで、

お客様の思考整理のサポートをすることにも活用可能です。

 

「プロの思考整理術」内容

以下は「プロの思考整理術」の内容の一部です。

 

・思考整理では2つのことを整理できる。

・思考整理で使う質問には2種類ある。

・相手が思わず動いてしまう思考整理の4ステップ

・思考整理の最中に意識したい「3つのポイント」

・4つのステップをパワーアップさせる「3つのツール」

・思考整理で相手のどこを見るか-7つの着眼点

 

年末年始の読書の一冊としていかがでしょうか。

 

事業再構築補助金の第1回公募の採択結果は?

6月18日に事業再構築補助金の第1回公募の採択結果が発表されました。 

結果発表から、わかったことなどを4点お知らせします。 

 

一つ目は採択率です。 

採択率は、緊急事態宣言特別枠 66.3%、通常枠 34.5% でした。 

 

これが何を意味するのかというと、緊急事態宣言特別枠は有利! 

ということを伝えたいのではなく(もちろんそれもなくはないですが) 

事業をしっかり見直して「再構築」することが求められているということです。 

 

何が言いたいかというと、何か新しいことをすれば対象になる制度ではなく、 

事業全体の見直しをすることが求められている補助金ということです。 

 

既存事業がそれなりの好調で、事業全体の見直しや再構築が特に不要な場合、 

また、すでにいろいろとトライされていて、これから新規に取り組むようなことが 

あまりないような企業にとっては、取り組みにくい補助金のようです。 

 

二つ目は、実行可能で、実現性の高い計画が求められているということです。 

一つ目のポイントとして、事業の「再構築」が求められていると書きました。 

 

では、思い切った事業転換をすればそれでいいのか?というと 

それは、要件の一つ目に過ぎません。 

 

その事業転換がなぜ事業計画通りに実行できると言えるのか。 

なぜ成功できると言えるのか。 

客観的な根拠を具体的に示すことが求められています。 

 

「脱いだら凄いんです!」みたいな当事者にしかわからない話ではなく 

なぜ凄いのか。どのように凄いのか。言葉で説明してください。ということです。 

 

根拠なき(実際はあるにしても…)自信は「客観性のなさ」と捉えられ、 

見込みの甘い計画として、かえってマイナス評価になります。 

 

三つ目は、企業間連携・業界内連携・地域連携が推奨されているということです。 

これは、行政事業レビューでの指摘事項でもあります。 

 

補助金は、税金を使って行う国の事業です。 

個々の企業が成長することはもちろんですが、企業が連携し、業界として、地域として 

業績回復するような取り組みが推奨されています。 

 

四つ目は、他社の真似はダメよということです。 

業種的に回復するのではれば、同じ計画でいいのか?というと、それはNGです。 

 

第1回公募で、同じ認定支援機関が支援した複数企業が同様の事業計画を申請したという 

事例がありました。 

 

この件に関して、事業再築補助金サイトで以下のように発表されました。 

 

「第1回公募で採択を発表した案件の中に、重複案件と思われる事業が発見されましたので 

現在調査中です。不正が判明次第、厳正に対応いたします。 

 

公募要領4.(7)⑩にありますように、他の法人・事業者と同一又は類似内容の事業 

については、厳正に対応いたしますので、十分ご注意ください。」とのことです。 

 

安易に他社の模倣をしないように注意が必要です。 

 

なお、第一回公募の採択結果の事業概要がWEB上で公開されています。 

 

いずれも新分野・新技術などに果敢にチャレンジする内容となっています。 

自社と同業種などの会社がどのような事業計画で採択されたのかを確認することは 

事業再構築補助金にトライしない場合でも今後の経営方針の参考になることでしょう。 

 

https://jigyou-saikouchiku.jp/result.php 

 

「中小M&A推進計画」とは

「中小M&A推進計画」

2021年4月30日。経済産業省から「中小M&A推進計画を取りまとめた」との発表がありました。

「経営資源集約化等を推進するため今後5年間に実施すべき官民の取組」を「中小M&A推進計画」

として取りまとめたとのことです。 

 

「中小M&A推進計画」にはどのようなことが書かれているのでしょうか。引用抜粋してご紹介します。

1)「中小M&A推進計画」策定の背景・趣旨は

まず「中小M&A推進計画」はどのような背景・趣旨の下に策定されたのでしょうか。

「中小M&A推進計画」策定の背景・趣旨は以下のように説明されています。

 

「中小M&A推進計画」策定の背景

・経営者の高齢化に伴って後継者不在の問題が経営上の課題として強く認識されている。

 事業承継の一つの手段として、M&Aによって第三者による事業承継も円滑に行うため、

 政府は徐々に取り組みを進めてきた。

 

・そのような折り、新型コロナウイルス感染症が発生し、2020年からその影響が拡大する中で、

 廃業件数が増加するなど中小企業の経営状況は極めて厳しい状況にある。

 

感染症の影響を前提とした新たな日常に対応するための事業再構築の重要性が高まっている

 

・こうした状況も踏まえ、経営者の高齢化や感染症の影響に対応し、中小企業の貴重な経営資源が

 散逸することを回避するとともに、事業再構築を含めて生産性の向上等を図る必要がある。

 

・上記認識のもとに「中小企業・小規模事業者の生産性の向上に向け事業統合・再編を促すため、

 予算・税制等を含めた総合的な支援策」を示すこととなった。

 (2020 年 7 月「成長戦略フォローアップ」)

 

・これに従い、「中小M&A」を円滑にかつ安心して実施できる環境を集中的に整備するとともに、

 今後の取組の見通しを提供するべく、今後 5 年間に実施することが求められる官民の取組を

 「中小M&A推進計画」として取りまとめた。

 

「中小M&A推進計画」策定の趣旨

・本計画は、中小企業が培ってきた貴重な経営資源を将来につないでいくことが目的であり、

 中小企業の淘汰を目的とするものではない。

 

・M&Aは事業承継を含め経営戦略実現のための手段の一つにすぎず、中小企業にM&A を強制

 しようとするものではない。あくまでも譲渡側・譲受側の双方が希望する場合に円滑な

 M&Aを後押ししようとするものである。 

 

ここまでを読むと、もともと政府として中小企業M&Aの第三者承継の取り組みを推進していたところ

新型コロナウイルス感染症が発生し、その必要性・緊急性が高まったことがわかります。

 

では、政府は中小企業M&Aの意義をどのように捉えているのでしょうか。

中小企業M&Aの意義としては以下の3点があげられています。

 

意義①:経営資源の散逸の回避

意義②:生産性向上等の実現

意義③:リスクやコストを抑えた創業

 

2)「中小M&A」の意義とは

意義①:経営資源の散逸の回避

・中小企業経営者の高齢化が年々進んでおり、事業承継への関心が高まっている。

 

・こうした中、事業承継の取り組みが活発化しつつあり、後継者不在率は改善傾向にあるものの、

 引き続き事業承継を推し進める必要がある。

 

・後継者不在の中小企業は、仮に黒字経営であったとしても廃業等を選択せざるを得ない。

 近年、廃業件数は増加傾向にあったところ、2020年は感染症の影響もあって過去最多の件数となった。

 

・廃業事業者のうち黒字廃業の比率は約6割である。

 廃業する中小企業の中には貴重な経営資源を有する事業者も少なくないと考えられる。

 

・感染症の影響も踏まえると、経営者の年齢にかかわらず、M&Aによって経営資源の散逸を回避する

 ことの重要性が高まっている。

 

・実際、例えば経営資源のうち従業員については、M&A 実施後に多くのケースで譲渡側の従業員の

 雇用は維持されているとの調査もある。

 

意義②:生産性向上等の実現

・M&Aは、設備投資や研究開発等と並び、中小企業の生産性向上等の重要な手段の一つである。

 具体的には、M&A によって、譲渡側・譲受側ともに、他者の保有する経営資源を活用することで、

 以下などを早期に実現する効果が期待される。

 

 ①規模の拡大によるコア事業の強化・拡大

 ② 垂直統合によるコア事業の強化・拡大

 ③新規ビジネスへの参入

 ④成熟・衰退事業の再編

 ⑤グループ内再編

  

・また、デジタルトランスフォーメーション(DX)を含め、従来の経営スタイルからの発展や、

 従業員の意識改革等の効果も期待される。

 

・M&Aによって経営資源の集約化を行った中小企業は、そうでない企業に比べて生産性等の向上を

 実現しているとの調査もある。

 

・また、感染症の影響により、ウィズコロナ/ポストコロナ社会における「新たな日常」に対応するため、

 事業再構築を考えている中小企業も多い。

 

・年齢が若い経営者ほど、感染症の影響下において、「新たな販路開拓・取引先拡大」や

 「新商品・新サービスを開発」などの新しい取組を行う傾向にあるとの調査もある。

 

意義③:リスクやコストを抑えた創業

 

・後継者不在の中小企業のうち、譲受側が見つからないなど M&Aを実施できない場合には廃業等に

 移行せざるを得ない。こうした場合でも経営資源の一部を引き継いでいくことが重要である。

 

・我が国の開業率は、国際的に相当程度低水準である。また、感染症の影響により、創業計画の

 見直しや延期を余儀なくされた創業準備者も少なくないと考えられる。

 

・こうした中、他者が保有している経営資源を引き継いで行う創業(「経営資源引継ぎ型創業」)

 を促すことは、後継者不在の中小企業にとって経営資源を引き継ぐことにつながる。

 

・創業希望者にとっても創業時におけるリスクやコストを抑える上で有用なケースも少なくない。

 

3)「中小M&A」における課題と対応の方向性

「中小M&A推進計画」では、いくつかの論点で、課題と対応の方向性が示されています。

下表は「中小M&A推進計画」で示された課題と対応の方向性を一覧化したものです。

 

区分 課題 NO 対応の方向性
小規模・超小規模M&A の円滑化 課題①-ⅰ:事業承継・引継ぎ支援センターとM&A支援機関の対応不足 1

取組①:事業承継・引継ぎ支援センターとM&A支援機関の連携強化

(センター間の連携強化を含む)

2 取組②:事業承継・引継ぎ支援センター職員の人員強化、業務標準化
課題①-ⅱ:潜在的な譲受側(創業希望者等)の掘り起こし不足 3 取組①:創業支援事業等との連携
4

取組②:事業承継・引継ぎ補助金における新たな対象類型の創設

(経営資源引継ぎ型創業)

課題②:安心できる取引を確保するための取組の不足 5 取組①:事業承継・引継ぎ支援センターによる士業等専門家の活用支援
6

取組②:事業承継・引継ぎ補助金による支援

(士業等専門家活用費用補助等)

7 取組③:表明保証保険の推進によるリスクの低減
大規模・中規模M&Aの円滑化 課題①:中小企業における M&Aに関する経験・人材の不足 8 取組①:簡易な企業価値評価ツールの提供
9

取組②:事業承継・引継ぎ補助金等による支援

(デューディリジェンス、セカンドオピニオンの推進等)

課題②-ⅰ:M&A前後の取組の不足 10 取組①:よろず支援拠点における経営戦略策定の支援
11

取組②:中小M&AにおけるPMIへの段階的な支援の充実

(中小M&AにおけるPMIに関する指針の策定等)

12

取組③:経営資源集約化に資する税制や事業承継・引継ぎ補助金による支援

(M&A後の設備投資・販路開拓の支援等)

課題②-ⅱ:中小企業向けファンドのすそ野の狭さ 13 取組①:中小企業向けファンドによる支援の取組に関する周知広報
14 取組②:中小企業経営力強化支援ファンド出資事業を通じた中小企業向けファンドのすそ野の拡大
中小M&Aに関する基盤の構築 課題①:事業承継等の準備を後回しにしている中小企業の存在 15 取組①:事業承継ガイドラインの改訂等
16 取組②:取引事業者、業界団体、商工団体、地域金融機関、士業等専門家等からの事業引 継ぎ等に関する早期かつ継続的な、親族等のステークホルダーを含む対話の推進
17 取組③:企業健康診断への発展的な見直し等
課題②:中小M&Aを行う上での制度的課題の存在 18

取組①:所在不明株主の株式の買取り等に要する期間の短縮

(会社法の特例の創設)

19

取組②:M&A手法の選択の幅を狭める制度的課題

(例:許認可等承継)への対応

20 取組③:経営者保証解除に関する制度・事業の周知広報、事業承継支援との連携強化
課題③:中小企業におけるM&A支援機関に対する信頼感醸成の必要性 21 取組①:M&A支援機関に係る登録制度等の創設
22 取組②:M&A仲介等に係る自主規制団体の設立
23 取組③:中小M&Aガイドラインの普及啓発
事業再生・転廃業支援との連携 課題①:事業再生支援との連携強化の余地 24 取組①:事業承継・引継ぎ支援センターと中小企業再生支援協議会の連携強化
25 取組②:事業再生局面における経営資源集約化に資する税制による支援
課題②:転廃業支援との連携強化の余地 26 取組①:事業承継・引継ぎ支援センターにおけるM&A、経営資源引継ぎ支援から、やむを得ず転廃業する場合の相談、専門家の紹介までの切れ目ない支援、士業等専門家等との連携強化
27 取組②:事業承継・引継ぎ補助金による支援(廃業費用補助等)

 

上表から3点抜粋してご紹介します。

① M&A前後の取組の不足

「大規模・中規模M&Aの円滑化」という論点では「M&A前後の取組の不足」が課題として

挙げられています。(上表NO11)

 

「M&A前後の取組の不足」の具体例としては、「M&Aプロセスにおいてやり直したい取組」

として以下などが紹介されています。

 

・シナジー分析

・事業計画の立案/事業価値評価

・PMIの事前検討

・M&A戦略の策定

・事業計画のレビュー

・M&A成立後の経営を任せる人材の検討

 

実行プロセスよりもM&A戦略・事業計画・PMI関連が重要ポイントということがわかります。

 

② 所在不明株主の株式の買取り等に要する期間の短縮(会社法の特例の創設)

 「中小M&Aに関する基盤の構築」という論点では「中小M&Aを行う上での制度的課題の存在」が

課題として挙げられています。

 

そのうちの一つが「所在不明株主の株式の買取り等に要する期間」の問題です。(上表NO18)

 「所在不明株主の株式の買取り等に要する期間」は現行の会社法で5年とされています。

 

例えば、株主名簿に記載はあるが連絡の取れない株主(所在不明株主)がいる場合、その保有株式の

買取り等を行うためには、所在不明株主に対する通知等が5 年以上継続して到達せず、5 年間継続して

剰余金の配当を受領しないことが要件になっています。

 

これでは、円滑にM&Aを行うことが困難であることから、特例を創設する内容の改正法案を第 204 回

国会に提出したとのことです。

 

特例では「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」において、経済産業大臣の認定を

受けた場合に限り「5 年」という期間を「1 年」に短縮することが可能になるようです。

 

③ M&A支援機関に対する信頼感醸成

「M&A支援機関に対する信頼感醸成」に関しては「中小M&Aガイドライン」で求めている

主な取り組みの実施状況を以下のように紹介しています。(上表NO23)

 

「譲渡側・譲受側の両当事者と仲介契約を締結する仲介者であるということを、両当事者に

 伝えていますか。」

→「必ず行っている」98%

 

「専任条項を設ける場合でも、他の支援機関に対してセカンド・オピニオンを求めることを

 許容していますか。」

→「必ず行っている」47%

 

「テール期間は最大でどの程度ですか。」

→「6か月超1年以内」68%、「2年超3年以内」14%

 

5)「中小M&A」のフロー

参考までに「中小M&A推進計画」で示されている「中小M&A」のフローを下表の通りご紹介します。

NO フロー 留意点
1 相談 将来のビジョンやM&Aの希望条件の整理、株式の集約などのM&Aに先立つ「見える化」が重要。
2 意思決定  -
3 企業価値評価 譲渡側経営者との面談や現地調査等に基づいて、企業の価値を評価。当事者間で合意した金額が譲渡金額になる。
4 マッチング 候補者をリスト化した上で選定。
5 交渉 譲歩できない点などを予め固めておくことが望ましい。
6 基本合意の締結 スキームや経営者その他の役員や従業員の処遇、遵守事項を確認の上、契約書に調印することが重要。
7 財務・法務等調査(DD) 譲受側の意向を踏まえ調査を実施。
8 最終契約の締結 DDで発見された点や留保事項を踏まえて最終契約を締結する。
9 クロージング(決済) 株式等の譲渡対価の支払い、資産の移転に伴う登記手続きの確認。
10 ポストM&A  -

 

「中小M&A推進計画」では、具体的な支援制度として以下などが紹介されています。

 

・事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)

・事業承継・引継ぎ補助金(設備投資等)

・事業再構築補助金

・経営資源集約化税制(準備金)

・経営資源集約化税制(設備投資)

・経営資源集約化税制(雇用確保)

 

事業承継補助金で「事業再編」が類型の一つとされているのはなぜかなど

国の施策の背景となる考え方を知っているとより理解しやすくなるでしょう。

 

 

著作権が侵害されたら?

ビジネスモデル成立の3条件

びっくりしました。何の話かというと、ある士業グループページで

ある行政書士法人の方による以下の投稿

 

「【事業再構築補助金マニュアル】を士業様(ご支援者)向けに販売致します!

ご予約受付中ですので、ご興味がありましたら

コメントやメッセンジャーでお気軽にご連絡くださいませ」

 をたまたま見かけ、サンプルPDFを閲覧していた時のことです。

 

コンテンツサンプルにどことなく既視感のある文章が…。

なぜ既視感があるのか考えて、気がつきました。

かつて自分が書いた文章をよく似ているのです。

 

改めて、自分が書いた文章と見比べてみました。下記は自分が書いた文章です。


4.ビジネスモデル成立の3条件とは

ビジネスモデルが「儲けるしくみ」として成立するには、少なくとも3つの条件を満たすことが

必要です。その3条件とは、有用性、実現可能性、持続可能性です。

 

ビジネスモデル成立の3条件  1.有用性  2.実現可能性  3.持続可能性

 

有用性とは、顧客に提供する価値が顧客にとって魅力的かどうかということです。

顧客に提供する価値が顧客にとって魅力がなければ買っていただくことができません。

顧客に提供する価値が顧客にとって魅力的であることを有用性と言います。

 

顧客に提供する価値が顧客にとって魅力的であっても、技術や資金、体制の面などで

実現できなければ成立しません。

顧客提供価値を実現させられることを実現可能性と言います。

 

顧客に提供する価値が顧客にとって魅力的でかつ実現できても、自社が赤字であれば

持続することができません。収益を上げて、ビジネスとして持続できることを

持続可能性と言います。

 

ビジネスモデルは「儲けるしくみ」です。ビジネスモデルキャンバスを使うことで、

自社のビジネスが儲かるしくみにきちんとなっているかどうかを俯瞰的に確認することが

できます。

 

「ビジネスモデルとは?ビジネスモデルキャンバスとは?わかりやすく解説 」


上記文章の掲載箇所は、自社WEBサイトです。書いた時期は2018年2月です。

 もともとマーケティングセミナーでお話していたことを記事としてまとめたものです。

そして、既視感を感じた文章は下記です。 


ビジネスモデル成立の3条件とは

 

ビジネスモデルが「儲けるしくみ」として成立するには、少なくとも3つの条件を満たすことが

必要です。その3条件とは、有用性、実現可能性、持続可能性です。

 

①有用性

顧客に提供する価値が顧客にとって魅力的かどうかということです。

顧客に提供する価値が顧客にとって魅力がなければ買っていただくことができません。

顧客に提供する価値が顧客にとって魅力的であることを有用性と言います。

 

②実現可能性

顧客に提供する価値が顧客にとって魅力的であっても、技術や資金、体制の面などで

実現できなければ成立しません。

顧客提供価値を実現させられることを実現可能性と言います。

 

③持続可能性

顧客に提供する価値が顧客にとって魅力的でかつ実現できても、自社が赤字であれば

持続することができません。収益を上げて、ビジネスとして持続できることを

持続可能性と言います。

 

Point

ビジネスモデルキャンバスを使うことで、自社のビジネスが儲かるしくみにきちんと

なっているかどうかを俯瞰的に確認することができます。


既視感を感じるはずです。文章が同一です。別々に考えて、ここまで同じ文章になるとは思えません。

記事を見た人が無断で文章を流用してコンテンツ作成し、販売しているということです。

 これは、著作権侵害です! 

 

著作権が侵害されたら、どう対応すればいいのか。

特許庁サイトを確認して以下の記載を見つけました。


著作権侵害への救済手続

著作権侵害行為に対しては、裁判所での民事手続による救済として、

①侵害行為等の差止めを求めること

②損害賠償を請求すること

③不当利得の返還を請求すること

④信用回復のための措置等を求めること

が可能です。

また、刑事事件として告訴し、刑事罰の適用を求めることもできます。 

 

著作権侵害への救済手続 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)


「侵害行為等の差止めを求めることが可能です」と明記されています。

 

そこで、その行政書士法人の代表の方と連絡を取り、

2021年4月11日の時点で「出典を明記します」との回答を得た段階です。

 

なお、「ビジネスアイデア・テスト 事業化を確実に成功させる44の検証ツール」

(デイビッド・J・ブランド/アレックス・オスターワルダー共著)では、

ビジネスアイデアの検証の視点として、以下の3点が示されています。

1) 魅力性  :顧客はこれを望んでいるのか?

