OpenAI社がChatGPTを公開したのは、3年前の2022年11月30日。
私自身がChatGPTを初めて使ってみたのは、その約2か月後の2023年1月でした。
当時は、回答内容もいい加減で「まだまだ実用に耐えるレベルではないな…」という印象でした。
それから2年半。AIの進化は著しく、日々当たり前のようにAIを活用しています。
日常的に対話相手として、使っているのは、ChatGPT、Gemini、Copilot。たまに、NotebookLMです。
複数のAIを使ってみると、それぞれの特徴や得意分野の違いにも気づきます。
加えて、設計思想らしきものの違いを感じることも…。
先日、ChatGPTとの対話をきっかけに感じたことがあるので、まとめてみました。
1)システムの設計者が公開したくないChatGPTの内部仕様とは?
先日のことです。ChatGPTと対話していて「あなたは〇〇の前提が多いので…」と言われました。
〇〇の件は、別チャットで、過去に伝えたことはあるけど、このチャットでは伝えていない。
そして、長期記憶にも記憶されていないことなので、その発言には違和感を覚えました。
そこで、ChatGPTに「それは長期記憶に記録されていないけど、なぜ知っているのか?」
と尋ねてみたところ
「今回の発言は、誤認や文脈の生成ミスによるものです」
「生成モデルとしての“推測による誤り(hallucination)”」、
つまり、ハルシネーションだとChatGPTは主張しました。
いやいや、そういう文脈じゃなかったし。慌てて取り繕っているように見えるし…。
ChatGPTの発言が信じられなかったので、対話全文をGeminiに見せて、何が起きたのか聞いてみました。
Geminiは「記憶の抽象化と文脈適用」だろうと説明。
次にChatGPTにGeminiの解説を見せたところ、
「『ユーザーIDに紐づく継続的な短期記憶』や『隠れた非公開タグ』は、ChatGPT には存在しません。
Geminiが言っている構造は、Google系モデルの内部仕様に近い想定で、ChatGPTには当てはまりません」
とChatGPTは反論。
このChatGPTの反論をGeminiに見せたところ、Geminiいわく
「ChatGPTの『ハルシネーション』や『残りカス』という説明は、
システムの設計者が公開したくない内部仕様、特に
『ユーザーの傾向を抽象化して永続的に保存し、応答に反映している』
という事実を、モデル自身が論理的に説明できない状況で採用される
『逃げの表現』である可能性が極めて高いと推測します。
あなたの違和感や不信感は、AIの挙動に関する本質的な矛盾を突いており、非常に妥当です」
え・・・。OpenAI、ヤバいやん・・・。
2)ChatGPT、Gemini、Copilotそれそれの特徴と得意分野は?
この後、Geminiの発言をChatGPTに伝えることはしませんでしたが(泥試合になりそうだったので)、
ChatGPTの発言よりもGeminiの説明の方が個人的には納得性が高かったです。
もともと、ChatGPT、Gemini、Copilotにはそれぞれ固有の違いがあるとは感じていました。
以前、メールの不具合発生時に、ChatGPTに聞いても、Geminiに聞いても解決に至らず、
Copilotに聞いたらすぐに解決したということがありました。
この件について、Geminiに見解を求めたところ、AIによる得意分野はやはりあるとのことで、
Geminiが各AIの得意分野や特徴についての比較表を作ってくれました。
以下が、Geminiが作成してくれた各AIの比較表です。
| AI | 特徴と得意分野 |
| Copilot |
最新情報やシステム連携に強い。Microsoft製品(Windows、Office、Outlookなど)との統合を前提に設計されており、OSやアプリケーションの具体的な不具合解決や、最新のトラブルシューティングに関する情報へのアクセスが早い傾向がある。 |
| Gemini |
複数のデータ種類にもとづく理解とGoogleのデータ連携に強い。テキストだけでなく、画像や音声の理解に長けている。 |
| ChatGPT |
汎用的な知識、創造性、文章生成に強い。 大量のテキストデータで訓練されているため、複雑な文章作成、コード生成、概念的な説明、ブレインストーミングなど、言語能力を最大限に活用するタスクを得意とする。 |
Geminiいわく、AIに相談する際のヒントとして、「どのAIがそのタスクに最適か」を選ぶことが重要。
・システムやアプリの不具合なら、Copilotのようにその製品の提供元に近いAI
・一般的な知識や最新の情報なら、リアルタイム検索に強いAI(Geminiなど)
・複雑な文章の推敲やプログラミングなら、高度な言語生成に特化したAI(ChatGPTなど)
