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米S&P500企業の営業利益率は?

S&P500

 

「営業利益率は何%くらいを目指すべきですか?

 高すぎても税金が多くなりますよね?」

 

そんなご質問をいただくことがあります。

会社が目指すべき営業利益率は会社によって異なります。

 

目指すべき利業利益率は?

 会社が目指すべき営業利益率が会社によって異なる理由は

 

・現預金水準

・借入額

・今後の設備投資計画

・今後の新規事業計画

・売上のトレンド

 

などが会社によって異なるためです。ただ、目安となる数字を聞かれた場合は

「5%以上」を一つの目安にすればいいのではないかとお答えしています。

 

営業利益率5%の根拠は?

「5%以上」の営業利益率を目指す理由は、5%程度の営業利益があれば、

借入の返済がしやすいのではないかと考えるためです。例えば、

 

売上 1,200百万円、借入残高 400百万円、年間の返済額 80百万円の場合で考えてみます。

(月商4か月程度の借入残高のイメージ)

 

年間の返済額と同額の営業利益を稼ごうと思うと、営業利益率 6.7%。

営業利益率 5%の場合で、営業利益 60百万円になります。

 

それくらいの営業利益があれば、減価償却費を考えると、

返済がさほど負担ではない本業キャッシュフローになるのではないかというのが一つの論拠です。

 

(例)

売上
1,200
変動費 600      
     
     
粗利
600
固定費
540
  借入
400
 
 
営業利益 60   年間返済額 80

 

なお、トヨタ自動車の2023年3月期のの営業利益率は、7.3%、

一方で、高い利益率で知られる、キーエンスの営業利益率は、2023年3月期でなんと54.1%!!!

 

また、S&P500の銘柄のうち時価総額順にトップ30社の営業利益率を調べたところ、

以下の数字でした。

 

・ビザ 67.2%

・エヌビディア 62.7%

・マスターカード 57.6%

・マイクロソフト 44.5%

・メタ・プラットフォームズ 40.9%

・イーライリリー・アンド・カンパニー 35.3%

・アップル 31.5%

・オラクル 31.5%

・アルファベット 31.3%

・アッヴィ 30.6%

 

凄い数字が並んでいます。営業利益率5%を達成しても、そこに留まらず、さらなる収益性アップを目指したいものです。

 (将来の事業継続性のためには、節税を気にして利益率を下げている場合ではないと思われます)

 

米S&P500銘柄のうち営業利益が高い会社例

NO 企業名 分野 設立年 売上高成長率 営業利益率
1 ビザ 決済サービス 1958年 10.0% 67.2%
2 エヌビディア 半導体 1993年 152.4% 62.7%
3 マスターカード 決済サービス 1966年 11.7% 57.6%
4 マイクロソフト IT 1975年 16.4% 44.5%
5 メタ・プラットフォームズ IT 2004年 23.1% 40.9%
6 イーライリリー・アンド・カンパニー 医薬品 1876年 27.4% 35.3%
7 アップル IT 1976年 2.0% 31.5%
8 オラクル データベース 1977年 6.4% 31.5%
9 アルファベット IT 2015年 14.6% 31.3%
10 アッヴィ 医薬品 2013年 0.7% 30.6%

米S&P500企業の営業利益率(時価総額順でトップ30社)

米S&P500企業の時価総額順でトップ30社の営業利益率は下表の通りです。

(営業利益率30%以上の企業を黄色くマークしています)

(単位:億ドル)

NO 企業名 分野 設立年 時価総額 ROE ROA 売上高成長率 営業利益率
1 アップル IT 1976年 36,900 157.4% 26.1% 2.0% 31.5%
2 エヌビディア 半導体 1993年 33,900 127.2% 84.0% 152.4% 62.7%
3 マイクロソフト IT 1975年 31,100 35.6% 18.7% 16.4% 44.5%
4 アルファベット IT 2015年 23,300 32.1% 22.8% 14.6% 31.3%
5 アマゾン・ドット・コム 小売業 1994年 23,200 22.6% 9.3% 11.9% 9.9%
6 メタ・プラットフォームズ IT 2004年 15,100 36.1% 23.5% 23.1% 40.9%
7 テスラ EV 2003年 12,200 20.7% 11.9% 1.3% 8.5%
8 ブロードコム 半導体 1991年 10,900 13.5% 5.2% 44.0% 29.7%
9 バークシャー・ハサウェイ 保険 1839年 9,733 18.5% 9.9% 5.9% 14.4%
10 イーライリリー・アンド・カンパニー 医薬品 1876年 7,386 65.8% 12.5% 27.4% 35.3%
11 ウォルマート 小売業 1962年 7,230 23.5% 7.5% 5.5% 4.3%
12 JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー 金融 2000年 6,757 16.1% 1.3% 21.0% 26.7%
13 ビザ 決済サービス 1958年 6,166 50.0% 21.0% 10.0% 67.2%
14 マスターカード 決済サービス 1966年 4,795 179.2% 28.4% 11.7% 57.6%
15 エクソンモービル 石油 1999年 4,716 14.4% 8.1% -1.7% 11.6%
16 オラクル データベース 1977年 4,644 132.0% 8.2% 6.4% 31.5%
17 ユナイテッドヘルス・グループ 医療保険 1977年 4,643 16.0% 4.9% 9.4% 7.9%
18 コストコ ホールセール 小売業 1983年 4,039 30.0% 10.3% 5.4% 3.7%
19 プロクター・アンド・ギャンブル 消費財 1837年 3,909 28.8% 11.5% 0.8% 23.6%
20 ホームデポ 建材小売 1978年 3,859 404.9% 16.9% 0.6% 13.7%
21 ネットフリックス 動画配信 1997年 3,790 34.7% 15.3% 14.6% 25.5%
22 ジョンソン・エンド・ジョンソン 医薬品 1886年 3,468 20.9% 8.6% -8.0% 24.6%
23 バンク・オブ・アメリカ 銀行 1998年 3,398 8.1% 0.7% 17.0% 13.6%
24 アッヴィ 医薬品 2013年 3,171 56.1% 3.6% 0.7% 30.6%
25 セールスフォース CRM 1999年 3,164 10.2% 6.5% 9.5% 19.8%
26 コカ・コーラ カンパニー 飲料 1892年 2,664 39.4% 10.2% 3.6% 21.1%
27 シェブロン 石油 1879年 2,637 10.4% 6.4% -4.4% 11.2%
28 T-モバイルUS 通信 1994年 2,548 16.1% 5.0% 2.1% 21.5%
29 メルク・アンド・カンパニー 製薬 1891年 2,509 28.3% 10.8% 8.2% 23.0%
30 シスコシステムズ ネットワーク 1984年 2,354 20.8% 8.5% -8.7% 21.8%

 

※データの出典:S&P500指数構成銘柄(TradingView)

https://jp.tradingview.com/symbols/SPX/components/

 

※2025年1月3日データ(売上、利益等は直近12か月間の合計値)

 

(なお、今回調べてみて、優良企業のイメージの強いジョンソン・エンド・ジョンソンが売上を落としているのはやや意外でした…)