2) 実現可能性:これができるのか?

3) 存続可能性:これをやるべきなのか?

そして、それぞれの視点で起こりうるリスクとして以下が説明されています。

1) 魅力性

 ・ターゲットにしている市場の規模が小さすぎる、

・提案している価値を求めている顧客が少なすぎる、

・ターゲット層へのアピール、新規顧客の獲得、既存顧客の維持ができないというリスク

 

2) 実現可能性

・事業を管理・維持できない、拡大できない、

・または主なリソース(テクノロジー、知的財産、ブランドなど)、

 主な活動、キーパートナーにアクセスできないというリスク

 

3) 存続可能性

・ビジネスが費用より多い収益を生み出せないというリスク

また、一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会理事の岡田明穂氏によると

 "仮説デザインにあたっての切口としては、

●Front stage

●Back Stage

●Profit Formula

の3つが示されており、それぞれのエリアを震源地としてのビジネスモデルイノベーションの

パターンが合計39示されています。(参考:「The Invincible Company」)

 

なお、開発者にシニアアドバイザーとなっていただいている

(一社)ビジネスモデルイノベーション協会(BMIA)では、

●マーケティング(BMC右半分)

●エンジニアリング(BMC左半分)

●ファイナンス(BMC下部)

の3つの切口を、基礎講座等にて示しています。"

とのことです。

 

なお、片山の記事では、ビジネスモデルキャンバスを

・マーケティング(BMC右半分)

・組織体制・マネジメント(BMC左半分)

・収益・コスト構造(BMC下部)

の3つの区画でご説明しています。

 

ビジネスモデルキャンバス

 

先の行政書士法人作成のコンテンツPDFでは、ビジネスモデルキャンバスの区画も

・マーケティング(BMC右半分)

・組織体制・マネジメント(BMC左半分)

・収益・コスト構造(BMC下部)

 

の3つに分類されており、その点も片山の記事と同一でした。

 

調べものをするときにネットで検索すること。

それ自体に問題があるわけではないですが、見つけた記事の文章を

そのまま無断流用することは「著作権侵害」です。

 

著作権侵害にならないように気をつけたいものです。

 

弱くても最速で成長できる 「ズボラPDCA」とは(北原孝彦著書)

ズボラPDCA

面白い本を読みました。北原孝彦さんという人が書いた「ズボラPDCA」という本です。

 

北原さんは「2015年に美容室を開業。翌年に2店舗目を展開。立ち上げる美容室は

『店長を作らない』『フレックス制』『仕事が終わったスタッフから帰宅』『週休3日制』など

独自の考えを元にリピート率90%以上、低離職率、入社希望のスタッフが順番待ち。

ゼロから4年で美容室を全国に100店展開(フランチャイズ含む)」という方です。

 

何が面白かったか?というと、日本キャッシュフローコーチ協会主宰者の和仁達也先生と

考え方がとてもよく似ているのです。中に和仁先生が入っているんじゃないか?と思うほどです。

 

キャッシュフローコーチには「こうすれば成果が上がる」という共通言語がいくつかあります。

 

北原さんの書かれていることが和仁先生の考え方と極めて似ているので、結果的に

キャッシュフローコーチ的考え方と酷似しているのです。具体的には以下の箇所などです。

 

1) PDCAを回すことができないのは面倒くさいから

 ”PDCAを回すことができない一番の原因は…「面倒だから」”(p.28)

 

誰もがPDCAが大事とわかっています。だけど、できないんです。

理由は面倒だから。そして社長に何かを強制する人は社内にいないから。

だからこそ「健全な強制力」が必要なのです。

 

2) 脱完璧主義

”何かを始めるときは「勢い」を利用する。「カンペキ主義」は卒業”(p.124)

 

新しいことを始めるとき、人は完璧主義になりがちです。

そして、これがまだできていないから…などと理由をつけて、つい先送りにしてしまう。

だから、新しいことを始めるときは、脱完璧主義でまずはやり切る。

 

ザッカーバーグも言っています。

完璧を目指すよりまず終わらせろ」(Done is better than perfect.)

 

なお、すぐ着手することの重要性を表す言葉として

キャッシュフローコーチの共通言語には「今すぐ15分」というキーワードもあります。

 

3) 言語化で思考の精度を上げる

”行動を検証して再現性を持たせる。このときに必要な作業が「言語化」”(p.141)

 

多くの人が「なんとなく」でしか物事を考えていない。

曖昧なイメージが言語化されていないから、思考がクリアにならない。

言語化して初めて、考えていることが自分自身にとって明確になります。

人に伝えられるようにもなります。

 

4) 「壁打ち」でより速く深く考える

”思考の精度を上げるために人に話す。この作業を「壁打ち」という。”(p.152)

 

”壁打ちの応酬をしているうちに、言語化がどんどん研ぎ澄まされていく。

 言語化が研ぎ澄まされれば、アイデアの精度が高まり、隙や粗のない、失敗しない行動ができるようになる。”(p.158)

 

”壁打ちの目的は相手に何かを教えてもらうことではなく、自分の考えを言語化すること。

 定期的に自分のやっていることを報告するメンター的な人がいるとさらにいい。

 定期的に壁打ちを行うと、PDCAサイクルが回りやすい。”(p.159)

 

北原さんは「思考の精度を上げるために人に話すこと」を「壁打ち」と言っています。

ここは和仁先生の定義と少し違います。

 

和仁先生の定義では

クライアントの思考を助けるためにさまざまな角度から質問を投げかけること」が「壁打ち」です。

 

人が思考するとき、問い(論点)を設定し、その問いに対する答えを考えます。

論点設定と解の探索の往復です。

 

「壁打ち」とは、キャッシュフローコーチが論点設定の役割を担うことです。

論点設定をキャッシュフローコーチが担うことで、クライアントは問いに答えることに思考を集中できる。

 

その結果、クライアントはより短時間でより深く考えることができ、納得の意思決定を見出しやすくなる。

これが和仁先生の考える「壁打ち」です。

 

結果的にやっていることは同じです。

クライアント側から物事を見ているか。コンサルタント側から物事を見ているか。

その違いがありつつ、同じ結論に行きつくところが興味深いです。 

 

5) 1アクション3ゴールで成果を加速する

 

”提案したいのが「一つのアクションでさまざまなリターンを狙う」という仕事術。

できれば”一石六鳥”くらい狙いたい。”(p.178)

 

同じことを日本キャッシュフローコーチ協会では「1アクション3ゴール」と言っています。

 

何かをするとき事前に複数の角度の異なるゴールを設定する。

それによって同じことをしていても、複数のゴールが達成できるので、成果が加速する。

 

角度の異なる複数のゴールを考えることで、着眼点も磨かれます。

 

6) 事前期待のマネジメント

”できない約束はしない。着目するのは相手の「期待値」。「期待値のズレ」を起こさない。”(p.188)

 

コンサルティングという仕事はサービス業です。

サービス業には「無形性」「同時性」「消滅性」「異質性」といった特性があります。

このうちの「無形性」は「形がなく見えない」という特性です。

 

だからこそ、クライアントの期待値との齟齬を生じさせないことが重要になります。

何を提供するのか。事前のすり合わせをすることが必要です。

 

キャッシュフローコーチはそれを「事前期待のマネジメント」と呼んでいます。

 

ズボラPDCA

 

以上、キャッシュフローコーチの共通言語の一端を北原さんの著書に絡めて、ご紹介させていただきました。

 

(1) PDCAを回すことができないのは面倒くさいから
(2) 脱完璧主義
(3) 言語化で思考の精度を上げる
(4)「壁打ち」でより速く深く考える
(5) 1アクション3ゴールで成果を加速する
(6) 事前期待のマネジメント

 

なお、上記内容をFacebookに投稿したところ、和仁先生のコメントは

「成果の出る秘訣は、業界を問わず共通しますね」でした!

 

伴走支援型特別融資/新型コロナウイルス感染症伴走支援資金とは。事業再生サポート融資(感染症対策枠)とは

「伴走支援型特別融資」では「経営行動計画」の作成が必要

ゼロゼロ融資が2021年3月末で終了します。

 

ゼロゼロ融資とは

ゼロゼロ融資とは、コロナ禍で苦しむ中小企業のために、2020年5月に新設された融資制度です。

 

融資金額は上限4,000万円、融資期間は最長10年間で、据置期間は最長5年。

月の売上が前年比15%減の法人の場合、当初3年間、実質無利子・無保証料となる制度です。

 

なお、「ゼロゼロ融資」という名称は通称です。

 

実際は都道府県の制度融資として実施されており、名称は都道府県別に違っています。

大阪府では「新型コロナウイルス感染症対応資金(保証料等補助型)」という名称です。

 

2020年5月1日に上限3,000万円で開始され、6月に上限4,000万円となり、2021年1月29日には

融資上限額が6,000万に引き上げられました。

 

名称 民間金融機関での実質無利子・無担保・据置最大5年・保証料減免の融資(通称ゼロゼロ融資)
融資上限額 4,000万円 → 6,000万円(2021年1月29日)
返済期間 10年以内
据置期間 5年以内
金利 都道府県別に固定金利(大阪府では1.2%)
保証料

都道府県別に設定(大阪府では年0.85%・経営者保証免除対応を受ける場合は年1.05%)

金利・保証料の軽減

■軽減内容

・金利:当初3年間

・保証料:全期間

 

■軽減対象者

・個人事業主(小規模企業者のみ)

 売上高が5%以上減少の場合は、保証料なし、金利当初3年間なし

 

・法人、個人事業主(小規模企業者以外)

 売上高が15%以上減少の場合は、保証料なし、金利当初3年間なし

 売上高が5%から15%未満減少の場合は、保証料半額補助

対象者

セーフティネット保証4号、5号、危機関連保証の認定を受けていること

※大阪府のゼロゼロ融資「新型コロナウイルス感染症対応資金(保証料等補助型)」については以下の大阪府サイトをご参照ください。

http://www.pref.osaka.lg.jp/kinyushien/korona/index.html

 

一方で、このゼロゼロ融資については金融機関が貸出残高を伸ばす営業手段に使われているのでは?

という批判もありました。

 

なぜなら、無利子・無保証料なので、企業に対して提案しやすく、かつ金融機関もリスクがないためです。

 

結果的に、保証協会付融資が増加し、同時に、プロパー融資が減少。

金融機関と企業の関係性が希薄になっているのでは?

本来、必要な本業支援がなされていないのでは?との指摘もなされています。

 

また、多くの都道府県での金利が1%前後であるのに対し、奈良県では、2.175%という高い金利を設定。

企業を助ける趣旨のゼロゼロ融資が地元金融機関の収益向上に使われたとの指摘もありました。

 

このゼロゼロ融資が3月末で終了します。

では、4月からの融資制度はどうなるのでしょうか。

 

新型コロナウイルスの影響に苦しむ中小企業を対象とする2種類の融資制度の新設

4月からは、新型コロナウイルスの影響に苦しむ中小企業を対象とする融資制度として、

2種類が新設されるようです。

 

それが「伴走支援型特別融資/新型コロナウイルス感染症伴走支援資金」と

事業再生サポート融資(感染症対策枠)」の2つです。

 

特徴は両者とも「金融機関による継続的な支援を前提」としている点です。

おそらく、ゼロゼロ融資で指摘された弊害を踏まえてのことだと思われます。

 

伴走支援型特別融資/新型コロナウイルス感染症伴走支援資金とは

「伴走支援型特別融資/新型コロナウイルス感染症伴走支援資金」は市町村の認定を受け、

「経営行動計画」を作成して、経営改善を進める中小企業等が対象です。

 

融資限度額が、4,000万円であること、貸出期間の最長10年、据置期間の最長5年はゼロぜロと同じです。

 セーフティネット保証4号、5号、危機関連保証、いずれかの認定を受けていることが必要な点も

ゼロゼロと同じです。一方、違いは以下の3点です。

 

(1)今後取り組む事項(アクションプラン)を作成すること

(2)⾦融機関が継続的な伴⾛⽀援をすること

(3)無利子・無保証料ではないこと

 

この3点です。

  

無利子・無保証料ではないことについては、⾦利は⾦融機関所定の金利、保証料は原則0.85%。

保証料は、売上減少要件▲15%を満たす場合には、事業者負担分が0.2%になるようです。 

 

名称 伴走支援型特別融資
融資上限額 4,000万円
返済期間 10年以内
据置期間 5年以内
金利 金融機関所定
保証料(事業者負担分) 0.2%(原則0.85%)
売上減少要件 ▲15%以上
対象者

・セーフティネット保証4号、5号、危機関連保証の認定を受けていること

・今後取り組む事項(アクションプラン)を作成すること

・金融機関が継続的な伴走支援をすること

 

また、ゼロゼロ融資は無担保でしたが、伴走支援型特別融資では、担保は必要に応じて徴求とされています。

経営行動計画とは

伴走支援型特別融資を受けるためには「経営行動計画」の作成が必要です。

この経営行動計画については、以下の内容が必要とされています。

 

・計画期間:原則5事業年度(最短3事業年度)

・記載事項:①経営に係る現況 ②課題 ③課題を克服するための取組事項

 

融資を受けた企業は、作成した「経営行動計画書」を実行し、金融機関へ定期的に報告する必要があります。

報告頻度は少なくとも「四半期に1回」です。

 

金融機関は少なくとも四半期に1度は以下3点を行うこととされています。

① 中小企業の経営状況の確認

② 経営行動計画の実行状況等の報告を受領

③ 経営支援の実施

 

「経営行動計画の実行状況等の報告を受領」とされているので、書面での提出が必要と思われます。

 

また、金融機関は年1回、信用保証協会に以下3点を電子データで報告することとされています。

① 経営行動計画の実行状況

② 財務状況

③ 金融機関の経営支援状況

 

中小企業庁「経営行動計画書」のサンプル(PDF形式:122KB)

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2021/210325hosyo02.pdf

事業再生サポート融資(感染症対策枠)とは

「事業再生サポート融資(感染症対策枠)」は債権者全員の合意を得た計画に従い、事業再生を

進める企業が対象です。融資限度額は、2億8,000万円です。

 

貸出期間は最長15年、据置期間は最長5年。

⾦利は⾦融機関所定、保証料(事業者負担分)は0.2%とされています。

 

名称 事業再生サポート融資(感染症対策枠)
融資上限額 2.8億円
返済期間 15年以内(⼀括返済の場合1年以内)
据置期間 5年以内
金利 金融機関所定
保証料(事業者負担分) 0.2%(原則0.85%)
対象者

中小企業再生支援協議会や経営改善サポート会議等の支援により作成した事業再生計画を実行すること

 

どちらの制度でも、金融機関が継続的に進捗状況の確認や経営支援をすることが要件とされています。

  

ゼロゼロ融資では、要件を満たす企業は比較的容易に借入できましたが、

今後は「経営行動計画」の策定や金融機関から進捗確認を受けることが要件になります。

 

企業側も経営改善に向けた一層の努力が求められるとともに、どの金融機関をメイン行とするのか、

その見極めが必要と言えそうです。 

 

※参考資料:経済産業省「令和2年度第3次補正予算案の事業概要」

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/kihonmondai/seidsekkei/download/006_2_2.pdf

※中小企業庁「中小企業に対する金融機関の伴走支援や早期の事業再生を後押しするための信用保証制度」(2021年3月25日)

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2021/210325hosyo.html

歯科医院向けキャッシュフロー経営セミナーの講師を務めます

10年先も見通して理想の医院を実現する!マネジメント実践セミナー

2021年2月21日(日)に歯科医院向けキャッシュフロー経営をテーマにしたセミナーの講師を務めます。

なぜ、歯科医院向けキャッシュフロー経営セミナーの講師を務めるのかをテーマに書いてみました。

 

日本人の健康を守るには口腔環境の改善が重要

メタボリック・シンドロームと歯周病との関連が指摘されています。

 

メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満と、高血圧、血清脂質異常、高血糖などを併せもった状態のことです。

 

体が健全ではない状況で、さまざまな病気が次々と発症していく。

これがメタボリック・ドミノです。

歯周病や虫歯は、このメタボリック・ドミノの最上流に位置しています。

 

口腔内細菌により、メタボリック・ドミノが始まると糖尿病や脳卒中、心不全など疾患のリスクが高まります。

口腔環境の悪化が全身の健康の悪化を引き起こします。

 

全身の健康を守るために必要な口腔環境の改善に重要な役割を果たすのが歯科医院です。

 

口腔環境を守るのは歯科医院

歯科医院は、日本人の口腔環境を守る存在です。

ところが、歯科医院は、長期的・構造的な事業環境の変化に直面しています。

 

また、歯科医院は多額の設備投資が必要であり、経営判断の良否が後々まで経営に影響を及ぼすという特徴があります。

一方で、歯科の知識・技術に卓越しておられても、経営数字については詳しくない歯科医院さんも多いのが現状です。

 

日本キャッシュフローコーチ協会が提携している、株式会社プラネットさんでは「魅力ある豊かな歯科医院」を理念に掲げ、歯科医院向けにキャッシュフロー経営をテーマにした「マネジメント実践セミナー」などのセミナーを継続開催されています。

 

「10年先も見通して理想の医院を実現する!マネジメント実践セミナー」の内容は

「マネジメント実践セミナー」では、理想の歯科医院を実現されたい歯科医院の院長を対象に、以下のようなお話をお伝えしています。

 

・スタッフにいくら支払うのがベストか。

・いつ、いくら設備投資すればいいのか

・いくら売上を作ればお金の不安がなくなるのか。

・いくらまで借入をしてOKなのか。

 

前回、プラネットさんの「マネジメント実践セミナー」の講師をさせていただいたときには、参加された歯科医院様から以下のようなフィードバックをいただきました。

 

・決算書の見るべきポイントがわかりました。

・今後の返済に必要な貯えを生み出すための売上目標の立て方がわかった。

・考え方や決算書のどの部分を見たらいいのか明確になった。人件費についての考え方もすごくわかりやすかった。

・スタッフと院長の医院のお金に対する認識のずれをどうやって埋めるかについて、ヒントが得られた。

・労働分配率について知ることができ、スタッフの給与の決め方がわかりました。

 

私が講師を務める回は、2021年2月21日(日)10時~13時半です。

オンラインセミナーなので、全国どこからでもご参加可能です。

 

他の日程もありますので、ご都合のよいタイミングでご参加いただけます。

 ぜひ、知り合いの「理想の歯科医院を実現されたい歯科医院」様にご紹介ください。

 

「10年先も見通して理想の医院を実現する!マネジメント実践セミナー」

(開催日:2月4日(木)、2月11日(木)、2月21日(日)、3月4日(木)、3月7日(日)、3月18日(木))

 

 

※詳細確認及びお申込みは以下からお願いいたします。

http://www.dentalx.jp/04event/seminar/cf_ws/210204.html

 

 

地域金融変革運動体とは

地域金融変革運動体

 

2020年9月12日、長野県諏訪市で「SUWAリレバンサミット2020」という金融関係者のイベントがあったことを前回書きました。

このイベントは諏訪信用金庫の主催です。共催が「地域金融変革運動体」です。

 

イベントで「地域金融変革運動体」メンバーとして挨拶されたのが、大阪の銀行員の吉澤徹氏。

 

吉澤氏は「地域金融変革運動体」について「地域金融に熱い想いを持った人たちの集まり・ネットワーク。

それぞれが属する組織を超えた、打てば響く個人のつながり。部活動。地域金融の共感集団」

と説明された上で、以下のようなエピソードを紹介されました。

 

心打たれる内容でしたので、そのままご紹介させていただきます。(以下引用です)

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

昨年(2019年)の7月、東京で地域変革運動体の大納涼会が開催されました。

 

その二次会でバラバラに座り、お隣にいる方と

「いや初めまして」と名刺交換をさせていただいたんです。

 

そのときにいただいたお名刺に

「諏訪信金 長地支店 支店長」と書いてあり、びっくりしたんです。

 

「えー、諏訪信金さんですか。私、実は長野県の諏訪市の出身の人間でありまして

高校3年までは、諏訪の地で生まれて育ってきた人間です。

大学入学から大阪に移り住みまして、大阪の銀行に就職したんです」

 

で、その後、その諏訪信金の支店長とお話させていただきまして

「どこにお住まいだったんですか」

「いやー、こうなんですよ」みたいなお話させていただきましたら、

支店長の顔がはっと変わったんですね。

 

「お母さん、知ってますよ」と。驚きました。

「ええーっ」と。

「いつも自転車で走って、お母さん、がんばってましたよね」みたいなお話をされるんです。

 

なんと、その支店長が昔、私の母親の担当として

長野県の実家に訪問してくれていたと。そんなことを聞きました。

これはもうびっくりしました。

「へー、そんなことってあったんや」と。

 

私、大阪に移り住んで仕事をしていたんですが、

なかなか長野県まで帰ってくることはできませんでした。

 

まあ2年に1回とか、3年に1回とか。そんなペースでしか帰ってこれませんでしたけども

帰るたびにですね。母親が私に言うんですよ。

 

