キャッシュフローコーチ仲間に佐藤真一さんという方がいます。
先日、勉強会で、佐藤さんとクライアント社長のこれまでの取り組みをお聞きし、
感動したので、ご紹介させてください。
クライアントの業種は、高精度の切削加工業です。
大手企業である顧客に難易度の高い部品を納品されています。
その難易度の高さのために、高単価、高粗利率。
一方で、顧客の業績に左右されるために、巨額の赤字を出した事もあったそうです。
社長(勉強会では、会社名、社長名とも実名で登壇されていたのですが、
ここではK社長とします)は、
「自社の業績が安定しないのは、社員が育っていないからでは?」と考え、
佐藤さんにコンサルを依頼しました。
実はこの時、K社長には大きな葛藤があったそうです。
その理由は
「社員を育てるのは経営者の仕事。人に頼るのは、経営者として間違っている」
と考えていたからだそうです。
一方の佐藤さん。
K社長の会社が社員数20数名の中小企業でありながら、K社長の
「下請けには成り下がらない」、
「社員を一流のビジネスマンに育てたい」、
「自社だけが儲かればいいんじゃないんだ。
関わってくれた全員が幸せになるようにやりたいんだよ」
という考え方に大いに感銘を受けます。
一方で、社員を育てたい筈のK社長が、自分の考え方を上から
押しつけるような指導をしている事に気づきます。
このとき、佐藤さんがやった事は、社長の話を
「ただただ聞き続けること」でした。
K社長は「喋っていると、自分の声を自分で聞いて、
なんか考えがまとまっている感じ」であることに気づきます。
そして、「人が育つには自ら考えて行動することが重要」という
佐藤さんの考え方について「ひょっとして一理あるのかも?」
と思ったそうです。
このタイミングで佐藤さんはK社長に「指導しないでください」と伝えます。
K社長は「『教えるな』って言われて、まる2年か3年、胃が痛かった。
だって、何もできないヤツに『任せろ』って言うんですよ。
でもね。びっくりしたのが、私が口を出さなくても、会社が潰れないんです。
これ凄いことですよ。口を出さないと潰れると思っていたんですよ。私は。
あー、潰れないんだ、って思ったんです。
潰れないんだと思ってから、最初はよくわからなかったんですけど、
1年か2年くらい経った頃、もしかしたら社員が育っている、
ということを実感できるようになりました」
そして、社員が育っている、という具体的な内容については、
以下のように説明されていました。
K社長「社内からの『このようにしたら、どうでしょうか』という話について、
以前は『やってみたら?』と言えるような案がほとんどない状態でした。
今は『こうやりたい』という話が出たときに、
『やってみてください』と簡単に返事ができるレベルになりました。
ただし完璧な提案じゃないんです。
ただ、それでいい。欠点があってもいい。と思えるようになった。
私自身も成長しているんです。
やってみて、結果が出る。その結果を見てどうするかを考える。
これをずっとくり返してやるしかないんであって、
そのことによって、その度ごとに社員が育っていく。
それが実感できるようになりました」
今では、K社長は、佐藤さんに、社員自慢をメールで送ってきたり、
「こんな嬉しい事があった」と佐藤さんに電話をしてこられるそうです。
K社長と佐藤さんの取り組みは12年に及ぶそうです。
結果が実感できない期間も辛抱強く取組みを継続したからこその成果です。
成果を得る方法は、「望む成果」に結びつく「行動」を
成果が出るまで、修正しながら、やり続けることだと言えるでしょう。