「リスケはしたくない」

1) 「リスケ」と聞いてどう思う?

「リスケ」と聞いて、どんな印象を持たれるでしょうか? 

 

ほとんどの方が「リスケはしたくない」と思う、

それが正常な感覚だと思います。 借りたお金は返さないといけません。 

 

返済猶予をしなくて済むなら、 その方がいいし、返すのが当然です。 

ただ、それは返せるお金がある前提のお話です。 

 

資金不足で返せない場合はどうでしょうか。 

お金が足りない場合の対応方法は、大きく分けて以下の2種類です。 

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1)「入ってくるお金」を増やす 

2)「出ていくお金」を減らす 

 

原則として、このどちらかです。 

 

(他の方法があるとしたら、サイトの見直し等で入金を早める、

 出金を遅くする、です) 

2)「入ってくるお金」を増やす、「出ていくお金」を減らす には?

 「入ってくるお金」を増やす方法として最も本質的な方法は、 

当然のことながら、「売上を上げて利益を増やす」ことです。 

 

ただし即効性という観点で困難な場合が多いでしょう。 

 

他の方法としては、資産の換金も有効です。 具体的には 

 ・遊休資産などの売却 

・保険の解約 

・貸付金の回収 

などです。 

 

自社の貸借対照表の「資産の部」を見て換金できるものがあれば、

換金することで、お金を増やすことができます。

 

このときに含み損があるから今売れば損! などと考える必要は

ありません。 含み損があっても売ればキャッシュフローはプラスです。 

 

しかも含み損分の特別損失計上で、節税効果も見込めます。 

 

同時に「出ていくお金」を減らすことも考える必要があります。 

費用対効果の観点から、効果の低い支出を減らす。 

 

たとえば、不流動在庫を処分するなどして、倉庫スペースを

減らすことができれば倉庫の賃料を減らす事につながります。 

 

このような取り組みを行っても、資金繰りが苦しい場合には

次の施策を考える必要があります。

 

具体的には、借換や新規の借入です。

3) 借換や借入がうまくいかないときには?

借換や新規の借入が了承されれば、「入ってくるお金」が増えたり、 

月々の返済が減るので、資金繰りは改善されます。 

 

このときに、借換や借入が不可だった場合、次の選択肢として

「リスケ」を考えてほしいのです。 

 

借りたお金を返す義務があるのは当然です。 

ただ、その義務に縛られて、給料の遅配や仕入先・協力業者への支払いが

遅れることになれば、本業の継続に支障をきたします。 

 

資金が限られている中で、支払いの優先順位をつけざるを得ない

状況になった場合には、「リスケ」も有効な選択肢です。 

 

何も借金の踏み倒しを推奨している訳ではありません。 

 

一時的に返済猶予を了承いただいて、その間、本業の改善に集中し、 

返済開始できる事を目指せばよいのです。 

 

たとえば、粉飾まがいのことをして、借入するくらいであれば 

早期にリスケし、本業改善に取り組む方が後々、良い結果に

つながることでしょう。 

 

なお「リスケ」を選択肢とする場合に大事な注意点があります。 

4) 「リスケ」の際の留意点は?

それは、リスケ中は新規借入が不可になるので、手元資金が枯渇してから、

リスケすると、一層資金が回らなくなるという事です。 

 

なので、ある程度、手元資金があるうちに「リスケ」を考える

必要があります。 

 

具体的には、3~6か月先の資金繰りが危うい場合には「リスケ」を

考えた方がよいでしょう。 

 

なお「リスケ」を依頼されると、金融機関は本部に稟議を上げる必要

があります。 

 

リスケをお願いしたい返済日から逆算で一か月前(余裕を見て40日前)

には、リスケ依頼に必要な「経営改善計画書」を金融機関に提出したい 

ものです。 

 

「リスケしたくない」と改善の取り組みをただ先延ばしにしたり 

「なんとかなる」と棚上げしていても、具体的な改善の取り組みを

しなければ、何ともならない事が多いです。 

 

「リスケ」は業績改善のための一手段なのです。