「徹な。信金さんが母さんの所に来てくれてな。とってもいい人。

母さん、とっても嬉しいんだよ」と。

 

「なんかね。信金さんが来てくれると、大阪でおまえもね。

こうやって、たくさんのお客さんに喜んでいただいている。

そんな風にがんばっているのかなと思えると

もう信金さんが来てくれたら、おまえが帰ってきてくれたみたいで、

母さん嬉しくて嬉しくて、とっても楽しみにしているんだよ」

って本当に帰るたびに聞いていたんですよね。

 

私は返す言葉もなく

「ああ、そう、よかったね」と言っておりましたが、

 

まあ、その信金さんに東京で隣に、会うことができたとは、

本当に驚いて驚いて、こんなご縁ってあるのかなと

こんな素晴らしい、ありがたいご縁をちょうだいした運動会の会に感謝したいと感じた、

そういうことがありました。

 

(中略)

 

私はずっと大阪で働いておりました。

 

母親から聞いておりました

「おまえもこうやって大阪でたくさんのお客さんに喜んでいただいているのかな」

っていうその言葉がずっと頭から離れずに、

 

一人でも多くのお客様に元気になっていただくことはできないかな。

何かお客さんのお役に立てないのかな。

という思いで、活動をしてきたところなんですね。

 

これは私だけじゃありません。

おそらく、ここにお集まりの方もそのジレンマというか。感じておられると思います。

 

皆さんね、今、これしなあかんねんと。

自分のお客さんにこういうことをしてあげなあかんねんと。

 

でもな、求められているの、これやろと。

これしなかったら、店の表彰なり評価なり、俺の生活なり、ちょっとなかなかうまいこといかないよねと。

 

やらなしゃあないよねということで、やりたくてもできない状態にあるんじゃないでしょうかね。

これってものすごいね。大事な話だと思うんですよ。 

 

今、向かわんとあかんべきことにきちっと組織として対応する。

これが今、一番求められていることじゃないんでしょうか。

 

本当にそういう切実な想いで一人ひとりの職員が働いているということを

(銀行の)経営に携わる方にはしっかりと理解していただきたい。

そんな風に思います。

 

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

銀行員というと、一般に合理的でクールなイメージがあると思います。

実際には、こんな熱い心のバンカーもおられるということですね。

 

このエピソードは、「捨てられる銀行 4 消えた銀行員 地域金融変革運動体」(橋本卓典氏)でも

詳しく紹介されています。

 

ぜひ一読されることをお勧めいたします。

 

捨てられる銀行 4 消えた銀行員

金融検査マニュアル廃止後の融資に係わる検査監督の考え方と進め方とは

金融検査マニュアル廃止後の検査監督

 

2020年9月12日、長野県諏訪市で「SUWAリレバンサミット2020」という金融関係者のイベントがあり、リモートで視聴させていただきました。主催は、諏訪信用金庫さんです。

 

その中で、「金融検査マニュアル廃止後の融資に係わる検査監督の考え方と進め方」というお話がありましたので、ご紹介します。

(1) 金融庁の任務の変化

まず、なぜ「金融検査マニュアル」が廃止されたかというと、金融行政の置かれた状況の変遷の中で、金融庁の任務が変化してきたということがあります。

< 金融行政を巡る主な出来事 >

 

1997年  北海道拓殖銀行や山一証券等の破綻

1998年  金融監督庁発足。日本長期信用銀行や日本債権信用銀行の国有化

1999年 「金融検査マニュアル」公表

2000年  金融庁発足

2001年  特別検査の実施(主要行)

2008年  リーマンショック

2012年  アベノミクス開始

2013年  金融モニタリング基本方針公表

2014年  金融モニタリングレポート公表

 

金融庁が発足した1998年、前年には、北海道拓殖銀行や山一証券等の破綻がありました。

 

発足当時の主な課題

1.金融行政の信頼の回復

2.不良債権問題の解決

3.利用者保護のためにミニマム・スタンダードの徹底

 

そうした課題認識を踏まえての金融庁の任務は、

1. 金融システムの安定

2. 利用者の保護・利用者利便の向上

3. 公正・透明で活力ある市場の確立

 

発足当時の検査・監督の方針

1.ルール重視の事後チェック行政

2.厳格な個別資産査定中心の検査

3.法令遵守確認の徹底

でした。

上記検査・監督方針は、当時の金融庁任務を遂行するにおいて必要なことでした。

上記の方針で取り組んだことで、不良債権問題は収束し、最低限の利用者保護の徹底が図られました。

 

一方で、結果的に副作用としてさまざまな弊害が発生するに至りました。

 

主な副作用は以下の3点です。

1.形式への集中(借り手の事業内容ではなく、担保・保証があるかを必要以上に重視)

2.過去への集中(将来の経営の持続可能性よりも、BS(過去の経営の結果)の健全性に集中)

3.部分への集中(金融機関の経営全体の中で真に重要なリスクを議論するのではなく、個別の資産査定に集中)

このような金融行政の弊害の認識にもとづいて、金融庁では改めて、金融行政の究極的な目標は何かを再考しました。

 

そこで出てきた金融行政の究極的な目標とは

企業・経済の持続的な成長を支え、国民の安定的な資産形成に寄与することを通じて、

 国民の厚生の最大化に貢献すること」。

 

ところが「金融検査マニュアル」が残っている限り、金融機関が「金融検査マニュアル」の呪縛に捉われてしまう。

その弊害を考慮し「金融検査マニュアル」の廃止に踏み切ったとのことです。

 

(2) アメリカの査定と日本の査定の違いは

金融庁では「金融検査マニュアル」廃止後、アメリカのFRPの人に改めて、資産査定について学んだそうです。

そうすると、もともと「金融検査マニュアル」策定のときもアメリカのFRPに学んだつもりが

日本は日本で独自の進化を遂げていて、アメリカのやり方とはかなり違うことに気づいたそうです。

そこで、わかったことは

 

・アメリカの査定では内部格付と引当は必ずしもリンクしていない。

・区分の目標は、与信の質の正確な把握であって、引当の準備作業ではない。

・毀損債権は早くチャージオフ(償却)する。

・非毀損債権のほとんどは一般貸し引きが大部分を占めている。

・一般貸し引きのやり方の最大8割程度は定性要因。つまり経営者の判断。

 

経営判断とは、この金融機関がどういう分野にリスクを取っていて、どういうポートフォリオを作って、

どういう融資をしようとすると、そこに連動して、どういうリスクがありうるのか定性判断をして、

一般貸倒引当金に相当するものを準備する。

 

経営方針と融資の方針とそれに伴って、どういうリスクがあるかという判断と

一般貸倒の引当金を積むことが一体になっている。

 

それに対して、日本では、

・債務者区分して「要注意」より上になると一般貸し引き。

・貸倒実績に基づいて機械的に引き当てを積んでいる。

・毀損債権のやり方を非毀損債権にまで適用している。

・経営判断や融資の方針と引き当てが無関係である。

 

そうしたことがわかって、その違いに驚いたそうです。

 

(3) 金融検査マニュアル廃止後の融資に係わる検査監督の考え方と進め方とは

では、金融機関が創意工夫を行いやすくするには、どうすればいいのか。

 

1.一律の目線ではなく、金融機関の経営理念・戦略の多様性があることを理解し、

  金融機関の個性・特性に着目し、これに即した検査・監督を行う。

2.当局がこのような検査・監督を実践することで

① 早期の顧客の業況の変化を引当に反映させることにより、迅速な支援が可能となる

③ 将来を見据えた幅広い情報に基づき、より的確な金融仲介。引当が可能となる。

 

つまり、金融機関の経営理念・戦略に応じた検査・監督を行う。

 

1.金融機関がどのような経営環境の中で、何を目指しているのか(経営理念)、

  そのためにどのような経営戦略や融資方針、リスクテイク方針を採用しているのか。

  金融機関の固定・特性を理解する。

 

2.その上で、どのように金融仲介機能を発揮しようとしているのか。

  それに伴う健全性上の課題は何かを明らかにする。

 

 引当については、可能であれば、将来を見据えた引当の見積を促す。

 

1.金融検査マニュアルに基づいて定着した現状の引当実務(主に過去実績をもとに査定)は否定しない。

2.マニュアルに記載がなくとも、足元や将来の情報に基づき、より的確な引き当てと早期の支援を

  可能にする。

 

まとめると、金融機関がそれぞれの経営理念・経営戦略・経営方針に則って、融資ポートフォリオを作り、

それがどのくらいのリスクがあるのか認識して、引当を積むということを一貫してできているのか。

その全体を議論できるようにする

 

これが金融検査マニュアル廃止後の融資に係わる検査監督の考え方と進め方とのことでした。

 

zoom×シナリオプランニング・ワークショップで感じた3つのこと

シナリオプランニング

 

2020年の4月、5月をふり返ってみると

 

4月  7日 東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡の7都府県を対象に緊急事態宣言が発令。

4月16日 緊急事態宣言の対象を全国に拡大。
5月14日 東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡・北海道以外について緊急事態宣言を解除。

5月21日 大阪・京都・兵庫の3府県について解除。
5月25日 東京・神奈川・埼玉・千葉・北海道についても緊急事態宣言を全面解除。

人の移動や対面での打ち合わせ・会議等がしづらくなり、

在宅勤務やリモート会議が一気に進んだ時期でした。

 

この期間中、従来訪問で実施していたコンサルティングもオンライン化したり

研修もオンラインで実施したりしました。

 

また、メルマガで無料相談やセミナーの告知をしたところ、遠方の企業の方に

ご参加いただいたりもしました。

 

ZOOMのメリット・デメリットは?

 

実施してみたZOOMのメリットとしては

 

・遠方の方にもご参加いただける。

・移動しなくていいので、付加価値業務に時間を効率的に使える。

・思い立ったときに、すぐミーティングできる。

 

ZOOMのデメリットとしては

 

・参加者のリアクションがわかりにくい。(特に画面が暗くて表情がよく見えない場合など)
・前後の雑談などでの人間関係構築がややしづらい。

・同じ空間を共有することのつながり感が得られにくい。

・話すときに間が取りにくい。(間を取って話すと「画面が固まった」と勘違いされる)
・ノートパソコン等の環境が整っていない企業とはそもそも実施できない。

などなど。実施して気づいたことも数多くありました。

 

シナリオプランニングとは

 

さて、いろいろやってみた中で、記録しておきたいと思ったことの一つが
ZOOMでのシナリオプランニング・ワークショップです。
 
シナリオプランニングとは、起こりうる複数の未来シナリオを予め想定しておくことで
危機管理能力を高め、意思決定の質を上げる手法です。

 

なぜ、ZOOMでシナリオプランニング・ワークショップをやってみようと思ったのか。

それは、新型コロナウィルスの問題がどうなっていくのか、しっかり考えてみたいと

思ったことがその理由でした。

 
・新型コロナウィルス感染症の問題は、今後、どうなっていくのか。いつまで続くのか。
・どのような分野にどのような波及効果があるのか。
・新型コロナウィルス感染症の問題が収束しても、たぶん元の世界には戻れない。
・おそらく大きな時代の転換期にいるのだろう。
・ただ、渦中にいると、目の前のことで頭がいっぱいになりがち。


 「今は早くコロナが収束してほしいだけ」とか
 「早く緊急事態宣言が解除になってほしい」とか
 「コロナなんてもうウンザリだ」

 「自粛疲れ」

 などなどの言葉が聞こえてくるけれど

 

・後で考えたら「冷静に考えたら、気づけることはあったのでは?」と思うかもしれない。
・不確実性が高い状況下だからこそ、もっと長いスパンで先を考える必要があるのでは?
・緊急事態宣言の最中でもできることがあるのでは?
 
緊急事態宣言下の4月23日、私はそんなことを考えていました。
そう思った思いつきのまま、Facebook にこんな投稿を投げかけてみたのです。

 

シナリオプランニング・プロジェクトのスタート

 

”【完全な思いつきです】

ある一つの出来事を契機に、世の中の情勢が大きく変わることってありますよね。

たとえば「新型コロナウイルスの登場」などはその最たるものだと思います。

 

では今後はどうでしょうか?どのような情勢に変化していくのか?

みんな知りたいことだと思います。

 

これを予測することは誰にも難しいと思いますが、考えてみることはできます。
そのときに使える手法が「シナリオプランニング」です。


「シナリオプランニング」とは今後起こりうる(起こるかもしれない。起こらないかもしれない)ことを考え、

起きたらどうなるか。起きなかったらどうなるかを考えてみることで、起こりうる未来に備える考え方です。

 

今後起こりうることのうち
・人の心理が動く、大きな出来事は何か?
・それが起こったら、一気に潮目が変わることは何か?
・ブレイクスルーは何か?


たとえば
・ワクチンの早期実用化
・治療方法の確立
・新型コロナに関する新たな知見の発見
・行政・警察・医療等社会インフラの毀損・機能低下
・死者数がインフルエンザ死者数に達する


などなどが考えられます。そして、それが起こったら、その後はどんなシナリオが起きうるか。

複数のシナリオを考えておくことで、未来に備える手法が「シナリオプランニング」です。


私は以前に「シナリオプランニング」を学び、知的資産経営の一部で使っているのですが、

今こそ「シナリオプランニング」の手法を活用すべき時かもしれないと感じています。


もしご興味がある方がいらっしゃいましたら、どんな形になるか。実現できるか。

現時点でノーアイデアですが、一緒に考えてみませんか?”

 

この投稿に10人の方々がコメントをくださって、シナリオプランニング・プロジェクトが

スタートすることになりました。

 

さて、リモートでのワークショップをどう進めたのか

 

メンバーが決まって、スタートしたシナリオプランニング・プロジェクト。

具体的には、4月末から5月初めのゴールデンウイークの期間に、3日に分けて実施することにしました。

 

さて、シナリオプランニング・ワークショップでは、複数のメンバーが対話しつつ、

模造紙に付箋を貼りながら、シナリオ作成していきます。

 

模造紙に付箋部分をリモートの場合、どう進めたのかというと

これは、Googleプレゼンテーションを使いました。

 

Googleプレゼンテーションとは、オンライン版のパワーポイントです。

Googleスプレッドシートのパワーポイント版です。

 

ZOOMで話しながら、Googleプレゼンテーション上で付箋をペタペタやるイメージで実施しました。

 

実際にやってみた記録が下の図です。

 

シナリオプランニング・ワークショップ
シナリオプランニング・ワークショップ

 

下のチャートはこのときの意見交換を元にベースシナリオをまとめたものです。

 

(シナリオプランニングでは、ベースシナリオとサブシナリオを作成します。

 ベースシナリオは予想される未来。サブシナリオは起こりうる複数の未来シナリオです)

シナリオプランニング

zoom でシナリオプランニングのワークショップをやってみて感じた3つのこと

 

実際に3日間のプロジェクトをやってみた感想としては…。

自立性・主体性の高いメンバーの場合は、ZOOMでも十分にワークショップが可能」ということです。

 

言葉を返すと、参加者が受け身な場合は、なかなか難しい…とも言えます。

理解状態が十分に把握できないし、反応を見ながらの細やかなフォローもしづらいためです。

 

そして今回、改めて、シナリオプランニング・ワークショップを行うことで

 

1.一人で考えるよりも視野が広がる。創発効果が高い。
2.相互壁打ちで考えをまとめていきやすい。
3.情報感度が高まる。

 

ということを体感することができました。

 

上記1と2は、ワークショップ形式によるメリット、

3は、シナリオプランニングという手法自体のメリットです。

 

「相互壁打ち」という言葉は補足説明が必要かもしれません。

 

考えを聞いて、質問で返すことで、より考えを広げてもらったり、深めてもらうことを

「壁打ちの相手を務める」と言っています。キャッシュフローコーチ用語です。

 

今回は、複数メンバーでお互いに意見交換しながら、考えをまとめたので、「相互壁打ち」の状態でした。

 

こうやってふり返りをしてみると、ZOOMだから…という特有のことはあまりないようにも見えます。

 

ただ、今回、手をあげてくれた10人のメンバーの中でシナリオプランニングの経験者は一人だけ。

後の9人は、シナリオプランニングは今回初めてというメンバーでした。

 

未経験のメンバー、しかも、東京、宮城、京都、大阪、兵庫、広島、高知のメンバーに集まってもらうことが

できたというのはZOOMならではの良さと言えるでしょう。

 

参加メンバーによる感想は

 

今回の参加メンバーの方々からはこんな感想をいただきました。

 

・「面白かった。モノの見方・考え方が多面的になった
・「どんな要因が物事を引き起こすか想定してみること。一人で考えるよりもふり幅が大きくなった。

  シンプルにありがたいと思った」
・「足元のことで精一杯で不安だったが、先を見ることで希望を感じることができた

  一歩踏み出していきたい」

・「参加できてよかった。こうなったら、こうなるとちゃんと見ようとしていなかった。

  悲観的なことばかりじゃなく、チャンスはきっとある。自分の存在価値ややりたいことは何か。

  改めて考えたい。」
・「刺激を受けた。地域が違うとこうも違うのか」
・「コロナは人類史上、産業革命なみの事態。シナリオプランニングを経験できた。

  リアルなら、付箋を使うところを、googleプレゼンテーションを使う手法も面白かった。

  自分が関わっていること以外を俯瞰的にみることができた。ミクロに落とし込んでいけそう」

・「自分はどうしないといけないか。ヒントが見つかった」
・「楽しかった。自分ひとりでは到底気づけないことや、ハッとするようなことがたくさんあった

  頭の中を整理できた」

 

スペシャル・サンクス・トゥ

 

今回、プロジェクトに参加してくださった

 

足立早恵子さん(中小企業診断士)
乾 京子さん  (中小企業診断士)
及川宗峰さん (キャッシュフローコーチ)
荻野将一さん (キャッシュフローコーチ)
神佐真由美さん(税理士)
島本栄光さん (システムアナリスト)
中尾友和さん (中小企業診断士・キャシュフローコーチ)
仲光和之さん (中小企業診断士・キャッシュフローコーチ)
中村佳織さん (中小企業診断士)
はらゆきこさん(ファシリテーター・研修講師)

 

ありがとうございました!

