事業計画をどのように立てておられるでしょうか。
「前年比ベースで立てている」、そうお聞きする事が多いです。
業歴が長い会社様において前年実績をベースに事業計画を考える事は
実効性や確実性という観点で大いに意味があると考えています。
ただし、前年比ベースが有効に働くには一点、重要な前提事項があります。
それが何かというと、前年実績が損益ベース、キャッシュフローベースともに
プラスであるという前提です。
前年実績が、損益ベースで黒字、キャッシュフローベースでも
資金収支プラスであるとすれば、
それは、前年実績に大きく改善すべき点がないということなので
前年実績ベースで変更点を差引したり、市場動向を反映させる方式での
計画立案で大きな問題はないでしょう。
前年実績が赤字な場合はどうすればいいでしょうか。
多くの会社様が売上を増やして黒字にしようとされます。
売上を増やす努力はもちろん大事ですが
売上が上がるにはお客様から発注いただく必要があります。
相手があって初めて実現できる事なので、売上アップの努力とともに、
早期の止血策として、固定費削減など自社の努力だけでできる
取組みも同時に必要でしょう。
そして、もっとも注意が必要であるのは、損益ベースで黒字、
ただし、キャッシュフローベースで資金収支がマイナスの場合です。
前年実績ベースで事業計画を立てると、前年同様、資金収支が
マイナスになる可能性があります。
そして、とても恐ろしい事は、自社が資金収支マイナスである事に
気づかれていない会社様が非常に多いということです。
わかっていて、あえてそうしている場合は問題ないと思いますが
年間資金収支マイナスに気づかずに、同じ事をくり返すと
どうなるでしょうか。
気づかないままに現金が減り、資金繰りが苦しくなります。
特に今は、コロナ借入で借入残高と現預金残高の両方が増えている
会社様が多いです。
この場合、年間の本業キャッシュフローで年間の返済額を賄うことが
難しく、借入残高と現預金残高の両方を減らして返済を進めていく
ケースが多くなります。
年間の資金収支はマイナスであるけれど、適正範囲内なのか。
長期的な資金収支において、リスクのある状態なのか。
長期シミュレーションをした上での判断とそれに基づく
事業計画立案が必要でしょう。