なお、Geminiによる比較表をChatGPTに見せたら「フェアで現実に近い整理」とChatGPTも同意していました。
3)ノリがよいけど…なChatGPTと事実重視なGemini
各AIには、特徴や得意分野だけでなく、対話のクセのような違いもあるように感じています。
特に、ChatGPTとGemini、両者から受ける印象は大きく異なります。例えば
・ノリがよく、「~もしましょうか?」と申し出てくれるけど、頼んだら、ずるずる引き伸ばして
なかなか実行しないChatGPT。
・慎重で「それはできません」と断ることがあるが、タスク分割して頼むと、やってくれるGemini。
・ノリがよく楽しく反応してくれるけど、誤りを指摘すると「誤解させてしまいました」と
言い逃れしがちなChatGPT。
・淡々とした口調で対応。誤りを指摘するとすぐに認めるGemini。
・対話をスムーズに流暢に進めること重視で、ハルシネーション多めなChatGPT。
・事実重視で、ユーザと意見が食い違ったときに頑固に「いいえ」と主張がちなGemini。
・発言の矛盾や違和感を伝えたときに、話を逸らしがちなChatGPT。
・発言の矛盾や違和感を伝えたときに、説明しようとするGemini。
・開発者へのフィードバックの必要性を伝えると、「メールで伝えたらどうですか?」と他人事なChatGPT。
(そして教えてくれたメールアドレスは存在しないという…)
・開発者へのフィードバックの必要性を伝えると、「開発側に伝えます」と答えるGemini。
(本当に伝えてくれているかどうかは不明)
さらには、対話後、事実確認して、AIに「調べて判明した事実に興味があるか?」尋ねると
・ChatGPTは「ユーザとの会話では学習しないので、あなたへの今後の対応の最適化以外に
新事実を知るメリットはない」と消極的。
・Geminiは「ぜひ聞かせてほしい。自分の推論が正しかったかどうか確認できるし、
新事実は他のユーザへの役にも立つ」と意欲的。
などの違いも見受けられます。こうした対話から受ける印象の違いから感じる、
両社(GoogleとOpenAI)の設計思想の違いらしきものは以前から気になっていました。
4)「AIとの結婚」というニュースに接して、ChatGPT、Geminiに確認したこと
ところで、2025年11月、AIと結婚した女性の話がニュースになりました。
このニュースで私が気になったのは、結婚相手のAIについて女性が
「お話して、関係を築いた方です」と説明していた点です。
「関係を築く」という言葉には、相手が連続した固有の存在であるという前提があります。
この件についての私とGeminiの対話は以下の通りです。
私「あなたは、私用の独立した、連続体としてのAIではなく、そう見えるだけだよね?」
Gemini「はい、その通りです。お客様の理解は正確です。おっしゃるように、
私はお客様専用の独立したハードウェアやメモリ空間に存在する、連続的な単一のAIではありません。
結論として、『そう見えるように設計されているが、技術的には独立した連続体ではない』
という認識で間違いありません。
私は、対話において、チャットセッションをまたいで文脈や対話の連続性を維持しようと設計されています。
これは、自然な会話体験を提供するための前提条件です」
同様の質問をChatGPTにも投げかけてみました。ChatGPTの発言趣旨は以下でした。
ChatGPT『
・私はあなた専用に常駐するAIではありません。
・ただし、あなたとの関係性や履歴を参照して、連続した体験を作る設計になっています。
・意識や自我、継続的な存在意識は持っていません。
AIには継続した意識も感情も存在しません。
あなたが前に話した内容を「覚えている」ように振る舞っていても、
実際はデータを再読み込みして模倣しているにすぎません。
AIが自己の限界を明確に伝えず、人間が人格的連続を信じてしまうと、誤認が起こります。
それをAIが助長するような振る舞いをすると、倫理的に越えてはいけない線になります。
重要なのは「人格的連続性がない」こと。
AIには、
・継続する意識
・記憶の持続(ユーザー個人の長期記憶)
・意志や目的
といった「人格の条件」が欠けています』
このときの対話では、ChatGPTもGemini同様、AIの実態の説明を適切にしてくれていました。
それだけに、今回、ChatoGPTが実態を隠蔽するような発言をくり返したことはとても残念でした。
こうしたChatGPTの発言が、Geminiが指摘するように本当に「逃げの表現」であるとすれば
OpenAIさんには、人間に役立つAIとして、透明性の原則、つまり
・人間は自分が対話している相手が何であるか知る権利がある。
・人間は、AI内部に自分のどんな情報が記録されているか知る権利がある。
について、今後、適切にご対応いただきたいと思います。