 

シナリオプランニング
シナリオプランニング

 

また、そのうちにご一緒しましょうね。

今、資金確保と社員の安全対策を

 

新型コロナウイルスの影響で多くの中小企業が苦しんでおられます。
困難な状況下の中小企業にまずお願いしたいことは手元資金の確保です。

理由は、企業においては【資金ショート=倒産】であるためです。

 

早く動いた企業は、早期に融資を受けられ、今、落ち着いて今後の対応策を前向きに検討することができておられます。

 

資金調達方法としては、遊休資産の売却の検討なども必要でしょう。

そして、すぐ動いていただきたいのは、やはり金融機関からの借入です。

 

その中でも、まず検討したいのは日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」です。

 

(1) 日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」

日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は、最近1か月の売上が前年比5%以上減少の場合に、利用できる融資制度です。

 

売上が15%減少していれば利子補給の対象になります。

 

15%減少は小規模法人の場合。中規模法人の場合は売上20%以上減少が要件。小規模法人とは、製造業・建設業・運輸業などでは従業員数20人以下・サービス業・卸売業・小売業では5人以下)

 

最長5年の据置期間もあります。

 

据置期間とは、金利だけ支払えば、元金は返済しなくてもいい期間のことです。

 

通常、借入しても返済が資金繰りの負担になることが多いです。

元金を返済しなくていいとなると、資金繰りはぐっとラクになります。

 

手続きは、郵送・インターネットで申込が可能です。

 

日本政策金融公庫では、緊急事態宣言下の計50支店で、営業終了時間を17時から15時までに変更し、インターネット申込や、郵送による申込書類の提出を推奨しています。

 

●日本政策金融公庫

https://www.jfc.go.jp/n/release/pdf/topics_200415a.pdf

 

ただし、日本政策金融公庫には現在、申込が殺到し、今申し込んでも2か月待ちという話も聞いています。


日本政策金融公庫以外で利用を検討したいのが、民間の金融機関の保証協会付融資です。

 

(2) 保証協会付融資

保証協会付融資には、いくつかの種類があります。

 

売上が20%以上減少の場合、「セーフティネット保証4号」が利用可能です。

 

この「セーフティネット保証4号」の利用には、市区町村の認定証が必要です。

 

大阪市の場合は大阪産業創造館2Fで認定証の申請を受付しています。

 

ただし、認定証の申請のために多くの企業が殺到し、受付のために、3時間待ち、4時間待ちの状態となっています

 

大阪市では、認定証の申請待ちでの感染リスク回避のため、「セーフティネット保証4号」と「危機関連保証(6項)」について、2020年4月15日から郵送による申請受付を開始しています。

 

●大阪市

https://www.city.osaka.lg.jp/keizaisenryaku/page/0000500712.html


また「売上は下がっているけれど、20%以上ではない」という場合には、「セーフティネット保証5号」が利用できる場合があります。

 

こちらは、売上5%以上減少が対象です。

 

ただし業種の指定があるので、自社が対象かどうかは確認が必要です。

 

この「セーフティネット保証5号」の認定申請については、郵送申請の対象外となっている点にも注意が必要です。

 

保証協会付融資の場合、借入の申込先は民間の金融機関になります。

 

ふだんから借入のある企業の場合は、借入のある金融機関に相談できるでしょう。

 

困るのは、無借金の会社です

 

財務内容がどんなに健全でも、通常、金融機関はふだん取引のない企業からの突然の借入の申込を歓迎しないものです。


金融機関は一般に、リスク回避指向なので、取引のない企業からの突然の借入の申込に対しては、どうも警戒心があるようです。

 

ただし、今は「新型コロナウィルス感染症に係る資金繰り等相談窓口」を設けている金融機関もあります。

どうしても相談する先がない場合は相談してみてはいかがでしょうか。

 

(例)関西みらい銀行「新型コロナウィルス感染症に係る資金繰り等相談窓口」
https://www.kmfg.co.jp/news/kmfg_c/download_c/files/20200217_1f.pdf

 

(3) 福祉医療機構の無担保・無利子融資

医療・福祉関係の場合は、福祉医療機構からの融資も可能です。

 

新型コロナウイルスの感染症の影響を受けた福祉・医療関係施設に対する、無担保・無利子の融資を行っています。

 

●福祉医療機構

https://www.wam.go.jp/hp/fukui_shingatacorona/

 

(4) 固定費削減

資金調達と合わせて、固定費削減も検討したいところです。

固定費の中で特に大きいのは家賃でしょう。

 

国土交通省は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、飲食店等のテナントの賃料の支払いについて柔軟な措置の実施を検討するよう、不動産関連団体などに要請しています。

 

●国土交通省

http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000201.html

 

ただし家主さんも売上低下は痛手です。

国土交通省からの要請はあくまで要請であって、強制力はありません。

 

依頼するときは「この場所で営業を続けたい」という意思を誠意をもって伝え、依頼することが必要でしょう。

そして、できれば合意したことを書面で残しておくことができれば、より安心です。

 

他には、活用度の少ない定期会費や効果のよくわからない広告費等々も見直しをしたいところです。

 

企業によっては、保険料が多額である場合もあるでしょう。

 

保険会社については、解約するという選択肢以外に契約者貸付を受けることも可能です。

解約せずに契約者貸付を受けるメリットは保証を継続できる点です。

 

保険会社によっては保険料の払込の猶予措置もあるようです。
一度、相談してみられることをお勧めします。

 

(5) 社員の安全対策

資金確保と並行して、社員の安全の確保策も重要です。

 

・在宅勤務にする。
・事務所を二分割して、感染リスクを軽減し、事業継続する。
・思い切って、一定期間休業する。

 

などの方策が考えられます。

 

休業の場合は、雇用調整助成金も利用できます。

休業手当の9/10の補償が受けられるという制度です。

 

資金調達と社員の安全性確保ができたら、コロナ後に自社は何をするのか。

今から考えておきたいものです。

 

長期戦になるかもしれないけれど、いつかはコロナも収束します。

 

コロナ収束後は、元の社会に戻るのではなく、多くのことが変化していることでしょう。

 

・リモート・デジタルの進展。
・中小企業においても内部留保重視や計画的経営へのシフト。
・有事への対策強化
・人の価値観の変化

などなど。

 

先を見て、自社はどんな企業になっていたいのか。
社会の中でどんな存在になっていたいのか。

 

この先に希望はきっとあります。

 

困難な状況下で、物事にどのように向き合うか

 

理念策定のお仕事をさせていただいています。

 

「成果につながらない理念は意味がない」と考えているので、

社内での浸透を前提として、策定段階から、社員さん向けの勉強会などを

しながら策定を進めています。

 

以下は、理念策定のプロセスの一環として、社員さん向けに実施している

「成果につながる自立的思考と行動研修」で私がお話ししている

「私の充実体験」です。


私は、以前はメーカーに勤務して、マーケティングや営業企画などの

仕事をしていました。

 

たまに営業に同行する営業同行の機会があり、それが楽しかったので、

自分も営業の仕事をメインにしたいと思い、そのように申請しました。

 

ところが、もらった辞令に書かれた異動先は「情報システム部」。

 

「えっ?なんで…?」と思って尋ねると、

 

「情報システム部が社外向けのシステムを開発し、これから新規事業として

立ち上げる計画である。

 

ところが情報システム部にいるのは全員エンジニア。営業がいない。

なので、営業がしたいなら、異動してそのシステムの営業をするように」

とのこと。

 

「思っていた仕事とだいぶ違うなあ…」と思いつつ、

数十人の情報システム部の中で、たった一人の営業として業務を開始。

 

しかし、自分のスキル不足・経験不足・システムの不備や完成度不足

などの問題もあり、ちっとも売れない…。

 

そのうちに上司に言われたことが

「ぜんぜん売れないじゃないか。売れない営業は要らない。

ウチはシステムの部署なので、売ることができないなら、

システム開発をしてくれ。

 

えっ?システム開発なんて、したことがないって?

じゃあ本を買って勉強したらいい。必要な本は自分で買ってくれ」

とのこと。

 

「これは困ったことになった…」と思いつつ、ほかに選択肢もなく、

しかたなく勉強開始…。

 

そのうちに少しずつできるようになり、ちょうど会社が社外のシステム

受託に力を入れ始めたタイミングでもあったので、いろんな仕事を

させてもらいました。

 

某大手化粧品会社のシステム開発。某大手製薬会社のシステム開発。

某量販店のシステム開発などなど…。

 

その後、中小企業診断士の資格を取得し、会社を辞めて、

今はこんな仕事をして、皆さんにお会いすることができています。

 

システム開発を指示されたときには「これは大変なことになった!」

と思ったけれど、勉強して「今からでも、やればできる」という

感覚を持てたから、その後、中小企業診断士の勉強もやってみよう!

と思うことができました。

 

あの時に必死になって勉強し、仕事したことが今の自分につながっている。

だから、これが私の「充実体験」です。


こんなお話を社員さん向けにしています。

 

困難な状況下で、人がレジリエンスを失わないためには、

以下の3つが必要だそうです。

 

1.この状況がいつまでも続くわけではないという俯瞰の感覚・全体観を持つこと。
2.「自分はやり通せる」という楽観的な気持ちを持つこと。
3.どんな出来事にも何か意味があると思うこと。

 

今回の新型コロナの問題もずっと後になって「こういう意味があった」

と思えるようになる。

 

そう信じて、乗り切っていきましょう。

 

先に言えば「説明」。後で言えば「言い訳」

 

あるヘラ絞り加工業をされている方との会話です。


「このところ、バタバタで仕事が進まなくて、困ってるねん!!!」
「どうされたんですか?」

 

「マグカップを受注してんけど、ヘラ絞りだとどうしても内側にキズができるねん。

 ”家庭で使うもんやから、内側にキズがあると困る”って…。

 途中でシビアなことを言われて、”磨き屋と相談して”って言われて、磨き屋に相談に行ったり…。

 そんなこんなで予定していた加工が進まないねん!」

 

「それは大変ですね…」

 

「そもそも以前なら、大きい会社の仕事してたから、ロットも大きくて集中して加工もできたけど、

 今は多品種小ロット。問い合わせを受けたら、後加工の業者への指示も必要になるし…。

 付随作業が多くて、大変やねん!」

 

「今後はどうされますか?

 大ロットの仕事だけを受けるようにされますか?」

 

「いや…。小ロットのデザイナーさんとの仕事は楽しいから受けたいし…。

 でも、加工してみると、どうしても想定外のことは起きてしまうねん…」

 

「そうしたことをいろいろとご経験されてきたから、ノウハウが蓄積されてるんでしょうね」

「そうやねん!経験になるし、チャレンジは大事やねん!」

 

「そのノウハウを活かす方法って何か考えられませんか?」

「うーん…。今後は問い合わせを受けたときに、

 ”内側にキズができる可能性があります”って、事前説明しておくとか…?」

 

「いいですねー!!!キャッシュフローコーチ協会では、

 それを『先に言えば「説明」。後で言えば「言い訳」』って言っています!」

 

「ホンマやなあ!それ確かに言えてるなあ!

 …ということは、最初からホームページにも説明を入れておくとか…?」

 

「それもいいですね!!!他にできることは何かないでしょうか?」

「そうやなー。内側にキズがあってもいいなら、この金額でできます。

 キズが不可なら、この金額になりますって、逆提案したらどうやろ…?」

 

「見積の複数提案ですね。それ、めっちゃいいですね!!!」

 

結論としては

・多様な加工を経験してきたノウハウをホームページで開示する。
・問合せのときにも事前説明する。
・要求精度に応じた複数見積を提示する。

 

事前に、伝えることが大事だよね!という結論になりました。

価値を高めることは大事。そして、価値を伝えることもそれと同じくらい大事ですね。

 

なお、このヘラ絞り加工業さん。吉持製作所さんという企業さんです。

ヘラ絞り体験も受け付けておられます。


ご興味があれば問合せされてみてはいかがでしょうか。

https://yosimoti.com/

 

借入金の返済が進まない理由は 

 

しばらく前のお話です。

ある専門家と経営者の会話を横で聞いていて、モヤモヤっとしたことがありました。

 

どんな会話かというと、決算書を見ながら

「イイ感じにされていますねー」 って専門家の方が話されているんです。

 

その「イイ感じ」というのが何かというと、利益が少ない。

だから、税金をあまり払わなくていい。そういう意味らしいんです。

 

それをイイ感じというのか???

横で聞いていて正直モヤモヤっとしました。

 

皆さんは利益の額として、いくらくらいが理想的、あるいは適正とお考えでしょうか?

 

「銀行の手前、赤字は困るけれど、利益が多いと税金も多くなる。
 だから、ソコソコの適度な利益がよい」

 

そういう考えの方が多いように感じています。

 

これって、いくらの利益額にしたいか。その利益額の明確な基準がない。

もしくは税金だけの基準になっている。そういう状態です。

 

利益って、税金計算のためだけにあるのではありません。

利益はキャッシュの源泉です。

 

だから、今後どんな会社を目指すのか。
そのためにはいくらの投資が必要なのか。

 

あるいは借入金を減らしていくために、いくらの返済原資が必要なのか。

その中長期ビジョンがあって始めて、いくら利益を上げる必要があるのか。

必要な利益の金額を考えることができます。

 

税金基準だけで利益を考えているといつまで経っても借入の返済が進まない。

そんなことになりかねません。

 

あるいは、将来に向けて投資したい場合、銀行借入が必要という場合が多いでしょう。

借入を有利に進めるためには、やはり一定の自己資本比率も必要です。

 

自己資本比率を高めるには、利益を上げていく必要があります。

 

自社は今後どうしたいのか。
どんな会社を目指すのか。

 

ビジョンと数字は経営の両輪です。

 



「管理職1年目の教科書」


「管理職1年目の教科書」(櫻田毅)を読みました。
管理職の役割=「チームの成果の最大化」とした上で、

そのために必要な6つのルールについて解説した本。

 

6つのルールとは

 

1.迅速な意思決定のルール
2.ムダなく仕事を進めるルール
3.スピード感を生む時間活用のルール
4.成果につながる権限委譲のルール
5.高生産性人材を育成するルール
6.最強チームを構築するルール

 

の6点。見出しを読むだけでも有用と思うので、長いけど、

6カテゴリー全36のルールを以下にご紹介します。

 

1.迅速な意思決定のルール

ルール1 「慎重な人」という評価を放置するのをやめる
      …「決断のデッドライン」で決めることに慣れる

 

ルール2 情報量が多ければ正しい判断ができると考えるのをやめる
      …目的に立ち返り「決断の基準」を定義する

 

ルール3 「できることからやっていこう!」という安易な判断をやめる
      …「問題整理」を行い効果のあるアクションをとる

 

ルール4 「ここまでやったから」で続ける大損パターンをやめる
      …「コンコルド」の失敗と「インテル」の成功に学ぶ

 

ルール5 「そのうちに」という曖昧な約束をやめる
      …その場でスケジュール帳を開いて日時を確定させる

 

ルール6 場当たり的な決断をやめる
      …自分の「決断のスタイル」を持つ

2.ムダなく仕事を進めるルール

ルール7 締め切りが先の仕事は横に置くのをやめる
      …「ちょっとだけ」手をつけると仕事は格段に速くなる

 

ルール8 プレゼン資料を1ページ目から作るのをやめる
      …最初に「全体像のデッサン」を描く

 

ルール9 結論を出さない会議をやめる
      …「決める会議」をするための3つのルールを徹底する

 

ルール10 行動計画を決めない会議をやめる
      …メンバー自身の行動宣言で実行を確約させる

 

ルール11 時間差でフィードバックするのをやめる
      …リアルタイム・フィードバックがチームの成功を促す

 

ルール12 「とにかくやってみる」という熱意のカラ回りをやめる
      …「仮説・検証」のループで正解に早くたどり着く

 

ルール13 A4一枚にまとめるために縮小コピーする笑えない作業をやめる
      …ルールで縛るのではなく仕事の趣旨を理解させる

なお「決める会議」をするための3つのルールとは


① その会議の意思決定者が誰であるかを明確にしておくこと。
② 最終的に意思決定者が下した判断を出席者は受け入れること。
③ 決定内容は後から覆されることは絶対にないこと。

の3点とのこと。

 

「仕事の大小に関係なく、どのような仕事でも、その件に最終的に責任を持つ人がいるはずです。
その人が意思決定者です。

課長が主催する課内の会議であれば、当然、課長が意思決定者であるべきです。

 

会議の目的は合意形成ではありません。『決める』ことです。
より正確に言うと、出席者の声に耳を傾けることで、意志決定者ができるだけ正しい選択をすることです。
そこで『みんなの意見は聞くが、最終的に決めるのは自分である』ということを
常にチームの共通認識としておくことが大切です。」

3.スピード感を生む時間活用のルール

ルール14 「いた方がいいから」で会議に参加させるのをやめる
     …日本の会社にありがちな「あった方がいい病」を撲滅する

 

ルール15 返信を先送りするモラトリアム・メールをやめる
     …即断・即決・即返信でコミュニケーションの好循環を生む

 

ルール16 仕事を止める「ボトルネック上司」をやめる
     …「12時間ルール」で相手に仕事を渡しておく

 

ルール17 スキマ時間の活用=生産性向上という思い込みをやめる
     …「集中力の使い方」でチームを前に進める

 

ルール18 締め切り間際の「滑り込みセーフ」をやめる
     …「マイ・デッドライン」で仕事のペースを乱さない

 

ルール19 報告書は出張後に書く習慣をやめる
     …出張前に半分書いて論点整理を図る

4.成果につながる権限委譲のルール

ルール20 任せたら口を挟まないという育成目的の権限委譲をやめる
     …成果に向けて「正しい課題認識」をサポートする

 

ルール21 裁量権を与えることが権限委譲だと考えるのをやめる
     …「裁量権」と「判断基準」を同時に与えて権限委譲と呼ぶ

 

ルール22 仕事の質と時間はトレードオフの関係だという勘違いをやめる
     …質とは完成度ではなくニーズへの合致性だと定義する

 

ルール23 合理的な説明で上司を説得できると考えるのをやめる
     …上司の「得」を見抜いて健全に「上司をころがす」

 

ルール24 「個人的には反対なのだが」と部下の前で言うのをやめる
     …「これで行こう!」と戦闘モードで部下を鼓舞する

 

ルール25 「苦言を呈する部下は重宝される」と信じるのをやめる
     …上司から大切にされる唯一の基本原則を実践する

 

5.高生産性人材を育成するルール

ルール26 「グッジョブ!」とほめるだけの声掛けをやめる
     …成功体験から正しく学ぶための4ステップを知る

 

ルール27 本人任せの無責任な「失敗から学べ」をやめる
     …失敗体験から正しく学ぶための4ステップを知る

 

ルール28 「勉強になっただろ」で済ませる学習機会のはく奪をやめる
     …応用力をつけるために背後の思考過程を理解させる

 

ルール29 会社の評価だけに依存するのをやめる
     …成長スピードを加速させる自己評価の習慣を持つ

 

ルール30 できない部下に時間をかけるのをやめる
     …「上位人材」の頂点アップで成果を伸ばす

 

6.最強チームを構築するルール

ルール31 考えを「伝える」ことに執着するのをやめる
     …「伝わる」話し方で行動原則を示す

 

ルール32 仕事の目標だけを語るのをやめる
     …部下にチームの存在意義を語る

 

ルール33 すべてを自分で管理しようとするのをやめる
     …「心理的安全性」を職場に生み出す

 

ルール34 「部下の主体性がない」と嘆くのをやめる
     …「Yes/Noルール」で自分で考える機会を作る

 

ルール35 チーム内での役割を決めつけるのをやめる
     …「誰もがリーダー、誰もがサポーター」という最強のチームを作る

 

ルール36 忙しいことをアピールするのをやめる
     …「当たり前」のレベルを高めて涼しい顔で仕事をする

ルール31 「伝わる」話し方で行動原則を示す

なお、行動原則がメンバーに「伝わる」ためには、次の3点を心がけると効果的とのこと。

 

① 理由を伝える
② 個人のメリットを伝える
③ 日常業務の中で伝え続ける

 

そして、具体例として、著者のかつての上司の「迷ったときにはやる」という行動原則について
上司が以下のように伝えてくれていたことを説明されています。

① 理由を伝える

「我々は新しいことに取り組んでいる部である。
ビジネスチャンスを逃さないことが何より大切。
もし失敗しても、すぐに別の方法でやり直せばチャンスは続く。
しかし、やらなければ永遠にチャンスは来ない。
だから、迷ったときにはやるんだ」


この言葉は、部員にとって納得感も高く、

何より、失敗すること自体が責められることはないという

安心感を持つことができたそうです。

② 個人のメリットを伝える

「理想は、確信を持って、やるか、やらないかの判断ができることだ。
 もちろん、ビジネスでは本当にやるべきではないときもある。
 しかし、その判断を正しく行うためには『仕事のカン』を養うことが大切だ。
 『やらない』ことをいくら繰り返しても『仕事のカン』は磨かれない。
 やって失敗するから『仕事のカン』は磨かれる。
 自分が責任を受け持つ部の中で、思う存分『カン』を磨いてくれ」

 

この言葉を聞いたときは、ビジネスパーソンとしての成長の機会を与えてもらったようで、

とても嬉しかったそうです。

③ 日常業務の中で伝え続ける

上司は、日常業務の中でことあるごとに
「うーん、これは迷うな。
 でも、迷ったときにはやるんだ。よしやろう!」
と行動原則を聞こえるように口に出していたそうです。


そのうちに部下たちも「迷ったときはやろう!」と

お互いに声をかけ合うようになっていったそうです。

 

ルール32 部下にチームの存在意義を語る

チームの存在意義については、ケネディ元大統領のエピソードが紹介されています。

 

「かつて、ケネディ大統領がアメリカ航空宇宙局を訪問した際に
ホウキを担いだ清掃作業員に
『あなたは何をしているのですか』と尋ねたそうです。


その作業員はその問いに
『大統領、私は人間を月に送るお手伝いをしているのです』と答えたとのこと。

 

目的意識とは、自分たちが自分たちの存在よりも大きな何かに参加して
そこで自分が必要とされていること、
未来へ向けての何かに役立っているということ。

 

そういう感覚です。」

 

なお、ルール7はキャッシュフローコーチ用語で「今すぐ15分」、

ルール32はミッション、ルール33はAAP。

 

ルール15、ルール19もキャッシュフローコーチの共通認識です。


管理職ということに関わらず、ビジネスで成果を上げるための行動原則と捉えても、

役立つヒントが見つかる本と言えるでしょう。

 

「社員29人以下の会社を強くする50の習慣」

習慣は能力を凌駕する

 

「社員29人以下の会社を強くする50の習慣」(金村秀一 著)を読んで、

なるほどを思う所が多々あったので、ご紹介します。

 

見出しがそのまま「社員29人以下の会社を強くする50の習慣」となっています。

見出しを読んで、取り入れたいことを見つけるチェックリストとしても使えそうです。

 

第1章 会社の仕組みをつくる習慣
 01. 年間スケジュールを立てる
 02. すべての業務をマニュアル化する
 03. 組織図をつくり幹部を育てる
 04. 定期的に人事異動する
 05. 連続5日間の長期休暇をとる

 

第2章 社内の環境を整える習慣
 06. 働く環境を整える
 07. 社内環境を点検する
 08. モノの置き場所を決める
 09. モノを捨てる(タイムカプセル)
 10. 社内を明るくする(シェアじゃんけん)
 11. ツキイチ改善をする

 

第3章 社長の仕事の習慣
 12. 率先してITツールを使う
 13. 早く決断する
 14. 現場へ行って事実を目で聴く
 15. やらないことを決める
 16. 年に4回、銀行訪問する
 17. 小さな失敗を数多くする
 18. 社員満足度を調査する
 19. 人を信頼しても、仕事を信用しない

 

第4章 社員を教育する習慣
 20. 社内の価値観を合わせる(ベクトル勉強会)
 21. 朝礼でラインをそろえる
 22. 6か月の行動計画を立てる
 23. 関係者の前で所信表明をする
 24. 人で差別化をする
 25. 会社の歴史を教える

 

第5章 社員とコミュニケーションをとる習慣
 26. 小さな行いに感謝する
 27. 社員を褒めて期待する
 28. 定期的に社員と飲みに行く
 29. 報告を聴きに行く
 30. 毎月30分、社員面談をする
 31. 全社員で時と場所を共有する
 32. 朝一番に感謝する時間を確保する

 

第6章 会社の数字を管理する習慣
 33. 未来を予測するグラフを見る
 34. 社内にスコアボードをつくる
 35. ゲームから数字に強い社員を育てる
 36. お客様ごとのMQ会計図をつくる
 37. 経営計画書をつくる
 38. 5か年の中期計画を立てる

 

第7章 お客様を獲得する習慣
 39. 20秒の法人営業をする
 40. お客様をえこひいきする
 41. ライバル会社をチェックする
 42. お中元・お歳暮に行く
 43. お客様の声を集める

 

第8章 社長の日常の習慣
 44. メンターを持つ
 45. あらゆることを記録する
 46. 定期的に人と会う
 47. 妻と取締役会をする
 48. 毎年新しいことに挑戦する
 49. 資本の体をメンテナンスする
 50. はがきを書く

本書を読んで、なるほどと思ったことをいくつか抜粋してご紹介します。

05. 連続5日間の長期休暇をとる

社員が「連続5日間の長期休暇をとる」ことのメリットとして以下の3点をあげています。


1.ブラックボックス化している仕事が明るみになる
2.わがまま社員がいなくなる
3.組織力がアップする

なるほど。確かにそうですね。

 

13. 早く決断する

著者は「考えたからといって、成功の確率が上がることはありません。

成功の確率を大きく左右するのは、その経験が過去にあるかどうかです。」として

意思決定を早くするコツとして以下の3点をあげています。


意思決定を早くするコツ①「損をしてもいいと、覚悟を決める
意思決定を早くするコツ②「社長も人間、間違えることがある
意思決定を早くするコツ③「失敗は未来の時間の先どり

確かにそうです。長く考えたからといって、いい結論が出せるわけではありません。

実行してみて初めてわかることも多い。だから早く決断する方がいいのです。

 

17. 小さな失敗を数多くする

「『失敗しない=成功』ではありません。

 『挑戦しない=ジリ貧経営のはじまり』なのです。」

これも確かにそうです。

 

22. 6か月の行動計画を立てる

著者の会社では、年に2回、12月と6月に全社員が集まり、丸一日を使って、行動計画を立てるそうです。

行動計画とは、向こう6か月のアクションプランを社員自らが立案し、PDCAサイクルを実施していく

プログラムとのこと。そして、6か月の行動計画の以下の5ステップとのこと。

 

1.過去をふり返らずに最上の未来のゴールを描く
2.ゴールが達成された未来から見た現在の気にかかる部分を冷静に分析する
3.もし現状のまま変化することを怠った場合、どのような状態になってしまうかを想像する
4.先で困らないために変えるべきことを列挙する
5.ゴールに向かうためにどのような方法をとるのかを決定する

 

「ゴールが達成された未来の自分から今日の自分を見て反省する。

 これを反省の先どりという意味で「先省」と言います。

 これはとても有効な手段です。

 過去の自分をふり返ると、自分に欠けていたものや、やっておくべきことだったことなど、

 当時の自分に対してアドバイスすることができるはずです。

 同じように、ゴールにたどり着いた未来の自分になりきって、そこから今の自分自身を見ることで、

 自分に欠けているものや、力を注ぐべきものが見えてきます。」とのこと。

 

 

本書の扉には「習慣は能力を凌駕する」と書かれています。

たくさんの経営のヒントを見つけることができる良書です。

 

 

会社がなくなって一番、困る人は…?

ある会社の社長と専務の会話です。

「最近、スタッフのやる気が感じられないばかりか、私とスタッフとの間の溝が深まっているような気がするんだけど、何か感じることはないかな?」

「やっと気づいたんですか。みんな、社長に操られているみたいだ、と言っていますよ」
「私がやっていることは、会社のため。そして、それはみんなのためだよ」
社長はいつも、みんなのため、と言っていますが、本当はすべて会社の利益のため。つまり社長自身のためじゃないですか


「そうかもしれない。……しかしね、会社がなくなったら、困るのはみんなも同じじゃないか!」
一番困るのは、…社長でしょ


「そもそも、会社の業績が悪くても、きちんと給料を払っているんだから、感謝しながら働くのが当然じゃないのかな?」
「みんなの意識は、そうじゃありませんよ。わずかな給与で働いているばかりか、これだけ社長を立てているんだから、感謝してほしいと思っているんですよ」

 

上記は、「メンタリング・マネジメント-共感と信頼の人材育成術」(福島正伸著)からの引用です。

そして、著者がかつて社長として、専務と実際に交わした会話だそうです。

 

著者はこの会話をきっかけに、感謝することを見つけるように努力したそうです。

そうすると、感謝すべきことがいくつもあることに気づきました。

 

・朝、スタッフが会社に来てくれたら感謝
・電話を取ってくれたら感謝
・コピーを取ってくれたら感謝
・仕事を手伝ってくれたら感謝
・そもそも、こんな小さな会社で一緒に働いてくれるだけで感謝

 

毎日、感謝しながら仕事をしていると、ある日、一人のスタッフからこう言われたそうです。


社長、今日もみんなのためにがんばってくださって、ありがとうございます

 

本書には、こう書かれています。

 

 自分の周りにいる人は、自分の鏡である。

相手がそうしているのは、自分がそうしてきたから。
相手が本気にならないのは、自分が本気になっていないから。
怒らないとやらないのは、怒ってやらせてきたから。
周りが助けてくれないのは、自分が周りを助けてこなかったから。
部下が上司を信頼しないのは、上司が部下を信頼してこなかったから。

 

他人を変えたければ、自分を変えればよい。
人を育てたければ、自分が育つ姿を見せることである

 

 私ももっともっと感謝することを見つけてみようと思います。

 

経営方針は「一人一人が楽しい人生を送れる会社」

一人一人が楽しい人生を送れる会社

 
有限会社アバン様の経営計画発表会に出席させていただきました。

社長が発表された経営方針は「一人一人が楽しい人生を送れる会社」。

 

そして

・ミッションとは「自分たちが得意なことでの他者貢献」。
・ビジョンとは「自分たちが将来ありたい姿」。
・ビジョナリープランとは「 自分たちのなりたい将来像に向けてどう取り組むか」。
・行動指針とは「仕事をする上での判断と行動の基準を習慣化するためのもの。また、 有事のときの心のよりどころ」。
・利益とは「仲間を守るためのもの」。
・人件費とは「幸せを求めて働く仲間の労働の対価」。

 

社長はじめ幹部社員の方々が、 

・会社が何を目指しているのか。
・どんな価値観でその実現に取り組むのか。

について、ご自身の言葉でわかりやすく説明されていました。


素晴らしい発表会でした。

 

今後、目指す姿の実現に向けて、進んでいかれるのを応援していたいと思っています。

 

有限会社アバン

 

(藤川百合子社長が創業時のエピソードを交えて、経営理念をご説明されているところです)

 

「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」がもたらした変化は

「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」

 

「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」を読んだのが5年前。

 

この本を読んで、

「そうだ、こんな風に社長のビジョン実現を応援し、見届け、

 自分もさらに成長していくような仕事がしたいんだ」

と思った。

 

そして、ビジョン実現を応援し、見届けるためには、

ずっとつき合いたいと思える相手と仕事したいと考えた。

 

どんな人のために仕事したいか。3つの要件を考えた。

 

1.自責な人
2.チャレンジングな人
3.社員を信じ、社員とともに成長しようとする人

 

自責な人とは、「誰々が何々してくれないから、できない」ではなく、

自分自身がその状況の中で、どう行動し、事態を打開していくか考えられる人。

 

チャレンジングな人とは、結果はわからないにせよ、まずは行動してみようと思える人。

 

そして、社員を信じ、社員とともに成長しようとする人でなければ、社員はついてこない。

社員を大事にする人と仕事したい。

そんなことを考えた。

 

この本を読んだことで、誰と仕事したいか。どんな風に仕事したいか。

自分の軸が定まった。

 

自分にとって大きな変化だったと思う。

 

キャッシュフローコーチと税理士はどう違うのか?

意思決定

 

キャッシュフローコーチは、会社のお金の流れを見える化して、経営者が納得の意思決定ができるように手助けする仕事をしています。

 

会社のお金の流れを扱うせいか、たまに

「税理士さんとどう違うの?」

「会計士さんと何が違うの?」

と聞かれることがあります。

 

キャッシュフローコーチと税理士・会計事務所との違いを表にまとめました。

 

  税理士・会計事務所 キャッシュフローコーチ
活動のフィールド  税務会計(正しい納税をするための会計)   管理会計(納得の経営判断をするための会計
主にやること 決算書・試算書の作成と節税対策 社長の意思決定の支援と社内コミュニケーションの円滑化
フォーカスする点 過去の数字(決算書を正確に作り、税務申告するために必要) 社長のビジョンと未来の数字(見通しを立てるために必要)
必要なスキル 正確さ。会計・税務の知識 相手から意見を引き出し、質問で論点を整理するコミュニケーション能力 
使う資料 決算書・試算表・月別損益計算書 お金のブロックパズル・キャッシュフロー計画表

 

まず、税理士さん・会計事務所さんは、正しい決算書を作成するのがお仕事です。

そのために必要な数字は、正確な実績値です。

 

キャッシュフローコーチは、社長が納得の経営判断をするための手助けをすることが仕事です。

そのために、わかりやすくお金の流れを見える化して、見通しを示します。

必要な数字は未来の数字です。

 

使う資料も違っています。

 

税理士さん・会計事務所さんが作成する資料は、損益計算書や貸借対照表です。

損益計算書には、利益情報が記載されています。貸借対照表には、キャッシュの情報が記載されています。

 

つまり、損益計算書と貸借対照表で、情報が分断されています。

そのため、会社のお金の流れの全体像をイメージすることが難しいのです。

 

キャッシュフローコーチが作成する資料は「キャッシュフロー計画表」(1シート★マネープラン)です。

 

「キャッシュフロー計画表」(1シート★マネープラン)は、利益情報とキャッシュ情報を一枚のシートで表現します。

そのため、お金の流れの全体像の把握がしやすくなっています。

 

さらに、計画値に月別の実績値を上書きすることで、利益とキャッシュの着地見通しがざっくり確認できるようになっています。

 

利益とキャッシュの着地見通しを確認しながら、経営できるので安心感があります。

また、全体のバランス(売上、粗利、人件費負担、利益、資金繰り、借入依存度など)を考えた意思決定がしやすいのです。

 

ただし、キャッシュフローコーチが作成する「キャッシュフロー計画表」(1シート★マネープラン)は、税理士さん・会計事務所さんに作成いただいた試算表をもとに作成しています。

 

どちらがいい、悪いではなく、役割の違いだと考えています。

 

正確な決算と税務申告用に作成した資料そのままで、経営判断をしようとするから、やりにくいのです。

 

経営上の意志決定のためには、その目的に合った資料を使うことが必要ですね。

 

 

 

ミッションを言語化する意味は? 

 

仕事で、経営者の方のミッション策定に関わらせていただく機会があります。

その中で感じたことがいくつかあります。

 

その1つ目は、ミッションとは「自分たちが得意なことでの他者貢献」であること。

 

幸福の定義を「幸福=他者貢献」とすると、ミッションは「人の役に立つことをする」こと。

なので、ミッションの追求は幸福につながる。 

モチベーションアップにつながる。

 

「天気の子」っていう新海誠監督のアニメ映画をご覧になりましたか?

 

この映画には、ひなちゃんという祈ることで、雨を晴れに変える力を持つ女の子が登場します。

天気が良くなって喜ぶ人たちの笑顔を見て、ひなちゃんは

「この仕事で自分の役割みたいなものがやっと分かった!」と喜ぶのです。

 

これがミッションの発見です。
ミッションとは自分の存在意義です。

 

気づいたことの2つ目は、ミッションとドメイン(=事業領域)はつながっているということ。

 

事業内容を具体的に表現するとドメインになる。

抽象度を上げて、想いを込めるとミッションになる。

 

気づいたことの3つ目は、ミッションは、目の前の仕事に意味を与えるということ。

 

先日、ある金融機関の支店長とお話していたときのこと。

その方がおっしゃるには

 

「書類作成を仕事と思っている職員がいる。
 そうではなく、地域の中小企業の資金供給することで、

 その企業が機械設備を買えたり、支払いができたり、取引拡大できる。
 それが私たちの仕事であることを伝えたい」

 

目の前の作業が何の意味を持つのか、誰に対するどんな価値貢献につながるか。
これを表す言葉がミッションです。

 

この言語化ができると、仕事が単なる作業ではなくなり、仕事の意味が見出せます。

 

気づいたことの4つ目は、ミッション策定に関わるのは楽しいということ。

ミッション策定に関わることは、その人の生き様や価値観にふれる機会。
だから楽しい。

ミッション策定に関わる仕事をさせていただいていることに感謝しています。

 

経営幹部のサブスクリプション

経営幹部のサブスクリプション

 

コンサルタントは嫌いだけど…
名刺交換のときに、ある経営者の方から言われた言葉です。

 

「コンサルタントが嫌い」とわざわざ言うには、嫌いになる相応の経験や理由があるのでしょう。

 

日本では、アメリカに比べて、コンサルティングサービスの活用がされていないのだそうです。

理由は、いくつかありそうです。


① コンサルティングが無形のサービスであるために、利用前には、活用イメージが湧きにくい。

 コンサルティングが何をしてくれるのかイメージできない。

 

② サービス精神旺盛なお国柄、かつ、モノづくりに価値を見出すお国柄ゆえ、サービスは、

 本体に付随してくるオマケのイメージ。お金を払って利用しようという意識が乏しい。

 

③ 過去にコンサルを依頼して、マイナスのイメージをもった。

④ コンサル=悪徳業者という固定概念がある。

⑤ 組織は自立し、自走すべきである。コンサルなど外部依存はよろしくないという考え方である。


他にも理由があるかもしれません。

 

そして、私の場合は、自分の仕事は、世間でいうところの、いわゆる「コンサル」ではなく、

経営幹部のサブスクリプション」ではないかと考えています。

 

なぜなら、特定のコンテンツを提供するわけではなく、また、解決策を指導するわけでもないから。

 

「経営幹部」を「サブスクリプション方式」で提供する一サービス事業者。

必要な期間、利用して、事業の発展に役立ててもらえばいい。そんなイメージです。

 

特に中小企業の場合、すべての人材を内部人材(=雇用)でまかなおうとすると、

かえって高コストにつく場合があります。

 

必要に応じて、外部人材を活用する方がコスト的にも有利なのではないかと考えています。

 

また、第三者であって、社内の指揮命令系統に組み込まれていないからこそ、言えることもあります。

社外の専門家の立場で伝えた方が、客観的な情報として、社員さんに伝わりやすいこともあります。

 

そう考えると、すべて自前主義ではなくてもいいのではないでしょうか。

知的資産経営とキャッシュフローコーチング

パートナー型コンサルタント

1.パートナー型コンサルタントとは

私のコンサルティングにおける考え方のバックボーン。

それは、知的資産経営と、キャッシュフローコーチングです。

 

実は、知的資産経営とキャッシュフローコーチングには共通点があります。

 

それは、どちらも、答えを教える「先生型コンサルティング」ではなく、

問いかけて、考えを引き出すスタイルのコンサルティングであることです。

 

問いかけて、考えを引き出すスタイルのコンサルティング。

 

日本キャッシュフローコーチ協会代表理事の和仁達也先生は、

このスタイルのコンサルタントのことを「パートナー型コンサルタント」

という言葉で説明しています。

 

「コンサルタントには、答えを教える『先生型』コンサルタントと、

問いかけて、考えを引き出す『パートナー型』コンサルタントがいる。

 

そして、自分のスタイルが『先生型』であるか、『パートナー型』であるか、

どちらであるかは、経営者になんと言われているかでわかる。

 

『勉強になりました』と言われたら、それは『先生型』スタイルで

接しているということ。

 

『頭がすっきりして考えが整理できました』とか

『ワクワクして、やる気が出ました』と言われたら、

『パートナー型』で接しているということ」とのことです。

 

2.「パートナー型」はコンサルティングのOS

「先生型」か「パートナー型」かは、ツールや手法以前のその人のあり方の問題です。

 

だから、場面によって使い分けたり、上手に切り替えることは難しくて、

パソコンのOS(オペレーティングソフト)みたいなモノではないかと考えています。

 

その同じOSの上で、知的資産経営もキャッシュフローコーチングも併存して動かせる。

そんなイメージです。


なお、キャッシュフローコーチングの考え方は、以下の通りです。

 

・お金はビジョン実現の手段である。まずは、長期的に何を目指すのか、

 経営者が実現を目指すビジョンを明確にする。

 

・そして、そのビジョンを実現するために、お金がまわり続ける経営

 =キャッシュフロー経営を行う。

 

 (そのためのツールの一つが「お金のブロックパズル」です)

 

・漠然としたお金の流れを見える化することで、お金の不安から解放されて、

 本業に専念できる状態を作る。


正解を教えるスタイルではなく、質問を投げかけながら、経営者の考えを引き出し、

経営者のビジョン実現に向かう道筋を一緒に考える点が、知的資産経営と共通しています。

 

そして、見えないモノを可視化することで、全体像の把握や考えの整理につなげる点も

共通です。

 

その見えないモノが知的資産経営の場合、「会社の独自の強み」です。

キャッシュフローコーチングの場合、「会社のお金の流れ」です。

 

3.見えないモノの可視化によって、考えを引き出す

経営者と関わるスタンスも同じ、目指すところも同じ、

見えないモノの可視化によって、考えを引き出す点も同じ。

 

そして、知的資産経営は定性的なアプローチ。

キャッシュフローコーチングは定量的なアプローチ。

どこから、アプローチするかの違いです。

 

知的資産経営とキャッシュフローコーチングの親和性を強く意識したのは

知的資産経営の師匠である、森下勉先生の出版記念パーティでのことでした。

 

森下先生のクライアントがスピーチでこう話されたのです。

 

「森下先生とお話していると、頭がすっきりと整理されます。

 そして、ワクワクしてやる気が出てくるのです!」

 

まさしく、和仁先生の定義する「パートナー型コンサルタント」です。

 

知的資産経営とキャッシュフローコーチングは親和性が高く、補完性があります

 

両方の良さをうまく活用できるように、相乗効果を引き出せるように

日々、模索しています。

 

 

ミッションとビジョンの違いは…?

ミッションとビジョン

「ミッションとビジョンの違いがよくわからない」
そんなご質問をいただくことがあります。

 

改めて、ミッションとビジョンの定義を考えてみました。

 

ミッションとは「自分たちが得意なことでの他者貢献

という定義ではどうでしょうか。


それに対して、ビジョンとは「未来に何を実現していくのか」。

 

だから、ミッションを追求した結果として

「他者貢献できている」という将来像もビジョンだし、

 

そのときに

「自分たちはこうなっている。こんな成果を得ている」

それもビジョンには含まれる。そんなイメージです。

 

これで違いが伝わるでしょうか。

 

そして今、もう一つ気づきました。

「幸福とは他者貢献である」

 

その前提に立つと、自分たちが得意なことで他者貢献できるというのは、

幸福そのものです。

 

だから、ミッションがモチベーションの源泉になるのかもしれません。

 

※ 一年半前に書いた、ビジョンとミッションの説明です。↓

 

ビジョンとは。ミッションとは。バリューとは。経営理念とは。わかりやすく解説

https://vision-cash.com/keiei/vision-mission-values/

金融機関が経営ワークショップを主催する意味とは

 

先週は、但陽信用金庫様主催の「知的資産経営ワークショップ」に

ファシリテーターの一人として参加させていただいていました。


知的資産経営」とは、自社の無形の強みに着目して、今後目指す経営ビジョンを明確化し、

明確化したビジョン実現の取り組みを実践するための経営手法です。


その場に別の信用金庫の方が見学に来られていて、ワークショップ終了後、

感想を聞かせていただきました。


その方が特に印象深かったこととして、上げられていたのは以下の2点です。


(1) 企業から経営者だけでなく、社員も含めて複数名が参加している。
(2) 営業担当者が、経営者・社員と対話しながら、ワークを進めている。

(「なかなかできないことだと思う」とのことでした)


その感想をお聞きしたことを交えて、

金融機関が経営ワークショップを主催する意味」を考えてみました。

 

以下の6点の意味があるのではないかと考えています。


① 取引先企業の事業内容についての理解が深まる。
② 取引先企業の経営者・社員との関係性・信頼性が深まる。
③ 取引先企業と対話しながら、一緒に考えることで、職員のスキルアップを図ることができる。
④ 取引先企業との対話によって、職員のモチベーションアップを図ることができる
⑤ 事業性理解や企業との対話の仕方などについてノウハウが蓄積できる。
⑥ 独自の取り組みをしている金融機関という意味で、ブランディングできる。


この中で、見学に来られていた方がもっとも強調されていたのは

職員のモチベーションアップ効果」です。


「お客様に『ありがとう』と言われ、お役に立てた!と思えることほど

 モチベーションが上がることはない」

 

確かにその通りです。


新たな目線での感想をいただいたことで、改めて、意味を考えてみる、

いい機会をいただきました。

 

金融庁「金融行政の方針」は、経営理念重視と心理的安全性の確保

金融庁に、どんなイメージを持っていますか?

2か月ほど前に「老後2,000万円」問題で、注目された一件を覚えておられる方も多いかもしれません。

 

その金融庁から、本日、「金融行政の方針」が発表されました。

 

「金融行政の方針」なんて、難しそう…。

それに、自分には関係なさそう…。そんなふうに思われたかもしれません。

 

ただ、今回の方針はなかなか画期的なのです。

 

たとえば、掲げている方針の一つが「金融庁の改革」。

しかもその内容が「金融庁が、職員にとってやりがいを感じ、自身の成長を実感できる職場となる」です。

 

「メンバーがやりがいを感じ、自身の成長を実感できる職場づくり」。

これは、どんな組織であっても共通する、普遍的な課題ですよね。

 

これだけでも金融庁が少し身近に感じられます。

 

さらには、金融庁が監督指導すべき相手、つまり金融機関に対して求めることの一つがなんと

明確な経営理念」と顧客の「経営理念の理解」です。

 

「金融行政のこれまでの実践と今後の方針(令和元事務年度)について
「金融行政のこれまでの実践と今後の方針(令和元事務年度)について
(出典:「金融行政のこれまでの実践と今後の方針(令和元事務年度)について」 重点施策の概要 p.14-15)

 

「理念なき経済は犯罪、経済なき理念は寝言」という言葉があります。


いかに稼ぐか(=経営戦略)以前に、何を目的に事業運営するか(=経営理念)をまずは明確にしなさい。

顧客の経営理念についても理解しなさい、ということです。

 

その上で、金融庁と金融機関の関係としては「心理的安全性の確保による闊達な議論の促進」を掲げています。

なかなか斬新なのではないでしょうか。


なお「心理的安全性」とは、メンバーが何か言ったときに、叱られない、責められない、馬鹿にされないと思える、

安心して発言できる場の雰囲気のことを言います。


何か発言したら、責められる、叱られる、馬鹿にされると思ったら、誰も何も言いたくなくなりますよね。
そんな組織で前向きな提案が出されたり、建設的な議論ができるかというと、なかなか難しいでしょう。


心理的安全性は、組織が成果を出すための前提条件です。


日本キャッシュフローコーチ協会ではこれを「安心・安全・ポジティブな場づくり」、略して「AAP」と言っています。


自社は果たして、AAPな組織なのか。
もっとAAPにするためにはどんなことができるのか。


「金融行政の方針」をきっかけに自社についても考えてみてはいかがでしょうか。

「金融行政のこれまでの実践と今後の方針(令和元事務年度)について」重点施策の概要
https://www.fsa.go.jp/news/r1/190828_overview_the_policy_agenda.pdf

見積で損をする・・・?

 

先日、ある企業で「会社のお金の流れを知ろう!- 節約以外に貯金を増やす働き方とは?」というテーマで、社員研修を実施しました。

そのときに参加されていた社員さんから、こんな質問をいただきました。

 

「見積作成についての質問です。

 利益率を50%にしたいときに、原価の1.5倍を見積金額にするのではダメだと言われました。

 原価の金額を0.5で割るのだそうです。

 なぜそうなるのか、いくら考えてもよくわかりません。

 なぜなんでしょうか?」

 

というご質問でした。

 このご質問をお聞きして、思い出したことがあります。

 

数年前に、ある工務店さんの相談対応をしたときのことです。

社長の悩みは、思っていた利益確保ができないとのことでした。

 

いろいろお話を伺いましたが、施工時に工期が予定より長くなっているわけでもないそうです。

また、見積よりも材料を使い過ぎているということもないそうです。

 

「見積金額が安すぎるということはないでしょうか?」

とお尋ねすると

 

「必ず3割以上の利益を取るようにしている。

 でも、気がついたら、3割取れていない。

 なぜなのか、わからない」

とのお答えでした。

 

そこで、具体的にどんな手順で見積されているのかをお尋ねしたところ、

「原価が100なら、30の利益をのせて見積を書いている」

 

それを伺って、ピンと来ました。

 「それだったら、利益率30%にはならないですよね…」

 

社長は、納得されていないご様子。そこで、

 

利益30÷(原価100+利益30)=23%

 

と一緒に電卓を叩いてみて、念のため、決算書を確認したところ、売上総利益率がちょうど23%でした。

見積金額の手順に誤りがあったために、利益が残っていないことがわかりました。

 

確かに、直感的には、利益を30のせたらいいような気がしますよね。

実際には、30%の利益を確保するには、原価を原価率で割らないと見積金額の算出ができません。

 

原価100÷(100%-利益率30%)=見積金額143

利益43÷見積金額143=30%

 

上記の計算が正解です。

 

研修の社員さんの場合は、利益率を50%にされたいというお話でした。

こちらも直感的には、利益50をのせるので、原価の1.5倍にすればいいようにも思えますが、その計算では、利益率が33%になってしまいます。

 

原価100×1.5倍=見積金額150

利益50÷見積金額150×100=33%

 

原価を原価率50%(=0.5)で割ることで、利益率50%となる見積金額が算出できます。

 

原価100÷原価率50%=見積金額200

利益100÷見積金額200×100=50%

 

こういう計算を間違えないようにするには、ちょっとしたコツがあります。

それは、図を描いてみることです。 

見積で損をする

直感で正しそうであっても、図を描いてみて、本当にそうか確認して、見積で損をしないように気をつけたいですね。

中小企業診断士の試験のときに、損益分岐点売上を求める計算式を

 

固定費÷(1-変動費率)

 

と説明されて、さっぱり腑に落ちなかったけれど、これも同じ話です。

図にすると、なぜなのか一目瞭然です。

 

損益分岐点売上高

 

図で理解しておくと、ややこしい計算式を覚える必要もなくなりますね。

借入金は長く借りる方がいい?

借入金の月々の返済で資金繰りが厳しい

 

借入されていますか?
借入の期間をどのように決めていますか?

 

以前に、ある会社が借入されたいとのことで、金融機関をご紹介したことがありました。

その会社はつなぎ資金の借入をご希望だったのですが、金融機関側からの提案は長期資金でした。

 

理由は「稟議書を書く手間は短期も長期も変わらないので、できれば長期で借りてください」とのこと。

完全に金融機関側の都合ですよね…。

 

長く借りる方が借り手にとっても有利という考え方もあります。

 

借入時には、借入金額や金利、返済期日、返済回数などを取り決めます。

取り決めた返済期限以前に返済を要求されることはありません。(これを「期限の利益」といいます)

 

企業経営においては必ずしもすべてが計画通りにいくわけではなく不測の事態も起こり得ます。

ところが、資金不足がわかったときにタイミングよく借入ができるとは限りません。

 

だから、長く借りておく方が資金が安定するというのが長期で借りる派の意見です。

 

金融庁は今、逆の立場を取っているようです。

 

どういうことかというと、

1年以内の短期の借入では、返済期限までは返済不要です。(手形貸付などです)

反対に1年を超える長期の借入の場合は、毎月の返済が必要になります。 (証書貸付という融資方法です)

 

仕入などの運転資金の場合、事業を続ける以上、資金が不要になることはありません。

それなのに、月々返済していたのでは返済負担で逆に資金繰りが厳しくなってしまう。

 

なので、運転資金の場合は、月々の返済が不要な短期資金で貸し出しし、

返済期日には企業の状況を確認した上で新たに短期資金を貸し出す方が本業支援につながるという考え方です。

 

問題は、そのように自社の事業内容を理解し、資金支援をしてくれる金融機関を見つけられるかどうかですね。

 

かつてない低金利ですが、金利のみにとらわれるのではなく、

自社を理解し、支援してくれる金融機関を選ぶという発想も必要ですね。

「教える」という行為の意味は?

 

先日、大阪府中小企業診断協会で「セミナー講師養成講座 6日間完全マスターコース」という講座のうちの1日の講師を担当しました。

そこでお伝えしたことの一つが「教える」という行為の意味です。

 

こんな経験はありませんか?

 

社員や部下に教えたことが全然、相手に伝わっていなくて、あるいは相手が覚えていなくて、腹立たしく思ったことが。

 

これは実は当たり前の話です。

 

「学習のピラミッド」という理論があります。

これは、より能動的な学び方の方が学びが定着するという理論です。

 

もっとも学びが定着しないのが「講義を聞く」ことで定着度はわずか5%。
もっとも学びが定着するのが「他者に学んだことを教える」ことで、定着度は90%です。

 

教えた自分は覚えているのに、相手は覚えていないというのは、人間の心理通りのもっともな話なのです。

 

ではどうするか?

 

相手に教えさせればいいのです。

学んだことを発表させると最初から伝えておく。

 

そうすると聞くときの真剣味も増すでしょう。

では、この理論をどう活用するか?


たとえば、マニュアル作成に活用できます。

後輩や部下には口頭で教え、後輩や部下にメモさせて、マニュアルを作ってもらい、内容を発表させるのです。

 

マニュアル作成と教育が同時にできます。

作成したマニュアル内容を発表してもらうことで、相手の理解度の確認もできます。

 

上司や先輩は通常、さまざまな業務で忙しいものです。

忙しいあなたがマニュアルを作成する必要はないのです。

 

また、教えるというのは、「自己有能感を満たす」行為でもあります。

自己有能感は、自己重要感、自己好感とともに「自尊心の3大欲求」の一つです。

 

平たくいうと、教えて喜ばれることで、自分は役に立つと感じられ、自尊心が満たされるということです。

 

教える機会を用意することで、後輩や部下のモチベーションアップの機会にすることもできます。

 

逆に、自分が教えるときは、「自己有能感を満たしたい」がための教え方になっていないか。
相手のレベル感を考えずに、自分の知っていることを何でも伝えてしまっていないか。

客観視することも必要ですね。

 

社員の理解度が低い?

 

社員に何かを伝えたときに理解度が低いと感じることはありますか?

 

先日、ある会社で、お金のブロックパズルを使っての社員研修をさせていただきました。

基礎知識から活用までを含めた一日6時間のコース。受講くださったのは、20~30代の若手社員の方々です。

 

研修ポイントは以下の3点。

 

1. 会社のお金の流れを知ることで、自分の仕事の仕方によって、会社の利益が増減することを知る。
2. 経営数字を使って、業務上の判断を行う方法を学ぶ。
3. 会社の利益を増やすには、どのような着眼点があるか。具体的にどのような方法があるかを学ぶ。

 

研修のゴールは、会社の利益を増やすために考え、行動できる社員になることです。

 

研修後、参加された社員さんに感想をお聞きしたところ

・自分の給与がどこから出ているかがわかった。
・仕事を通して得てきた断片的な知識が整理されて、全体像が理解できた。
・会社の利益を増やすために自分が何をすればいいかがわかった。

 

など意欲的に受講していただいたことがうかがえる言葉が返ってきました。

 

社員さんたちの研修の感想をお聞きして、再確認できたことの一つ。

それは、社員さんたちにとって、理解しやすく、腑に落ちやすいように物事を伝えるためのポイントです。

 

具体的には

・やり方だけでなく、やる意味も同時に伝えること。
・経営ビジョンと数字と日々の業務のつながりがイメージできるように伝えること。

の2点です。

 

社員さんに物事を伝えても理解度が低い…と感じる場合には

 

・やる意味も同時に伝えているか。
・経営ビジョンと日々の業務とのつながりを伝えているか。

について確認してみてください。

 

今よりもさらに社員さんの理解度が上がるはずです。

 

小さな約束を守る

お客様に叱られたことはありますか?

 

私は以前、顧客に定期訪問したときに、その会社の社長に
「今月の請求書来ていないよ」
と言われたことがあります。

 

「叱られた…」というほどの話ではないかもしれませんが、私はその言葉を
「あ、叱られたんだな」と受けとめました。

 

きっと私の方には、請求書発行が遅れて困るのは自分の方であって、お客様ではないという自分勝手な理屈や甘えがあったのだと思います。でも、先方には期日通りに請求書が届かず、支払処理ができないというご迷惑をおかけしていたようです。

 

そのときに「同じことを二度言われないようにしよう」と思い、それ以来、請求書を毎月同日に発行するようにしています。

 

本当に些細なことではあります。ただ、大きな約束は誰でも守ります。

 

でも、ちょっとした約束、些細な約束については必ずしも守っていないということも多いのではないでしょうか。

 

たとえば、約束の時間にほんのちょっと遅れるとか。
「何日に送ります」という期日に少しだけ遅れるとか。
借りた小銭を返すのをついつい忘れるとか。(笑)

 

また、お客様との約束は守るけど、立場が下の人との約束、それもちょっとした約束については必ずしも守っていないということもあるのではないでしょうか?

 

小さな約束を守ること。大事にしたいと思っています。

 

 

「1アクション3ゴール」の3つの利点とは

 

私の所属する日本キャッシュフローコーチ協会では、いくつかの考え方や価値観が共有されています。

その一つに「1アクション3ゴール」があります。

 

これが何かというと、何か1つのことをするときに種類の異なる複数のゴール設定をしておくという考え方です。

 

そして、これをすると、何がいいかというと、1つのことをするだけで、複数(たとえば3つなど)のゴールを達成できるということです。

 

さらに実践してみて気づいた利点が2つあります。

 

1つ目は、「仕方なくする」という受け身の姿勢がなくなるということです。行動の前には必ずゴール設定をするので、なんとなく、仕方なく、といった受け身の姿勢がなくなります。

 

いつも前向きな姿勢で物事に取り組めるようになります。

 

2つ目は、さまざまな角度から考える習慣が身につき、物事を多面的に見られるようになります。種類の異なる複数のゴール設定をするには、さまざまな角度から物事を考える必要があります。

 

必然的に複数の視点で、物事を捉える習慣が身につきます

 

「1アクション3ゴール」、ぜひ試してみてください。

 

1アクション3ゴール

経営者保証ガイドラインとは?

 

経営者のみなさん。借入について個人保証をされていますか?

先日、「経営者保証ガイドライン」についてのセミナーに参加しました。

 

「経営者保証ガイドライン」とは、会社のお金と社長のお金がきっちり区分されているような場合には、経営者の個人保証を不要にすることなどを取り決めたものです。

 

そのセミナーで聞いて、びっくりしたのが、企業アンケート結果の以下の数字です。

「経営者保証ガイドラインが始まった後に個人保証を提供したことがありますか?」との問いに対して

 

 ある 37.7% ・ ない 62.3%

 

だったというのです。

 

個人保証を提供したことがない企業が6割にまでなっているんですね。

このガイドラインでは、以下の場合には、金融機関は経営者保証を求めないことを検討できるとしています。

 

① 法人と経営者の資産・経理が明確に分離されていること

 

【具体例】
・法人の事業活動に必要な本社・工場・営業車などの資産については、法人所有とする。
・資産の明確な区分が困難な場合は、法人が経営者に適切な賃借料を支払う。

 

② 法人と経営者の間の資金のやりとりが、社会通念上適切な範囲を超えないこと

 

【具体例】
・事業上の必要が認められない法人から経営者への貸付は行わない。
・個人として消費した飲食代などの費用を法人の経費処理とはしない。

 

③ 法人のみの資産・収益力で借入返済が可能と判断しうること

 

【具体例】
・業績が堅調で十分な利益とキャッシュフローを確保しており、内部留保も十分である。
・業況が下振れするリスクを勘案しても、内部留保が潤沢で、借入金全額の返済が可能と判断できる。
・好業績が相応の合理性をもって維持可能と判断でき、今後も借入を順調に返済できるだけの利益とキャッシュフローを確保できる可能性が高い。

 

④ 法人から適時適切な財務情報等が提供されていること

 

【具体例】
・法人事業概況説明書、別表、科目明細書を含む決算書類が的確に開示されている。
・資金繰表、試算表、資金調達確認資料等、金融機関の求めに応じて適時的確に提出されている。

 

⑤ 経営者等から十分な物的担保の提供があること

 

 

金融機関には、新規融資時や既存保証の契約更改時に、経営者保証ガイドラインを説明し、適用を求めるかどうかを確認する、ガイドライン上の義務があります。

 

個人保証を負担に感じている場合には、取引先の金融機関に個人保証を外せないかどうか、一度、相談されてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

成果を上げるチームの共通点とは

 

毎日のように「働き方改革」や「労働生産性」というキーワードを新聞などで目にします。残業規制も検討されているようです。残業を抑制しながら、どうやって売上を上げていけばいいのか、頭を悩ませている企業も多いことでしょう。

 

インターネット検索で有名なアメリカのグーグルという会社は、日本よりも早く、2012年に「生産性向上」のテーマに取り組みました。

 

グーグル社では、業務ごとにチームがあり、チームによって業績が異なりました。成果を上げているチームは成果を上げつづけ、成果を出せないチームは成果を出せないままでした。

 

その差は何によって生じているのでしょうか?グーグル社は成果を上げたチームに共通する特徴を分析しました。

 

その結果、わかったことは、生産性の高いチームに共通する要素とは、チームワークでも行動基準でもなく、なんと「心理的安全性」だったのです。

 

心理的安全性」とは、非難されたり批判されたりせずに発言や行動ができると個々人が感じられる状態を言います。

 

成果を上げているチームでは、メンバーの間に配慮や共感があり、「心理的安全性」が確保されていました。それによって、各メンバーは躊躇せずに質問や新しいアイデアの提案ができ、それがチームの成果を生み出していたのです。

 

チームの「心理的安全性」を確保するには、メンバー全員の関わりが必要ですが、まず重要なのは、リーダーのあり方です。

 

さて、最近、そのリーダーのあり方についての本を読みましたので、ご紹介します。

 

困った部下が最高の戦力に化ける すごい共感マネジメント - 売上を伸ばしているリーダーが実践している最強チームの作り方」(中田 仁之著)という本です。

 

この本によると、「真のチーム=強い組織」になるために、リーダーがとるべき姿勢と手順とは以下の5つだそうです。

1. 感謝を伝える

大切な人にきちんと言葉で感謝を伝えること。

 

2. 可能性を信じる

大切な人の可能性を最後まで信じ、相手の自信をあなたが育ててあげること。

 

3. 誤った行為を叱る

叱る時は人格を否定せず、誤った行いを短い言葉で叱ること。

 

4. 感情を共有する

恥ずかしがらず、喜怒哀楽を一緒に表現すること。

 

5. チーム心を養う

チームのためには自分には何ができるのか? を全員が自問自答できる雰囲気を作ること。

 

感謝を伝える、可能性を信じることは、心理的安全性の確保にもつながりますね。

 

困った部下が最高の戦力に化ける すごい共感マネジメント - 売上を伸ばしているリーダーが実践している最強チームの作り方」(中田 仁之著)

 

<目次>

序章

真のリーダーを目指すあなたへ

人を育てるということ

強い組織を作る共感力

 

STEP 0 強い組織を作るリーダーとしての心構え

STEP 1 感謝を伝える

STEP 2 可能性を信じる

STEP 3 誤った行為を叱る

STEP 4 感情を共有する

STEP 5 チーム心を養う

なぜ知的資産経営が業績向上につながるのか

 

企業が成長し、業績を向上させていくためには、自社の強みを活かした経営戦略・事業計画が必要です。

経営戦略・事業計画の立て方にはいろいろな手法がありますが、その中でも「知的資産経営」は有効な経営戦略立案手法です。

 

「知的資産」と聞くと、知的財産権を連想されるかもしれませんが、「知的資産」は知的財産ではなく、自社の独自の強みのことを言います。知的資産経営とは、自社の独自の強みを活かす経営の手法です。

 

この知的資産経営があまり多くの方に知られていないことを、私はとてももったいないことだと感じています。というのは、これまで「知的資産経営」に取り組んだ企業が「取り組んでよかった」と喜んでおられるからです。

 

経営者の方からは
・ウチの会社のことが改めて整理できた。
・今後の方向性ややるべきことが明確になった。
といった感想をお聞きしています。

 

社員の方々からは
・会社の良さが改めてわかった。
・今まで気づいていなかったことが理解できた。
・会社が目指していることがわかって一緒にがんばろうという気になれた。
といった感想をお聞きしています。

 

知的資産経営は、取り組んだらすぐに売上が上がるかというと、そういう即効的なテクニックではありません。
ですけれども、継続して取り組むことでいろんな効果があり、会社がだんだんよくなってくる、漢方薬のような経営手法です。

 

ですので、できるだけ多くの企業に知っていただいて、企業成長や業績向上のヒントを見つけていただきたいと考えて、以下のサイトで詳しく紹介しています。

ものづくり補助金のこれまでの経緯まとめ

来年度の「ものづくり補助金」はどうなるか?

8月31日に経済産業省から「平成29年度経済産業政策の重点、概算要求・税制改正要望について」が発表されました。

 

その中の「平成29年度 中小企業関係概算要求等の概要」に”革新的ものづくり・商業・サービス開発の際の設備導入を補助”という文言があります。

 

来年も「ものづくり補助金」が実施される可能性は高いようです。来年度、この補助金の活用を考えるに際して、ものづくり補助金のこれまでの経緯を少しまとめてみました。


ものづくり補助金とは

革新的なサービス開発、試作品開発、生産プロセス改善などに取り組む中小企業の設備投資などに対する補助金です。

●補助率2/3

●実施期間内に実施した事業に対して、領収書などの証拠書類をもとに補助金の支払いが行われる。(後払い)

即効性のある景気活性化策として、2013年度以降、補正予算で実施されています。  

● 2013年度

平成24年度補正「ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金」が公募されました。補助上限額 1,000万円、10,516社の企業が採択されました。採択率43.9%でした。この時は設備投資なしの試作品開発も可能な補助金でした。

 

平成24年度補正 「ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金」(予算額1,007億円)

  公募開始日 公募締切日 申請数 採択数 採択率 採択結果発表日 交付申請提出期限 事業完了期限
1次公募(1次締切) 2013/3/15 2013/3/25 1,836 742 40.4% 2013/4/30  2013/6/14  2014/5/31
1次公募(2次締切) 2013/3/15 2013/4/15 10,209 4,162 40.8% 2013/5/31 2013/8/7 2014/5/31
2次公募 2013/6/10 2013/7/10 11,926 5,612 47.1% 2016/8/30 2013/10/25 2014/8/15
合計 23,971 10,516 43.9%      

● 2014年度

平成25年度補正「中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新補助金」という名称に変更になり、「ものづくり技術」の他に「革新的サービス」という類型が新設され、製造業だけでなく、サービス業や卸・小売業なども申請できる補助金になりました。

 

「ものづくり技術」、「革新的サービス」のそれぞれに成長分野型、一般型、小規模事業者型のコースが設けられ、補助上限額は、成長分野型 1,500万円、一般型 1,000万円、小規模事業者型 700万円でした。

 

成長分野型と一般型では、設備投資が必須となり、設備投資による景気促進策としての位置づけが強化されました。 また、安倍首相の要請として、賃上げを実施している(または計画している)企業に加点措置が取られるようになり、国の施策との整合性が強調されるようになりました。

 

14,431社の企業が採択され、採択率39.1%でした。

 

平成25年度補正 「中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新補助金」(予算額1,400億円)

  公募開始日 公募締切日 申請数 採択数 採択率 採択結果発表日 交付申請提出期限 事業完了期限
1次公募(1次締切) 2014/2/17 2014/3/14 7,396 2,916 39.4% 2014/4/28  2014/6/30 2015/4/30
1次公募(2次締切) 2014/2/17 2014/5/14 15,019 6,697 44.6% 2014/6/27 2014/8/29 2015/6/30
2次公募 2014/7/1 2014/8/11 14,502 4,818 33.2% 2014/9/29  2014/11/28 2015/9/30
合計 36,917 14,431 39.1%      

● 2015年度

平成26年度補正 「ものづくり・商業・サービス革新補助金」という名称になりました。

 

「ものづくり技術」、「革新的サービス」、「共同設備投資」の3類型となり、「革新的サービス」はさらにその中で、一般型、コンパクト型と分けられ、コンパクト型のみ設備投資不可、後の類型はすべて設備投資必須でした。

 

補助上限額は、「ものづくり技術」1,000万円、「革新的サービス(一般型)」1,000万円、「革新的サービス(コンパクト型)」500万円、「共同設備投資」5,000万円。

 

1次公募の1次締切は廃止されました。13,134社の企業が採択され、採択率43.1%でした。

 

平成26年度補正 「ものづくり・商業・サービス革新補助金」(予算額1,020億円)

  公募開始日 公募締切日 申請数 採択数 採択率 採択結果発表日 交付申請提出期限 事業完了期限
1次公募 2015/2/13 2015/5/8 17,128 7,253 42.3% 2015/6/19 2015/8/31 2016/6/30
2次公募 2015/6/25 2015/8/5 13,350 5,881 44.1% 2015/9/30  2015/11/27 2016/9/15
合計 30,478 13,134 43.1%      

● 2016年度

平成26年度補正 「ものづくり・商業・サービス革新補助金」という名称になりました。

 

補助上限額は、一般型 1,000万円、小規模型 500万円、高度生産性向上型(IoTを用いた設備投資、または、最新モデルを用いた設備投資)3,000万円。すべて、設備投資が必要になりました。設備投資前提の補助金になったせいか、これまで約1年間であった事業期間が約半年に短縮化されました。

 

また、小規模事業者が「小規模型」を申請したときに加点措置が取られるようになりました。

 

年初には公募は一回のみとのアナウンスでしたが、予算が若干残ったとのことで、2次公募が実施されました(高度生産性向上型除く)。2次公募では、経営力向上計画認定事業者への加点措置が追加されました。

 

平成27年度補正 「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」(予算額1,020.5億円)

  公募開始日 公募締切日 申請数 採択数 採択率 採択結果発表日 交付申請提出期限 事業完了期限
1次公募 2016/2/13 2016/4/13 24,011 7,729 32.2% 2015/6/19 2016/6/30 2016/12/31
2次公募  2016/7/8  2016/8/24           2016/12/31
合計             

では、平成29年度、どうなるかですが、「革新的ものづくり・商業・サービス開発の際の設備導入を補助」という文言から考えると
●「ものづくり技術」「革新的サービス」の2つの類型はそのまま
● 設備投資必須
ということはいえそうです。

 

また、平成28年度の2次募集で追加された、経営力向上計画認定事業者への加点措置も継続になる可能性が高いでしょう。

 

現時点では、まだ、どのような内容かはわかりませんが、ものづくり補助金の申請を考えている場合は、まずは、経営力向上計画の認定を取っておいた方がよさそうです。

 

0 コメント

起こりうる不確実な将来に対して、主体的な行動を促す ー シナリオプランニング

 

仕事で取り組んでいるテーマの一つに、知的資産経営という経営手法があります。

 

知的資産とは、企業(組織)が経験を通じて独自に獲得したノウハウなどの無形の資産(独自の強み)です。企業(組織)が自社の知的資産を自覚的に活用・強化することで、経営品質を向上させるというのが知的資産経営の基本的な考え方です。

 

ところが、企業(組織)を取り巻く環境は必ず変化していきます。今の強みが将来にわたって、ずっと強みであり続けるとは限りません。模倣されて陳腐化する可能性もありますし、技術革新や業界構造の変化によって、強みが無効化されてしまう可能性もあります。

 

知的資産経営では、過去から現在にかけて、自社の知的資産が顧客から選ばれることにどのように作用してきたか(価値連鎖)をまず明らかにし、次に将来の環境変化を考えて、将来的にはどのように価値創造していきたいか、そのためにはどのように知的資産を活用、強化、育成、獲得していくかを考えます。

 

この知的資産経営のフレームワークは非常に汎用性が高く、企業の業種、規模を問わず活用できるものです。

 

私の場合、仕事のテーマが知的資産経営ずばりの時だけでなく、ビジョン策定であっても、事業計画策定であっても、ISO9001構築であっても、マーケティング戦略であっても、知的資産の視点を必ず入れるようにしています。

 

さて、その知的資産経営で、将来の環境変化を考えるフェーズがあります。

 

  

企業に知的資産経営を導入する場合、最初の自社の知的資産を洗い出すフェーズは、自社のことなので、考えていただきやすいのですが、外部環境変化分析はふだんあまり意識したことがないという方も多く、スムーズに進まないことが多いです。

 

多くの場合、すでに顕在化している環境変化の洗い出しに留まり、事後対応的な対策立案になりがちです。(それでも、明示的にそのような分析をされていなかった企業にとっては、十分に有用なフェーズになりうるのですが…)

 

この外部環境分析のフェーズで使える、もっといいやり方があれば…と考えていたところ、「シナリオプランニング」という手法に出会い、最近は、外部環境分析に「シナリオプランニング」の視点を取り入れています。

 

シナリオプランニング」が有用だと感じる点は、”将来の不確実性に焦点を当てる”点です。 それまで行っていた外部環境分析では、発生確率と影響度のマトリクスで整理するか、緊急度と影響度のマトリクスで整理するパターンがほとんどでした。

 

その方法では、発生確率が低い事象や緊急度が低い事象については、対策が後回しにされがちで、発生事象対応型の対策になりがちであったように思います。

 

シナリオプランニング」では将来の不確実性に焦点を当てて考えますので、結果的に、”起こりうる不確実な将来に対して、主体的な行動を促す”ツールとなりうる点が特に有用と感じています。

 

現在、ある組織の「10年後を見据えた事業計画策定」という仕事のテーマがあり、この「シナリオプランニング」の考え方を全面的に取り入れて、進めています。

 

参加メンバーからは

取り組むうちに、将来どうなるかという予測の問題ではなく、自分たちが将来どうしていきたいかという主体的な問題であることに気づいた」

「どのような将来であっても必ず取り組みが必要な課題が見えた」

 

などのご意見をいただいており、長期的な計画立案が必要な組織にとっては有効な方法論であると改めて感じています。

 

0 コメント

経営力向上計画(製造業指針)

2016年7月1日から、中小企業等経営強化法にもとづく「経営力向上計画」の認定が開始されています。「経営力向上計画」については、事業分野別に指針が発表されています。

 

7月7日時点で発表されている事業分野別指針は、製造業、卸・小売業、外食・中食、旅館業、医療、保育、介護、障害福祉、貨物自動車運送業、船舶、自動車整備の11種類です。このうち、製造業の指針の内容を整理してみました。

 

1 計画期間

 3年~5年間とする。

2 経営指標

イ.労働生産性 ロ.売上高経常利益率 ハ.付加価値額

各経営指標の目標値としては、以下が定められています。

経営指標 3年間の計画の場合 4年間の計画の場合 5年間の計画の場合
イ.労働生産性 3年後までの目標伸び率が1%以上 4年後までの目標伸び率が1.5%以上 5年後までの目標伸び率が2%以上
ロ.売上高経常利益率 3年後までの目標伸び率が3%以上 4年後までの目標伸び率が   4%以上 5年後までの目標伸び率が5%以上
ハ.付加価値額 3年後までの目標伸び率が1%以上 4年後までの目標伸び率が1.5%以上 5年後までの目標伸び率が2%以上
  • 労働生産性=(営業利益+人件費+減価償却費)÷ 労働者数
    または
    労働生産性=(営業利益+人件費+減価償却費)÷(労働者数×一人当たり年間就業時間)
  • 経常利益=営業利益ー資金調達に係る営業外の費用(支払利息、新株発行費等)
    (有価証券売却益、賃料収入等など、本業と関連性の低い営業外の収益は含まない)
  • 付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
製造業における課題としては、以下の3点が上げられています。
  1. 製品及び製造工程に関する課題
  2. 標準化、知的財産権等に関する課題
  3. 営業活動に関する課題

課題認識を受けての経営力向上の内容に関する具体的事項は、下表のとおりです。(企業規模に応じて実施することが求められています)

項目  具体的事項 目的 必要な取り組み事項 考慮すべき事項

従業員等に関する事項

(1)多能工化及び機械の多台持ちの推進

 

製品一単位を製造するために必要な設備費及び人件費の低減

 

多能工化及び機械の多台持ちを目的として、従業員等に必要な教育を行う  製造ラインの機器や附属センサーからデータを取得し、分析、活用することで稼働状況等を把握

(2)継続的な改善提案の奨励

製品一単位を製造するために必要な設備費及び人件費の継続的な低減 従業員等から製品の製造工程に係る改善提案を受けつける   
 ロ
製品及び製造工程に関する事項
(1)実際原価の把握とこれを踏まえた値付けの実行 製品ごとの利益の確実な獲得 製品ごとに実際原価を把握し、値付けに反映する  
(2)製品の設計、開発、製造及び販売の各工程を通じた費用の管理 製品ごとの利益を確実に獲得  製品ごとに、製造、設計、開発、販売その他の工程における収支計画を作成し、設計及び開発段階での過剰な資本投下、販売工程における過剰な値引等を抑制  

標準化、知的財産権等に関する事項
(1)異なる製品間の部品や原材料等の共通化 部品、原材料等の一単位当たりの費用の低減 各製品を構成する部品、原材料等の素材、長さ、幅等を精査し、類似の部品については共通化して、部品、原材料等の種類を絞り込みを行う  
(2)暗黙知の形式知化 製品一単位を製造するために必要な費用を低減 暗黙知を有する従業員から暗黙知となっている工程設計に関する技能・知見を聴き取り(または自らが文章等に整理)することで、工程設計に関する技能・知見を業務標準として形式知化し、他の従業員に共有する  
(3)知的財産権等の保護の強化   取引先等との秘密保持契約、特許の活用、自社の強みとなる技術、技能及び知見の性質に応じた防衛策を講じる  

営業活動に関する事項
(1)営業活動から得られた顧客の要望等の製品企画、設計、開発等への反映 製品の販売価格の向上及び販売量の増加 新たな製品の開発や既存の製品の改良に当たっては、自社の強みとなる技術を基礎として、営業活動から得られた顧客の要望、販売後の製品の使用状況に関するデータその他の情報を踏まえ、顧客にとってより付加価値の高い製品とする IoT、ビッグデータ、AI等の新たな技術を用いて、販売後の製品の使用状況に関するデータを取得することで、
・製品の最適な使用方法の提案
・機器の故障可能性を予測した適切な部品交換時期の提案
・その他のサービス提供
(2)海外の顧客に対応できる営業・販売体制の構築 展示会における商機を着実に商談につなげ成約する 英語その他の外国語を用いたウェブサイトの開設、英語その他の外国語を用いた電話受付の体制の整備、海外への配送体制の構築等を行う  
(3)他の事業者と連携した製造体制の構築による受注機会の増大 受注機会の増大・機器、設備等の繁閑差の平準化により、当該機器、設備等の稼働率の向上 高度な加工を行うことができる設備、試験設備等の複数の事業者による共同での導入、設計、開発、製造等の各種の工程に係る情報の事業者間での共有その他の他の事業者と連携した製造体制を構築し、自社だけでは対応できない顧客の要望に対応  

設備投資並びにロボット及びITの導入等に関する事項
(1)設備投資 製造工程の自動化、加工精度の向上、リードタイムの短縮、多能工化及び多台持ちの推進並びに部品及び原材料の共通化等 高度な加工等を行うことができる設備や3次元データによる設計、図面の作成及び製造を可能とするソフトウェアその他のデジタル設計ツールへの投資  
(2)ロボットの導入または増設  労働投入量の低減、または製品及びサービスの量・質の向上 人が行う業務の代替・支援、または既存設備を代替する等のためのロボットを導し、または増設する  
(3)ITの導入等 業務全体に係る費用の低減。または製品及びこれに付随したサービスの付加価値向上 受発注、販売、製造、顧客、勤怠または会計に係る業務の標準化。製造、営業または販売に係る暗黙知の形式知化を目的としたソフトウェアの導入、機器若しくは当該機器に附属するセンサーから得られるデータの活用又は当該データを活用するための人材の育成のための投資を行う。 不正なアクセス等による情報漏洩対策等を講じる
(4)設備投資等が製品の品質及び製品1単位当たりの製造費用に大きな影響を及ぼす分野に関する留意事項     最新の技術、競合企業の設備導入状況等を踏まえつつ、積極的に行う

省エネルギーの推進に関する事項
  コスト削減及び生産性向上の観点からエネルギー効率を高める エネルギー使用量の把握、設備の稼働時間の調整及び最適な管理の実施、省エネルギー設備の導入、エネルギー管理体制の構築等を省エネルギー診断の活用等  

企業規模については、下表をご参照ください。

規模 経営力向上の内容に関する具体的事項
 小規模(常時使用する従業員の数が20人未満)  イ(1)からニ(3)までに掲げる事項のうち1項目以上
注) 右記に加え、ホ(1)からヘまでに掲げる事項のうち1項目以上にも取り組むことを推奨する。
中規模(常時使用する従業員の数が20人以上300人未満) イ(1)からニ(3)までに掲げる事項のうち2項目以上
ホ(1)からヘまでに掲げる事項のうち1項目以上
合計3項目以上
中堅(常時使用する従業員の数が300人以上2000人以下) イ(1)からニ(3)までに掲げる事項のうち3項目以上
ホ(1)からヘまでに掲げる事項のうち2項目以上
合計5項目以上

経営力向上計画とは

国の施策を活用しよう

経営力向上計画

2016年7月1日に「中小企業等経営強化法」が施行されました。この法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けると、固定資産税が3年間半額になります。

 

認定後の支援策は、当面は、固定資産税の減免措置がメインのようですが、今後拡充される可能性もあります。

 

「経営力向上計画」は、「経営革新計画」よりも作成がはるかに容易です。

 

今まで国の施策を活用していなかった企業にも取り組みやすい制度であると言えます。

 

 


中小企業等経営強化法

中小企業等経営強化法の狙いは、今まで新しい取り組みをあまり行っていなかった企業のレベルの底上げを図ることです。ですので、「経営力向上計画」申請書は比較的容易に作成できる内容のもので、郵送での申請が可能、かつ形式チェックのみで認定を受けることができます。

 

経営力向上計画

「経営力向上計画」の認定を受けるには、労働生産性を5年で2%改善などの計画を記載する必要があります。


取り組む指標については、製造、卸・小売、外食・中食、旅館、医療、保育、介護、貨物自動車運送、船舶産業、自動車整備の10分野では分野別の指針が公表されているので、指針に基づいた指標とする必要があります。

 

また、固定資産税の減免を受ける機械設備の条件としては以下があります。

 

● 2016年7月1日以降に取得した160万円以上の機械設備を対象とする。
● 機械設備の取得日から60日以内に経営力向上計画が受理される必要がある。(郵送の場合は消印日を受付日とする)
● 新製品モデルの証明書を添付する必要がある。

 

「経営力向上計画」の認定に」基づく固定資産税減免措置は、2019年3月末までです。

 

(2016年年末までに認定を受けると、3年間の減免、年明けになると2年間の減免となります)

 

なお「経営力向上計画」の認定時に設備を特定する必要はありません。認定後、設備が決定した時点で、変更手続きをすることで減免措置を受けることは可能です。

生産性向上設備投資促進税制

2年前に導入された、生産性向上設備投資促進税制では、適用を受けると以下の税制優遇措置を受けることができます。(H29年3月末まで)

・特別償却50%(建物・構築物は25%)

 または
・税額控除 4%(建物・構築物は2%)

 

「経営力向上計画」の認定による固定資産減免との併用はもちろん可能です。


知的資産経営はソリューションフォーカスな経営手法である


知的資産経営はソリューションフォーカスな経営手法であると思う。


solution-focused-management

 

ソリューションフォーカスとは、解決の糸口はすでにあるとの視点で問題解決を行うアプローチ手法です。

 

ソリューションフォーカス・アプローチでは、できている点・うまくいっている点にスポットを当てて、できている点・うまくいっている点を継続・拡大することで、解決に向かうという考え方をします。

 

組織の問題や人間関係の問題の場合、問題にフォーカスして解決方法を考えても、必ずしも問題をストレートに解決する方法があるとは限りません。

 

また、問題を解決する方法があったとしても現実的でなかったり、当事者にとって実施するのが難しかったりします。

 

すでにできている点・うまくいっている点を継続・拡大するという考え方では、当事者にとって、すでにそのやり方がわかっているので、なおかつ、効果があることがわかっているので、うまくいく確率が高いのです。

 

知的資産経営では、「できていること」「うまくいっていること」は何かをプロジェクトメンバー全員で考えます。

 

問題にフォーカスするのではなく、「できていること」「うまくいっていること」に焦点を当てることで、心理的に前向きになれることも大きなメリットです。

 

知的資産経営に取り組むことで、「意見を言ってもいいんだ」と従業員が思うようになり、ふだんの活動でも意見が出やすくなる効果も期待できます。

 

「よくできたところを探す」ことで業績向上を図る経営手法。まさしく、ソリューションフォーカスな経営手法です。

 

特に組織のベクトルを合わせて、組織活性化と業績向上を図りたい企業にお勧めです。



統合報告書でビジョンを明確にする

今回は統合報告書のお話です。統合報告書とは何でしょうか。

一言でいうと、財務情報と非財務情報を統合した報告書で、将来の価値創造プロセスを示したものです。

株式会社には、決算公告の義務があります。また上場企業などでは、金融商品取引法に定める有価証券報告書の提出義務があります。これらは、投資家に対して、投資判断に必要な情報を提供することを目的としています。

一方で、決算書が示している内容は過去の事実に過ぎないため、決算書だけでは、企業の今後の戦略や成長性の判断が十分にはできないという問題点があります。

また、多くの企業が有価証券報告書などの財務情報とは別に、CSR報告書や環境報告書を作成しています。分野別に複数の報告書が存在している状況では、その企業の全体像がかえって見えにくいという問題点もあります。

こうした背景から、財務情報と非財務情報の両方を統合した統合報告書が注目されるようになっています。

統合報告書の記載事項のうち、非財務情報の中核をなす部分が、知的資産を含む経営資源をいかに活用して将来の価値創造を行っていくかという中長期的な経営戦略です。

将来の価値創造のためには、財務資本や知的資産などの経営資源が必要になりますし、将来の価値創造の結果が将来の財務情報になるわけですから、両者は密接に関連し合っています。

知的資産経営報告書でも、知的資産をいかに活用して価値創造するかについてのストーリーを描いていきますが、多くの場合、財務情報は記載されないことが多いです。

知的資産経営に取り組む目的はさまざまですから、必ず財務情報が必須とは言えませんが、経営戦略立案が目的の場合は、財務情報まで含めて考えることが望ましいと考えています。

数値化しないことには、目標を定量的にマネジメントできないですし、企業における数値のもっとも重要なものの一つはやはり財務情報であるからです。

さて、この統合報告書、今のところ、大企業中心に導入が進められています。(報告書の主な目的が投資家への情報開示なので、当然でもあります)

ですが、自社の方向性や経営戦略を明確化し、開示する相手は投資家だけとは限りません。

将来の価値創造の実現に向けて、従業員も含めた関係者に自社の考え方とこれから進む道を明らかにするという活用方法もあるのではないかと思っています。

今回、堺市でプラスチック製品製造をされている有限会社藤川樹脂様が統合報告書を作成され、その支援をさせていただきました。

「思ったカタチがすぐ目の前に」をキーワードに、プラスチック製品の試作から量産まで一貫して取り組むことで、顧客提供価値を高めようとされている、社長の想いが伝わる報告書になったのではないかと思っています。

有限会社藤川樹脂ホームページ
http://fujikawa-jushi.co.jp/

有限会社藤川樹脂 統合報告書 2014年「小さな町工場の挑戦。」
http://fujikawa-jushi.co.jp/wp-content/uploads/fujikawa2014.pdf


藤川樹脂統合報告書2014

統合報告書で示された経営ビジョンをぜひ実現していただきたいです。


サポインとものづくり補助金

戦略的基盤技術高度化支援事業、いわゆるサポイン(サポートインダストリー)事業とものづくり補助金のお話。

サポインは、ものづくり補助金と比較すると知名度が低いけれど、平成18年度からの継続事業。

国の指定の「特定ものづくり基盤技術」の向上につながる研究開発から、試作までの取り組みを支援するもので、事業期間は最長3年。

補助額上限は9,750万円。(初年度4,500万円、2年度目は初年度額の2/3、3年度は初年度額の半額)

平成25年度予算額は 107.8億円。平成26年度予算額で 126億円。

そして、肝心なこと。平成25年度までは、国費100%の委託事業であったものが、今年度(平成26年度)から補助率2/3の補助事業に変更されています。

今年度からのもう一つの大きな変更は、「特定ものづくり基盤技術」が今年2月に見直され、22分野から11分野に変更されたことです。

制度変更の影響のせいか、今年度は申請件数が減少。予算額増もあり、採択率が上昇しました。

● 平成25年度は、653件の申請に対して、112件の採択(採択率17%)。
● 平成26年度は、387件の申請に対して、150件の採択(採択率39%)。

こうした事業のスタートや制度の変更時は、申請者が少ないことが多いから、狙い目ではないでしょうか。

「興味はあるけど、今は忙しいから…」ということをお聞きすることがあります。補助金に振り回されるのがよくないのは確かにそうですが、チャンスはいつでもあるとは限りません。ここぞという時の瞬発力、集中力も大事だと思います。

なお、ある調査によると、サポイン事業の事業化成功率は27%にとどまるとのこと。一番の課題は資金力。

資金力が弱いことが、補完研究と事業化のために必要十分な体制を構築できないことにつながっているとのことです。次いで、技術力、マーケティング力、マネジメント力。

国費を投じたせっかくの研究成果を無駄にしないためには、事業化につなげるための支援も必要なのではないでしょうか。(あるいは、事業化の早めの見極めの支援など)

なお、比較のために、平成25年度から実施されている、ものづくり補助金はどんな規模かというと、平成25年度予算額 1,007億円。平成26年度予算額 1,400億円

サポインとは、予算額の桁が違います。(ものづくり補助金は、「補正」とつくところからもわかるように、もともとが継続事業の前提ではなく、単年度事業の位置づけなのだと思う)

こちらの補助上限額は、1,000万円。(平成26年度は、特定分野は1,500万円)。

● 平成25年度は、23,971件の申請に対して、10,516件の採択(採択率44%)。
● 平成26年度は、36,917件の申請に対して、14,431件の採択(採択率39%)。

2年間で、60,888社からの応募があり、24,947社を採択したことになります。(実際には、再チャレンジ可だから、会社数はもう少し少ないでしょう)

来年度(平成27年度)もこの補助金は継続されると発表されています。採択率が下がっているのは、応募数増加が主要因。

応募レベルも上がっているようなので、チャレンジする場合は早めの準備をされることをお勧めします。(平成28年度にこの事業が存続しているかどうかはかなり疑問)

(なお、ものづくり補助金の正式名称は、
平成25年度:「平成24年度補正 ものづくり中小企業・小規模事業者 試作開発等支援補助金」、
平成26年度:「平成25年度補正 中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業(ものづくり、商業・サービス)」という長ーい名称となっています)

 


なぜ残業するのか

あなたの会社では、残業は多いですか。残業はしかたのないものですか。して当然のものですか。そもそも、なぜ残業するのでしょうか。

第一義には、定時に仕事が終わらないためと考えられますが、それ以外にも、
定時で帰ると、真面目に仕事をしていないとか、暇だと思われる。
周りが席を立っていないのに、先に帰るのは気が引ける。

など心理的な要因もあるのではないでしょうか。

内閣府が2013年9月に実施した「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」の調査結果に、興味深い数字があります。一日の労働時間と、上司が「残業している人」をどう評価するかという認識には相関関係があるというものです。

一日に12時間以上働く人は、上司は「残業している人」を
がんばっている人
責任感が強い人
と評価すると考えています。

一方で、一日の労働時間が10時間未満の人は、上司は「残業している人」を
がんばっているけど、仕事が遅い人
と評価すると考えているようです。

【上司が「残業している人」をどう評価するかというイメージ】

上司からの評価イメージ

時間はコストです。同じ成果であれば、短時間の方が価値が高いはずですが、「長時間=がんばっている」という上司の認識や職場風土がある限り、短時間に成果を出すことを評価する組織にはなりえず、組織全体の価値向上の取り組みが進まないのではないでしょうか。

【価値の公式】 価値=成果÷コスト

同じ調査で、「残業削減に効果的だと思う取り組みは何か」との設問に対するトップ3の回答は
・計画的な残業禁止日の設定
・上司からの声かけ
・短時間で質の高い仕事をすることを評価する

ですが、このうち「短時間で質の高い仕事をすることを評価する」については、実際の職場での取り組みが4.2%という低い数字に留まっています。

【残業削減に効果的だと思う取り組みは何か。実際に行われていると感じるか】

残業削減に効果的だと思う取り組み

「短時間で質の高い仕事をすることを評価する」ためには、成果の質を判断できることが上司に求められます。

 

定量的に実績把握ができるような職務内容の場合は評価もしやすいですが、部下によって職務内容が大きく異なり、一律な評価が難しいような場合は、上司に識別眼や評価力も必要となります。時間の長短で評価するのは上司にとってはやりやすいという事情もあるのだろうと思います。

ですが、「短時間で質の高い仕事をすることを評価する」組織への転換は、ワークライフバランスの観点からだけ必要なのではなく、企業の競争力の向上という観点からも重要なことと考えます。

周囲に気を使って長時間労働をせざるを得ない企業は、顧客や市場ではなく、社内により関心を集中させている内向きの企業ではないかと感じます。みなさんはどう思われますでしょうか。

 

出典:「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」結果速報
http://wwwa.cao.go.jp/wlb/research/wlb_h2511/follow-up.pdf


出店前に立地特性を把握する方法

飲食店や小売店など実店舗を出店するにあたって、気になるのは立地特性です。いったん出店してしまうと、不利な立地ということがわかっても、費用面を考えると、店舗の移転はしにくいものです。

出店前に立地特性を把握するためには、実際に現地を訪れることが一番ですが、多くの候補地に足を運ぶには、時間や労力がかかります。

 

今回は、出店前に立地特性を把握することができるツールをご紹介します。そのツールとは、中之島図書館が提供する「市場情報評価ナビ MieNa(ミーナ)」です。

2013年9月から、中之島図書館で開催する「ビジネス 起業・開業・経営相談会」の経営相談員を務めさせていただくことになり、司書の方からミーナのことを教えていただきました。

 

さっそく使ってみました。MieNa(Marketing information evaluate Navi)のメニューには以下の項目があります。

 

都道府県トレンドWATCH
県内全市区町村の経済水準評価
特定市区町村の経済水準評価
町丁別マーケット評価(商圏分析レポート)
中華人民共和国データ

 

今回、使用してみたのは、「町丁別マーケット評価(商圏分析レポート)」です。分析を希望する町名を選択すると、周囲500m圏、周囲1km圏、周囲3km圏の3種類のレポート結果が表示されます。

 

レポートを選択すると

マーケットプロフィール
マーケット水準評価
マーケット特性評価
マーケット購買力評価

等の情報が表示されます。

町丁別マーケット評価(商圏分析レポート)
町丁別マーケット評価(商圏分析レポート)例

 

ある店舗の例で、現在の立地と移転を検討している立地のレポートを比較したところ、マーケットプロフィールには大きな相違があることがわかりました。

 

出店後、こんなはずではなかったと後悔することのないように、出店前の立地調査は万全を期したいものです。「市場情報評価ナビ MieNa(ミーナ)」は、立地調査の強力なツールとして使えると感じました。出店や新規事業所開設を検討されている方に活用をお勧めしたいと思います。

 

※情報提供エリアは、近畿二府四県(大阪府、京都府、滋賀県、兵庫県、奈良県、和歌山県、三重県)とのことです。

 

※中之島図書館「ビジネス 起業・開業・経営相談会」

http://www.library.pref.osaka.jp/nakato/event/shindanshi_2013.html

 


平成25年度において注目を集めた3つの補助金

平成25年度において注目を集めた以下の3つの補助金について、採択件数や採択率をまとめました。 
ものづくり補助金(ものづくり中小企業・小規模事業者 試作開発等支援補助金)
小規模事業者活性化補助金
創業補助金(地域需要創造型等起業・創業促進補助金)

採択率は、ものづくり補助金が44%、小規模事業者活性化補助金が51%、創業補助金が77%です。創業補助金の採択率の高さが目立っています。

 

【補助金別採択件数・採択率】

事業名 申請件数 採択件数 採択率 予算 採択予定件数 補助率 補助金上限
ものづくり補助金(ものづくり中小企業・小規模事業者 試作開発等支援補助金) 23,971 10,516 44% 1,007億円 10,000社 2/3 1,000万円
小規模事業者活性化補助金 2,965 1,518 51% 30億円 1,500社 2/3 200万円
創業補助金(地域需要創造型等起業・創業促進補助金) 3,181 2,459 77% 200億円   2/3 200~700万円
 (地域需要創造型起業・創業)   1,954       2/3 200万円
 (第二創業)   195       2/3 500万円
 (海外需要獲得型起業・創業)   310       2/3 700万円

 

ただし、創業補助金の状況を公募期間別に見ると、申請件数の増加に伴い、採択率も低下していっているようです。(第1回募集の第一次締切では、87%の採択率でしたが、第2回募集の第二次締切の採択率は 75%となっています)

 

【創業補助金 公募期間別 採択件数・採択率】  ※ 類型別の数字は採択件数

  申請件数 採択件数 採択率 地域需要創造型起業・創業 第二創業 海外需要獲得型起業・創業 公募期間
第1回募集(第一次締切) 15 13 87% 12 1 0 H25/3/22~4/1
第1回募集(第二次締切) 634 526 83% 411 53 62 H25/4/2~4/22
第2回募集(第一次締切) 230 196 85% 184 12 0 H25/5/22~6/7
第2回募集(第二次締切) 2,302 1,724 75% 1,347 129 248 H25/5/22~6/28
第3回募集(第一次締切)             H25/9/19~10/21
第3回募集(第二次締切)             H25/9/19~12/24
合計 3,181 2,459 77% 1,954 195 310  


 

創業補助金には以下の3つの類型があります
地域需要創造型起業・創業
第二創業
海外需要獲得型起業・創業

類型ごとに補助金の上限額が異なるので、創業補助金の採用予定件数については、はっきりとはわかりませんが、仮に、創業補助金の一件あたりの平均補助金額を400万円とすれば、5,000件の採択が可能ということになります。第2回募集までの採択件数が 2,459件ですので、これから、2,500件ほどが採択されるものと思われます。


平成25年3月23日以降に個人での開業や会社等の設立を行った方
平成26年9月30日までに個人での開業や会社等の設立を行う予定の方

は創業補助金に応募できる可能性があります。


 第3回の創業補助金の公募は、9月19日に開始されています。応募をお考えの場合は、早めの申請書作成をお勧めいたします。

第3回創業補助金の公募については、以下の中小企業基盤整備機構サイトにてご確認ください。
http://www.smrj.go.jp/utility/offer/075939.html

 

(なお、ものづくり補助金、小規模事業者活性化補助金は、予算額に達したことから、申請受付は終了となっています)

 


補助金を利用するときに覚えておいてほしいこと

経済活性化のために、さまざまな補助金制度が創設されています。補助金制度は、すぐれた事業構想や技術を持ちながら、資金的な制約のために事業化が困難な企業を資金面で支援することで、早期に事業化を促進し、関連産業や雇用促進などの波及効果を期待するものです。

 

企業の側にとっても、補助金制度はありがたい存在です。ただ、利用に際しては、注意するべきことがあります。

 

一つには、補助事業完了後も事業化状況報告を求められる場合があるということです。たとえば、「平成24年度補正予算 創業補助金」や「平成25年度 小規模事業者活性化補助金」では、補助対象事業が完了した後も、5年間は、事業化状況報告を行うことが義務づけられています

 

また、事業の実施によって収益が発生した場合に、収益の納付を義務づけている場合もあります。これを「収益納付」と言います。(ただし、多額の収益を計上した場合でも、納付金額が補助金額を超えることはありません。補助金額が納付の上限額となります)

 

「平成24年度補正予算 創業補助金」、「平成25年度 小規模事業者活性化補助金」、「平成24年度補正 ものづくり補助金」のいずれでも、収益が得られた場合には、交付した補助金の額を上限として収益の一部を納付することを義務づけています。

 

補助金は、税金で賄われている事業であるので、適正な運用のために、補助金適正化法が定められています。同法では、補助金等の交付の条件として収益納付を含めることができること(第7条)、補助事業等の遂行の状況報告を行う必要があること(第12条)などが定められています。

 

参考までに、前出の3つの補助金について、公募要領における記載箇所を下記に引用しますので、ご確認ください。

 

平成24年度補正 ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金

「本事業の実施に伴い、収益が発生した場合、補助金額を上限として収益納付いただくことがございますので、あらかじめご了承ください。」

 

平成25年度 小規模事業者活性化補助金
「⑥ 事業化状況報告
補助事業完了後5年間、補助事業の事業化等の状況について事業化状況報告書を作成し、報告を行うとともに、補助事業に関係する調査に協力をしなければなりません。

⑦ 収益納付
事業化状況の報告において、補助事業の成果の事業化、産業財産権等の譲渡又は実施権の設定その他補助事業の成果を他に供与したことにより、収益が得られたと認められる場合には、交付した補助金の額を上限として収益の一部を納付しなければなりません。」

 

平成24年度補正予算 創業補助金(地域需要創造型等起業・創業促進事業)
「(3)事業化状況報告
補助対象事業完了後、5年間、当該事業についての事業化状況を事務局へ報告して頂きます。

(4)収益状況報告
補助対象事業完了後、5年間、補助対象事業に対する収益状況を示す資料を作成して頂きます。資料にて一定以上の収益が認められた場合には、事務局に報告して頂き、精査の結果、交付した補助金の額を上限として収益の一部を納付していただきます。」

  


宿泊料をもらって人を泊めるには

宿泊料をもらって人を泊めるには、旅館業法にもとづく営業許可を受ける必要があります。そのための条件として、旅館業法施行令で細かな構造基準が定められていますので、注意が必要です。

● まずは部屋数です。ホテルの場合は、客室が10室以上、旅館の場合は、客室が5室以上で、客室の半数以上を畳の部屋とすることなどが条件となっています。

● 民宿やゲストハウスは、「簡易宿所」の営業許可を受ける必要があります。簡易宿所営業の施設の構造設備の基準は、客室の延床面積が、33平方メートル以上、適当な数のトイレ、洗面設備を用意することなどです。

(適当な数とは、トイレの場合、5人で2個、10人で3個、15人で4個、20人で5個。洗面所の数は5人に1個)

それ以外にも、都道府県(保健所を設置する市や特別区の場合は、市や区)が条例で定める構造設備の基準に適合することも求められます。

学校や公園等から100メートル以内の地域は、「善良の風俗を保持すべき地域」とされており、地域の条例で細かな基準が規定されている場合があります。

たとえば、大阪市の場合は、外装に彩度2を超える色は使用不可となっています。

民宿やゲストハウスとして改装後に、営業許可を受けようとすると、再度の改装が必要になる場合があるので、ぜひ事前に地域の申請先に相談されることをお勧めします



【参考】「大阪市旅館業の施設の構造設備の基準に関する条例施行規則」

(善良の風俗を保持すべき地域における施設の外観及び外部の広告物の構造設備の基準)
第4 条 条例第6条第7号エの色に係る市規則で定める基準は、次に掲げる色を使用しないこととする。ただし、各立面の面積のうちに当該色を使用する部分の面積の合計の占める割合が20 分の1以下である場合は、この限りでない。

(1) マンセル表色系で赤(R)系の色相の色のうち、彩度6を超える色又は彩度3を

   超え、かつ、明度4を超える色
(2) マンセル表色系で黄赤(YR)系又は黄(Y)系の色相で、彩度4を超える色
(3) マンセル表色系で前2号に掲げる色相以外の色相で、彩度2を超える色
(4) 金色

※ 大阪市サイト↓
http://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000008075.html

 


中小企業経営力強化支援法が施行されます

2012年6月21日に成立した「中小企業経営力強化支援法」が本日(2012年8月30日)、施行されました。

 

本法は、中小企業に対して専門性の高い支援を行うための支援ネットワークの構築を主要な目的としています。

 

具体的には、中小企業診断士や商工会議所だけでなく、金融機関や税理士、公認会計士、弁護士などの専門家のうち、基準を満たす法人や個人を国が経営支援機関として認定し、中小の事業者に活用してもらうことで、実効性の高い経営計画が策定され、経営改善につながる効果が期待されています。

 

本法について、説明会で聞いた内容をご紹介します。

 

< 背 景 >

本法制定の背景は以下の3点です。

1.中小企業の経営課題の多様化・複雑化

2.リレーション・バンキングが培ってきたノウハウの活用

3.金融円滑化法の終了(2013年3月)

 

< 狙 い >

中小企業の経営課題が多様化、複雑化する中で、金融円滑化法の終了が予定されています。そうした中で、金融機関を説得できる水準の経営計画書を策定できる支援者のネットワークを構築することが本法の主な狙いのようです。

 

< 具体的には >

中小企業の支援事業の担い手を多様化、活性化させるために、支援機関の認定を行い、中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制整備を行います。

 

< 認定基準 >

認定支援機関になることができるのは、下記3点のすべてを満たす法人、または個人です。

 

1.能力要件:

 税務、金融及び企業財務に関する専門的な能力(知識)があること

2.実務要件:

 経営分析、指導、助言の実務経験があること

3.体制要件:

 継続的に支援業務ができる実施体制があること

 

各認定基準の詳細は、下記のとおりです。

 

1.能力要件:税務、金融及び企業財務に関する専門的な能力(知識)があること

下記3点のいずれかに該当することが必要です。

① 税理士、公認会計士、弁護士、または金融機関であること。

② 経営革新計画などを支援し、認定された実績が3件以上あること。

③ 中小基盤整備機構が開催する20日間の研修を受講し、試験に合格すること。

 

2.実務要件:経営分析、指導、助言の実務経験があること

下記2点のいずれかに該当することが必要です。

① 3年以上の実務経験があり、そのうちの1年以上は経営分析、経営計画作成、実行支援などの業務であること。(たとえば、納税業務を3年以上行っている税理士が、そのうちの1年以上は経営指導も合わせて行っているなど)

② 中小基盤整備機構が開催する2日間の研修を受講し、試験に合格すること。

 

3.体制要件:継続的に支援業務ができる実施体制があること

下記を満たしていることが必要です。

① 管理組織、組織体制が整備されていること。

② 過去3年の財務状況に問題がないこと。

③ 窓口となる拠点があること。

 

支援機関として認定されると、ホームページに掲載される予定とのことです。

 

認定支援機関を国として公表し、どこに、どのような認定支援機関があるのかが、中小企業者にわかるようにすることで、中小企業者が安心して相談できるようになる環境を整えることを当面の狙いとされています。

 

支援を必要とする中小企業者に、必要な支援が届けられるようになることが重要ですね。

 

中小企業庁告知:中小企業経営力強化支援法が本日施行されます http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/2012/0830Kaigai-kaisei.htm